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2022年3月の本棚

3月に読んだマンガをまとめて紹介していきます。



タコピーの原罪 上巻 / タイザン5(集英社)

ジャンプ+発、閲覧注意の問題作がとうとうコミックス化。

ハッピー星からやってきた宇宙人タコピーは自分を助けてくれた小学生の女の子・しずかちゃんをハッピーにしようと奔走する。しかし、彼女を取り巻く環境はあまりにも悲惨で壮絶で、タコピーには想像もできないものだった。
少女の幸せを願うタコピーが犯す罪とはーーーー。

更新される度にSNSで感想・考察が飛び交う話題作ですが、内容はもうかなりダーク。【僕の考えた最強の胸クソマンガ】って感じです。面白いかと言われれば全然面白くないし、ただただツラい。でも最後を見届けたいと思える。そんな作品。
(3/25の更新で完結、4月に下巻が発売予定)


SAKAMOTO DAYS 6巻 / 鈴木祐斗(集英社)

死刑囚たちとのバトルが続く。キャラクターの動きが相変わらず派手で楽しい。

あまり深く考えずに読んでいたら、もうスラーとの対決が始まってしまったのでちょっと焦った。ORDERの日本刀爺さんも何者なんだ…って感じだし、坂本さんに全部ブッ飛ばしてもらいたいところ(最近坂本さんの影が薄くなりがちだったのでここから活躍してほしい)。


Dr.STONE 25巻 / 稲垣理一郎・Boichi(集英社)

ゼノと千空の頭脳を持ってしても「ロケット」の打ち上げはやはり至難の技。何年もかけ、宇宙空間へ「人工衛星」と「宇宙望遠鏡」を送り込むことに成功した。
世界中に「海底ケーブル」を張り巡らせ「インターネット」も誕生。後半はもうクラフトの大盤振る舞いで現代の必需品もポンポン生成していて面白かった。「スマホ」まで出来ちゃった。

科学の道は全てが繋がっていて、ここまで色々なものを作れるようになったのも今までの蓄積とその応用があったから。
石から始まり、宇宙へと辿り着いた宇宙船科学王国号は、選び抜かれた3人のパイロットを乗せ、月へと向かう。

かがくのちからってすげー!


アオのハコ 4巻 / 三浦糀(集英社)

インターハイ出場を決めた千夏先輩と惜しくも敗れてしまった大喜。
大会後に熱を出してしまった大喜を優しく看病する千夏先輩にドキドキせざるを得ない大喜と読者ですが、その後、明確に線を引かれ距離を取られてしまう。つらい。
当然と言えば当然の行動に、改めて立場を弁えさせられたと感じる大喜。そんな彼を強引にも振り回し、振り回される雛ちゃんが健気で堪らなく可愛い。

前にも書いた気がしますが、千夏先輩の内面の掘り下げだけが意図的にほとんどされていないのがもどかしい。どこかのタイミングで爆発させるのか、楽しみです。


破壊神マグちゃん 8巻 / 上木敬(集英社)

前半はわちゃわちゃとした平和パート。後半は急展開の熱いバトルパート。
新キャラのイズマ妹もちょっとアホの娘で可愛かったです。
改めて、上木先生の漫画力(ぢから)の振り幅の大きさが窺えました。1冊読む間に色んな感情を抱けて楽しかったです。次巻が最終巻ですよね。寂しい。

(おそらく最初で最後の)人気投票の結果も巻末に掲載されており、まさかと言うか、納得と言うか、ナプタークが1位でマグちゃんが2位なのは笑いました。完璧な順位。


ダンダダン 4巻 / 龍幸伸(集英社)

学校での水中バトルを終え、次はモモのイケメン幼馴染・ジジの”呪いの家”調査へと赴くことになったオカルンとモモ(とジジ)。モモとの距離が異様に近いジジに対して若干のジェラシーを感じるオカルンを、呪いの家で待つものとは…!?

相変わらずホラーとバトルと恋愛と、全てを高次元で盛り込んでいて面白いしスゴい。ジャンルを一言で説明できない。勢いに乗り続けてほしい作品です。


怪獣8号 6巻 / 松本直也(集英社)

怪獣9号討伐に結束するカフカたち。
カフカは「8号」の力をコントロールし応戦するも、絶えず変化し強大になる9号の真の狙いは、キコルの父・四ノ宮長官の器と彼の持つ「2号」の力だった。

ずっと9号とやり合っているけど決着が付くのはいつになるんだろうか…


光が死んだ夏 1巻 / モクモクれん(KADOKAWA)

とある集落で一緒に育ってきた2人の少年、よしきと光。
ある日、山で行方不明になった光が別のナニカとすり替わっていることに、よしきは気付いてしまう。それと時を同じくして、集落で起こり始めた怪事件の謎。
友人の姿をしたナニカと過ごす怪しい夏の日々が始まる。

田舎のノスタルジックな原風景と夏のじめっとした空気の中で描かれる冷ややかな描写が強調されていて、怖ろしくも引き込まれる作品でした。最近こういう「微ホラー」にちょっとハマっている気がしています。


ババンババンバンバンパイア 1巻 / 奥嶋ひろまさ(秋田書店)

老舗銭湯で10年近く住み込みバイトとして働く青年・森蘭丸。そんな彼の正体は450年生きる吸血鬼。しかも彼の好む”血”は子どもでも、処女でもなく”18歳童貞の血”だという。
お世話になっている銭湯の一人息子・李仁くん(15歳・童貞)が極上の味わいになるまであと3年。しかし李仁くんは高校の入学式で一人の女の子に一目惚れしてしまう。蘭丸は李仁くんの貞操を守り抜き、無事己が求める血にありつけるのか…!?

設定からもう面白い。蘭丸は歴史上のあの森蘭丸。信長の家臣として生き、吸血鬼となってからも数々の時代の荒波に呑まれ、現代で李仁くんという”最高級の食材”に出会い、10年間成長と童貞を見守り続けてきたーー、とか面白すぎますね。

「クラスで育てた豚を食べるか否か」的な展開にもなりそうですが、李仁くんの一目惚れ相手・葵ちゃんとの三角関係にも発展していき、どう転んでも一筋縄ではイきそうにないので楽しみです。


メイドさんは食べるだけ 4巻 / 前屋進(講談社)

メイドのスズメちゃんが過ごす日本の晩夏〜初秋。
色々な表情で何でも美味しそうに食べるスズメちゃんが今回もお見事可愛い。

メイド服にカーディガンを羽織るスタイルもいいですよね。メイドキャラの「オフの姿」が好きなんだなと最近気付きました。表紙も素晴らしい。今月のベスト表紙かもしれない。


ゆるキャン▲ 13巻 / あfろ(芳文社)

約1年ぶりの新刊。
今回は登場人物それぞれが、それぞれのキャンプを楽しむ群像劇構成。個人的にはイヌ子がロードバイク女子デビューしていたのがかなり良かった。けど、超初期にあった自転車要素(あれはミニベロだったけど)を引っ張り出してきたあたり、やっぱりネタ切れ感は否めない。後輩キャラ登場もそういうことなんだろう。

ずっとまったりキャンプしていてくれさえすればそれでいいんだけど、高校生だと行動範囲もどうしても限られるし、これからどういう風に展開していくのか。
7月公開の劇場版アニメは純粋に楽しみです。

(キャラクターの頭身がどんどん高くなってきている気がする。)


可愛いだけじゃない式守さん 12巻 / 真木蛍五(講談社)

和泉くんと式守さんのパワーバランスが絶妙で良い。想い想われの矢印の長さが同じというか、通じ合いすぎていて、本当に高校生カップル?ってなる時がある笑

2年生もそろそろ終わり3年生へ。和泉くんと式守さんは同じクラスになるのか。別々にして新キャラ登場か。多分後者な気がするけど次回も楽しみにしておきましょう。

TVアニメは4月からスタート。


ゆびさきと恋々 6巻 / 森下suu(講談社)

今回も素晴らしかった。素晴らしかったのは間違いないけど、よくよく考えるとほとんど何も話が進まなかった気もする。

そもそも雪ちゃんと逸臣さんはもう付き合っちゃってるし、別にゴールがあるストーリーなわけでもないし、ずっとイチャイチャしていてくれたらそれでいいんですけどそうもいきませんか。

というか、少女漫画ってどうなったら終わるんだっけ?みたいなことを考える。付き合って終わりってのも最近だともう少数派な気もするし。難しい。


上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花 3巻 / 塀(秋田書店)

『マンガクロス』にて絶賛連載中の「お酒」×「女の子」マンガ。
大学生・上伊那ぼたんは酔うとちょっと大胆になる女の子。そして寮の先輩・砺波いぶきもまた酔うとしゃっくりが止まらなくなるというコンプレックスを抱いていた。そんな二人が色々な場所でお酒を嗜んでは距離が近づいていく、というお話。

この作品の魅力は「お酒」と「百合」以外にも「ファッション」もその一つ。作者の塀先生はファッションに対しても造詣が深く、ぼたんといぶきをはじめ、登場人物たちの服装についてかなり細かく設定・描写されている。

「女の子と女の子が仲良くなる」という構図が「お酒」と「ファッション」を小道具にとても丁寧に描かれていて、読むと少しオシャレして友達を誘ってお酒を飲みたくなること請け合いです。秩父とか奥多摩とかが舞台なのも良い。


葬送のフリーレン 7巻 / 山田鐘人・アベツカサ(小学館)

勇者ヒンメルの死から29年後。一級魔法使い試験も終わり、フェルンは無事一級魔法使いに。オレオールへの旅を続けるフリーレンたちと、思い起こされる勇者たちの言葉の数々。

以前読んだ記事で、この作品は「張られていない伏線を回収するストーリー」と評されていたのがとても気に入っていて、しばしば噛み締めている。
勇者が魔王を討伐した後の世界を旅するという盛大な後日譚で、終始しんみりとした雰囲気の中、戦闘シーンをあえて地味に描き、登場人物たちも分かりやすく喜怒哀楽を表に出さなかったりする。

そして丁度良いタイミングでヒンメルたち勇者パーティーのエピソードを挟む。読者としてはそこで初めてその場面を後出しで目にするけど「伏線が回収された」というカタルシスを得る。
フリーレンの「かつて勇者パーティーに所属していた長命のエルフ」という設定のおかげでこの形式を自由自在に扱えるのが面白い。


BADDUCKS 2巻 / 武田登竜門(双葉社)

組織から逃げるモーガンとリサ、と赤ん坊のモズの3人。指名手配や追手との戦闘を経て、優しい恩人にも出会う。そして、11年の時が流れる。

少数民族の生き残りのリサの秘密と組織が彼女を追う理由が明かされたけど、状況はまだまだお先真っ暗。ここからはボズも成長して活躍しそうなので楽しみ。

1巻より断然面白かった。4月に3巻、6月に最終4巻の発売が決まっており、確かにあるゴールに向かって歩んでいるのが伝わってきます。


少年のアビス 8巻 / 峰山りょう(集英社)

諸々の事件が一旦終着し、日常に戻ろうとしていた令児。でも壊れたものが元に戻るわけもなく、変わらず深淵へと沈んでいくストーリー。
母親と柴ちゃん先生が手負いの癖になんか企んでいて相変わらす恐ろしい。チャコは痩せたけど一生傷跡残ったままだし、玄はもう堕ちるところまで堕ちた感あるけど、それ故に無敵感もあって怖い。

あまりちゃんと意識していなかったけど作中ではこれまで1〜2ヶ月しか経っていなくて、今回初めて少し時間が経過したみたい(秋→冬くらい)。それはそうなのかもしれないけど、こんな短期間に壮絶なことが起こりすぎていて改めて意識すると壮絶すぎるな。


かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 25巻 / 赤阪アカ(集英社)

四宮家と四条家の抗争に巻き込まれる形で生徒会から姿を消したかぐや。子どもだけではもうどうしようもない状況になった中で、白銀御行の取る行動は本当の意味の「恋愛頭脳戦」。愛と覚悟が試される最終章が開幕。

石ミコ(石上と伊井野のカップリング)だけが癒しだな〜と思って読んでいたらどんどん熱い展開になっていった。会長が本気出す展開がやっぱり一番滾ります。

TVアニメ第3期は4月からスタート。本誌とテンションが違いすぎるけど、やっぱりこの頃が一番好きかもしれない。


旅 / 入江亜季(KADOKAWA)

入江亜季先生の「旅」を中心に描く2冊目の短編集。
表題作とも言える【トキの旅】が実に素敵でした。【砂漠の田崎くん】とかも好きです。

「短編集」の好きなところは、作者のあとがき解説が添えられていること。本来、マンガの中だけで伝わるメッセージが全てですが、作者本人の解説があるとそれが「答え合わせ」のように感じられて、ストンと胸に落ちて気持ちが良い。

余談ですが、「旅」の定義はなんだろうと、よく考えます。所謂、観光目的の「旅行」と自分の思う「旅」の間には明確な溝がある。「旅」という言葉を普段、あまり軽々しく使いたくないなと感じるのもその溝があるから。
『”帰る場所がある”ものは総じて「旅」ではない』というのが個人的見解です。概念的な「旅」成分が「旅行」の構成要素として含まれることは往々にしてあると思いますが…云々(まとまらない)

例によって青騎士コミックスなので、装丁も拘り抜いた一冊になっています。是非、紙で手に取ってみてほしい。


メダリスト 5巻 / つるまいかだ(講談社)

ノービス予選・中部ブロッック大会開幕。精鋭たちによる全日本出場を”賭けた”本気の椅子取りゲームが始まる。
加護家と瀬古間さんのソシャゲやカードゲームに見立てた解説もあって、「フィギュアスケートマンガ」としても分かりやすくて面白かった。全員が自分の持てるカードを如何に切るか。芸術性だけじゃないフィギュアスケートというスポーツの魅力が詰まった5巻でした。

孤独な氷の上で、磨き上げた技術だけでなく、費やしてきた時間や積み上げてきた経験。自分のバックボーンの全てを背負う少女たちの姿を見て、目頭を熱くせずにはいられません。


ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ 3巻 / ナガノ(講談社)

なんか小さくてかわいいやつの第3巻。
Twitterの連載投稿の中でも印象的だったホラーっぽい回もいくつか収録されていて、ぞわっとするシーンもちょこちょこあり。「ほんとにこわい話」は結構真面目に怖い。

「擬態型」と「友好型」に分けられる謎の討伐対象たち。良い味出してくる鎧さんズやラッコ先輩にくりまんじゅう師匠。
ハチワレとうさぎと過ごす、ちいかわのかけがえのない「日々」を是非ご覧ください(面白くない人には本当にまるで全然面白くないだろうなと常々思っています)。

特装版は特製かるた付きだったけど、普通に2巻までと同じく電子の通常版にしました。ちょっと後悔。


来世は他人がいい 6巻 / 小西明日翔(講談社)

大阪での騒動を終え、霧島と翔真の殴り合いから始まる第6巻。
物騒な睨み合いをきかせるメインキャラクターたちを蚊帳の外に、得体の知れない大きなものが渦巻いている感じ。吉乃だけは本当に何も知らなさそうで可哀想というか、まぁそういう役だし仕方ないというか。

霧島の性格が面白くて好きなので、僕はやっぱり翔真よりかは霧島派です。翔真は、人間として備わっていなければいけないアレコレが殆ど欠如していそうなところがあまり推せない。
言っても全員ヤクザなので普通の人間の生活なんて到底送れないわけですが、霧島はそういうところ器用に立ち回れているから好き(吉乃に対しては全部漏れ出ちゃっているけども)。


その着せ替え人形は恋をする 9巻 / 福田晋一(スクウェア・エニックス)

TVアニメの出来も文句なしで、原作の売上も絶好調な大人気コスプレラブコメ。

コス仲間も増え、カメラや小物の造形と、色々な楽しみ方を見出していく五条くんと喜多川さん。学外の交友関係の広がりに反比例して二人のイチャイチャが少なくなりがちなのは頂けない部分もあるけど、みんなが楽しそうに趣味に没頭しているのでOKです。

コスプレイヤーは衣装作りだけでなく体型管理とかも大変そうだな〜、確かに。折角作った衣装が着られなくなるのは悲しい。


少女・ネム 増補版 HIROSUKE KIZAKI MEMORIAL EDITION / 木崎ひろすけ・カリブ・マーレイ

夭逝した作家・木崎ひろすけ先生の3作品がこの度電子化されたということで一つ読んでみた。恥ずかしながら今まで存じ上げていなかったけど、電子版という形で手に取れて良かった。電子万歳。

原作者のカリブ・マーレイという方も漫画原作界の巨匠・狩撫麻礼(かりぶまれい)先生の別名義ということで、もう”伝説”を読んでいるような気さえした(伝説って?)。

物語は漫画家を目指す少女・ネムがゴローという売れない漫画家に出会う、というもの。登場人物は全員獣人の姿で描かれており、トーンを使用しない繊細なタッチの線が印象的。あまりにも美しいだけに、未完なのが残念ではある。

「え?ここで終わり?」というところで終わっていて、本人のモチベーションや身体の具合の問題もあったのかもしれないけど、氏の作品はどれも1巻以上は刊行されていないそう。マンガを描いて世に出し続けること自体そのものがもうほとんど奇跡のようなものだよな、と改めて思う。


カードゲーマーズハイ / たろきち(ホビージャパン)

風俗通いのクリボーでお馴染み、自身もデュエリストのたろきち氏が商業誌で描くカードゲーマーあるあるマンガ。連載を追っていたわけではないですが、純粋にたろきちさんのファンなので買いました。何気に初の商業連載らしい(連載自体は終了済み)。

シャカパチ(手札のカードをシャカシャカパチパチと音をたてて切る一種の威嚇行為)はカードゲーマーたちのサガのようなもので、それについて何度も描かれていて笑った。シャカパチ先生好き。
デュエリストはもちろん、随所に垣間見える「たろきちさんらしさ」から、たろきちさんファンも必見の一冊です。相変わらず女の子が絶妙に可愛くて良い。


地元のもみぢ 1巻 / 葉野宗介(小学館)

真造圭伍先生が帯コメントを書いているということで購入(チョロい)。

都会と田舎の中間のような町・四茂木町の商店街を舞台にラーメン屋の娘のもみぢとその友達の順一が繰り広げる放課後コメディー。
もみぢと順一、6歳らしからぬ小気味良いワードセンスと掛け合いでクスッとするシーンが多くて楽しかった。どこか懐かして、なんか新しい作品でした。


デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 第12集 完結 / 浅野いにお(小学館)

アニメ化決定!嬉しい!そして原作はこれにて完結!寂しい。

終盤、政治色が強まっていった中、特に「8.32」以後の描写はまぁ鬱屈としていて、あまり読めたものじゃあなかった(読んだけど)ので、どうまとめるのかと思っていたけど、最後は良きところに落ち着いた、のかな?
ちょうど100話で終わったし当初の予定通りの進行・内容だったのかもしれない。

凰蘭と門出が一緒にはにゃにゃフワ~と騒いでいる様子を見るのが堪らなく好きでした。連載お疲れ様でした。

特装版付属の『イソベやんのフルカラー傑作選』もちょっと欲しかったけど、過去に紙版を手放してから電子版に移行しているからとりあえずスルー。


チ。-地球の運動について- 第7集 / 魚豊(小学館)

異端解放戦線のリーダーとして生き延びていたヨレンタと出会ったドゥラカ。”本”の内容を彼女に伝え、仲間たちと共に出版活動を開始する。そしてまたしても迫り来る異端審問官の影。

人々の歴史が、運命が、感動が、信念が、『地動説』という真理へと収束する。
次集完結。

積み上げた歴史が
動揺を鎮めて
臆病を打破して
思考を駆動させて…
いざって時に、退かせない。

全歴史が私の背中を押す。

『チ。-地球の運動について-』第7集 p.80 


ひかる・イン・ザ・ライト 1〜2巻 / 松田舞(双葉社)

銭湯の看板娘・ひかるは歌うことが大好きな中学生
銭湯の常連さんたちの前で歌う日常を過ごすひかるは、人気アイドルグループの一員として活躍する歳上の幼なじみ・蘭に憧れていた。
そんな時、敏腕Pが主催するアイドル発掘オーディション「ガールズ・イン・ザ・ライト」が開催されることを知ったひかるは決意する。これは”特別な人間”だけが許されるアイドルへの道を歩む少女たちの物語。

ひかるのまっすぐな性格が読んでいて気持ちがよくて、和やかなギャグパートと真剣なエモパートのバランスも丁度よくて好きでした。
とんとん拍子でアイドルになってしまうとは思えないけど、アイドルにならないとマンガ的にダメなのでどう運んでいくのかも楽しみです。


作りたい女と食べたい女 1巻 / ゆざきさかおみ(KADOKAWA)

一人暮らしの少食で、作ってもどうせ食べきれないと諦めつつも、本当はあれもこれもたくさん作りたい女・野本さん。そんな時に、ついうっかり作りすぎてしまった夕食を食べてくれたは同じマンションのお隣のお隣に住むなんでも食べたい女・春日さん。二人の利害?は一致し、一緒に食事する仲になっていく。

美味しそうに食べる人は男女問わず好きです。「食」を誰かと共有すること自体も素敵です。女性が好きでやっていることを「男にためにやっている」と捉えられ、それに悶々としてしまう気持ちも大いに理解できます。

ただ、そういう内容を描く作品の登場人物として、「食べたい女・春日さん」のキャラクターデザインがいまいち合致していないように感じました。
ガタイが良くて、不器用で、食べることにしか興味がなくて、ガツガツ貪るように大口でご飯を食べるけど、実は他人をことも思いやれる優しいキャラクター。

別に女性がおしとやかに食事しなくたっていいし、そういう世の中に罷り通っている「女性らしさ」について一石を投じたい作品の意図は汲めるんですけど、そのために春日さんを上記のようなデザインして、さらに野本さんと百合っぽい雰囲気に持っていくのはそれはそれで何か違和感がありますね、という印象を少なからず受けました(※個人の感想です)。春日さんの身の上話も今後多く描かれるのだろうか…


笑顔のたえない職場です。 1巻 / くずしろ(講談社)

新人漫画家とアシスタントと担当編集のオシゴト微百合マンガ。主人公の漫画家が結構卑屈でめんどくさい性格している。2巻以降読むかは、未定!!

漫画家さんの職場って今はどんなのがスタンダードなんだろ。同じ空間で作業することも最早レアケースだったりするんだろうけど、それはちょっと寂しそう。


ゆりでなるvえすぽわーる 1~3巻 / なおいまい(徳間書店)

百合をこよなく愛する女子高生・駒鳥心は高校卒業後に政略結婚が決められていた。自身の恋愛対象も女の子なため、酷く絶望した心は卒業までの残り1年間、街中の百合と思しきカップルを見つけてはスケッチブックに描き記し、後世に残し伝えるという大層な決意をする。

基本的にに一つの回につき前後編のセット構成。前編で大筋のストーリーと街中で目にしたカップルに対する百合妄想を描き、後編でそのカップルの真の関係とストーリーの引きを描く。この構図がまず面白い。
一つの作品で色々な形の百合も拝めて大変お得。普段、積極的に「百合」を摂取しているわけではないので勉強にもなりました。

心の婚約者の男性・花籠総矢については、心の目から見てかなり邪悪な存在として描かれている。花籠を愛しているという心たちの高校の教師・朝雛雪野や百合妄想に付き合ってくれている心の親友・雨海さんといったメインキャラクターたちの思惑も狂気に満ち溢れていて魅力的。これからどうなるのか期待です。


きみが死ぬまで恋をしたい 1巻 / あおのなち(一迅社)

身寄りのない子どもたちを戦争兵器として育成する学校に通う少女・シーナ。学校からはいつも誰かが戦争に駆り出され、あっさりと死んでいく毎日。
そんな日常を受け入れらないシーナはある夜、血まみれの少女・ミミと出会う。学校が秘密裏に育成しているという不死身の戦闘兵器であるミミの無邪気な笑顔に少しずつ癒されていくシーナ。

血生臭い世界を舞台に美麗に描かれるファンタジー百合。繊細なシーナと奔放なミミの組み合わせは見ていてとても良い具合です。タイトルも絵柄も綺麗で好きなのでこれは次巻も読んでみたい。

個人的に絶対の信頼を寄せているクリエーターの方のMADを拝見して読もうと思ったので、その動画も貼っておきます。MADとかも作れるようになりたいな。


SPY×FAMILY 2〜8巻 / 遠藤達哉(集英社)

言わずと知れたジャンプ+のバカ売れ作品。連載初期に1巻だけ読んで、個人的にはそこまでかな〜?って感じだったので止まってしまっていたけど、4月からTVアニメも放送開始ということで最新巻まで一気に読みました。スパイ殺し屋エスパーの仮初めの家族によるドタバタホームコメディー。

アニメはOPに髭男、EDに星野源と一般層にも届くようにガチガチに固めてきていて、賭けているなーって感じです。ストーリーは結構ずっとちゃんと続き物で、綺麗に終わる区切りはどこにするんだろう。

PV何回も見ちゃう。


やきゅうみようよ! 1巻 / 辻島もと(小学館)

久嬢女子高等学校。ここはプロ野球好きの女子が在籍する、クセがスゴい女子校。生徒は12種類ある「プロ野球応援部」のいずれかに所属する必要があり、その全ては実在するNPBの12球団と選手をモジったというもの。何も知らずに編入してきた主人公・高橋葵の部活見学が始まる。

各部活は球団の雰囲気や有名選手の影響を受けたに特徴を持っていて、プロ野球好きなら分かるような内容になっている。1巻で出てきたのは巨人、阪神、ヤクルト、広島、中日の5球団。セ→パの順番で登場させるのかな?今年のプロ野球もいよいよ始まったし、マンガ共々楽しみです(今年もオリックスを応援したい)。


しょうもないのうりょく 1~2巻 / 高野雀(竹書房)

誰もが何かしらの「異能」を持つ社会。しかしそれは少年漫画に出てくるような派手なものではなく、「誤字脱字をすぐ見つけられる異能」や「書類を崩さず積み上げられる異能」といった、まさにしょうもないものばかり。

「他人の異能がなんとなくわかる異能」を持つも、そのことを他人に公表してはいない主人公のOL・星野さんのオフィスを中心に描かれる脱力系?お仕事コメディー。

基本的にはしょうもない能力のオンパレードで、作中でも履歴書の記入欄の一つとしてくらいのポジションで「異能」は扱われている。それを仕事に活かす人もいれば、そのしょうもなくて、ある意味曖昧な能力に振り回される人もいる
主人公の働く会社は「異能」を業務とそこまで結びつけない方針・形態で、社長曰く「後天的な努力も評価したい」とのこと。現代における「働き方」にも結びついてくるような、ささやかだけど、温かくて、ちょっとだけポジティブになれる、優しい作品でした。
自分だったらどんな「異能」がいいかな?と考えるのも楽しい。


きみ子は残像を愛す 1巻 / かしこ(KADOKAWA)

究極のおっとりマイペース・きみ子が恋した相手は同級生の究極のせっかち・瀬加くん
残像ができるほどの高速移動をする瀬加くんの本体を捉えることができないきみ子は今日もめげずにアタックを試みる。二人が結ばれる、どころかマトモに会話できる日は果たしてやって来るのか。

残像を残すほどの速度で移動するってどんだけやねんというツッコミは置いておいて、見事に噛み合わない二人のラブコメがテンポよく描かれていて楽しい作品でした。瀬加くんよ、そんなに急いでどこへ行くというのだ…


おいしい煩悩 1巻 / 頬めぐみ(KADOKAWA)

人より少し見栄っ張りで怠惰な女子高生・かんろ。ある日を境に、自分の”煩悩”がイケメンの姿で目の前に現れ、自分を唆してくるようになる。調子良くヨイショされては暴走してしまう彼女をいつも助けてくれるのは、有能美男子後輩の言代(ことしろ)くん。でもそんな彼も、どうやらかなりの曲者みたい。

主人公のかんろがまぁチョロくて、毎回まんまと自分の”煩悩”にノせられては、暴走し、恥を晒し、周囲に迷惑をかけ、その度に言代くんに罵倒され、改心し、泣いて懺悔するというパターンで展開されていく。表情豊たかなハイテンションギャグがスピード感もキレ味もバツグンで、振り回されている内に読み終わってしまった。

可愛い女の子の泣いて許しを乞う顔美少年の相手を見下した罵倒顔からはもう作者の性癖と言ってもいいんじゃないかって程の拘りが感じられた。
毎回お決まりのオチでも全然面白くて、なにより新感覚でした。誰しもが持つ”煩悩”が主人公の行動原理になっているからバカバカしくも、どこか感情移入してしまっている自分がいる。2巻もとても楽しみ。


ぼくらのよあけ 1 〜2 完結 / 今井哲也(講談社)

2038年夏。宇宙大好き小学生・沢渡ゆうまは、謎にみちたモノと出会う。
AI搭載家庭用オートボット・ナナコの体を乗っ取るように出現したソレは、2010年に地球に降下した際の大気圏突入時に故障し、ゆうまの住む団地に擬態して休眠していたのだという。
「私が宇宙に帰るのを手伝ってもらえないだろうか?」団地経由の宇宙行き、大スケールの極秘ミッションが始まった。

連載から時を経て、今秋、劇場アニメ化が発表された作品。
この度、初めて読んだけど「未知のモノへ興味を持つこと」や「変化していくこと」の尊さが、子どもたちのひと夏の忘れられない出来事として描かれていて、そこに大人たちも”ちゃんと”関わっている。ギュッと凝縮された素敵な作品でした。


殺し屋Sのゆらぎ 1〜4巻 完結 / 舟本絵理歌(小学館)

コードネーム”S”こと、正太郎は超凄腕の殺し屋。しかしそんな彼はある日、ターゲットであるヤクザの一人娘・綺利(きり)に一目惚れしてしまう。足を洗い、ボディーガードとして彼女とお近づきになった正太郎が迫り来る数々の脅威と己の感情に立ち向かう、ハートフル”元殺し屋”コメディー

最終4巻が出たのが去年の5月なので、ほぼ1年遅れでまとめて読んだわけですが、もう最高すぎて胸がいっぱいになっちゃった。

物語はヤクザの娘らしからぬおっとりとした綺利殺し以外何も知らずに生きてきた正太郎のチグハグ感を楽しみつつ、ヤクザの御家騒動(許嫁問題)に翻弄されていく二人が決断し行動する、という内容。
序盤と終盤で物語の温度感も大きく変化していきますが、それも決して駆け足で畳みに行っているわけではなく、1話ずつ積み重ねていった二人の信頼関係の元に成り立っているので胸に来ます。脇役たちも非常に良い役回り。

ドンパチやるような派手な描写はありませんが、だからこそ光る静かで芯の通ったラブストーリー。何度読んでも泣けます。

これは個人の感想なので全くもってアテになりませんが、先日、活動再開した大好きなバンドMrs. GREEN APPLEの『ニュー・マイ・ノーマル』という新譜がタイトルも歌も詞も何もかもこの作品にマッチしていて、聴きながら読むと倍泣けます(※個人の感想です)。90秒のムービーの中で手を取り合って踊る正太郎と綺利の姿が目に浮かぶ。



雑記

以上、3月に読んだマンガまとめでした。

『タコピー』のインパクトに目がいきがちですが、個人的には『上伊那ぼたん』がイチオシです。とりあえず読んでほしい…

遅ればせながら読んだ『殺し屋Sのゆらぎ』も自分にとって大切な作品の一つになりました(紙版も購入した)。これを機に個別でnote記事を書いていきたいな~と考えていたり、いなかったりしています。


単行本として読んだわけではないですが、web連載の作品で忘れてはいけないのが『金色のガッシュ!! 2』『ぷにるはかわいいスライム』の2つ。

ガッシュについてはもはや説明は不要でしょう。1話目からまさかの導入でこれからが楽しみすぎます。14年の時を経て、魔物の子たちの物語が再び動き出す。

そしてぷにる。コロコロコミック初のラブコメのヒロインはなんとスライムボクっ娘。これはもうコロコロキッズの性癖を歪めにきているかのような攻めた設定ですが、内容もなかなかどうして、かなり”良い”です。ネットで大人たちが騒がずにはいられない、超新星的マンガ。単行本発売が今から楽しみ。

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