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本棚マンガ大賞2023【2023年の本棚まとめ】

今年もこの季節がやってきました。1年の振り返り。

2023年、我が家の本棚を彩ってくれた作品たちに贈る私的マンガ賞「本棚マンガ大賞2023」です。

一応、対象は「2023年中に単行本が一冊でも出た作品」ということにします。殿堂入り作品は除きますが、過去のランキングに入った作品とかは特に縛りなしで。

今年は部門分けとかはせずに、新作も完結作も全部ごちゃまぜの「今年読んだマンガで好きだった作品TOP30」を載せたいと思います。

我ながらランキング形式で30冊ってまぁまぁ多い。本当は10冊ほどに絞りたかったんですけど、なんか膨れ上がってしまった…

毎月のサムネイルに載った作品が主にランクインしそうですが、そうでもないかもしれない。いずれにせよ、例によって順位はなんとなくのテキトーです。意味のないランキングだよ…

それではいってみましょう〜

30位 フールナイト / 安田佳澄

人として死ぬか、植物として生きるか。「転花制度」を巡る人間ドラマに、今年は大きな動きがあり、一年を通して楽しませもらいました。内容はかなり陰鬱なので毎月取り沙汰すのはちょっと憚られていた感じ。

来年再来年あたりにアニメ化されてもおかしくないと思っています。


29位 ハイパーインフレーション / 住吉九

奴隷の少年が世界に仕掛ける「贋札ばら撒き」という"ハイパーインフレーション"。多少、読む人を選びますが、今年完結した作品の中でも指折りの面白マンガでした。

これはアニメ化してほしい作品ランキングみたいなので1位になっていましたね。できるもんならやってほしい。


28位 月出づる街の人々 / 酢豚ゆうき

様々なモンスターたちの日常を切り取った、静かな夜の月明かりような優しい作品。

一冊だけの短編集だと勝手に思っていたので、2巻が出てくれて本当に嬉しかったです。


27位 潮が舞い子が舞い / 阿部共実

阿部共実先生の最新作が完結したのも今年のハイライトの一つ。ちびちび読むのが楽しい夜更かしマンガです。

海辺のまちには、今日も塩が舞い子が舞っていることでしょう。


26位 これ描いて死ね / とよ田みのる

今年のマンガ大賞受賞作にして、間違いなく「2023年の顔」となる作品。マンガに関わる人々の悲喜交々が、愛ありすぎる筆致で綴られています。4巻1話目が何度読んでも泣ける。

とよ田みのる作品を全部読んだのも今年でした。


25位 スクールバック /小野寺こころ

学生たちが抱える日々の悶々を描くオムニバス。今年初めて知った作家さんで印象的なのは小野寺こころ先生かもしれません。

人間の「ちょっとヤな部分」を描き出すのが上手すぎる。


24位 ふたりエスケープ / 田口囁一

『ふたりエスケープ』が終わり、『ペンションライフ・ヴァンパイア』が始まった2023年だったなと今、思います。

どちらも好きですが、どちらかと言うと前者、ということでランクインです。


23位 君と宇宙を歩くために / 泥ノ田犬彦

11月に1巻が出たばかりですが、早速ランクイン。「発達障害」というデリケートなテーマだからこそ、マンガ的表現や設定の巧さが光る、これからも楽しみな作品の一つです。


22位 天狗の台所 / 田中相

ドラマも放送された『天狗の台所』は、今年一年でより一層好きな作品になりました。

地元がド田舎の山奥なので、こういうスローライフ系作品は心の根っこの部分に刺さる。丁寧に作られている良いマンガです。


21位 セシルの女王 / こざき亜衣

女王・エリザベス1世を支えた一人の青年・セシルを軸に描かれる16世紀イングランドの宮廷ロマン。

毎回苦しい展開ですが、感情が揺さぶられまくってます。来年は歴史系ももっと読みたいですね。


20位 九龍城でもう一度 / 藤田三司

サンデールーキー新連載の一つ。おそらく好きだったという人も多いだろうなと密かに思っています。密かに思っているだけではダメなんですけど。

多種多様な種族が暮らす巨体マンション群が舞台の高純度のラブロマンス。一読の価値ありです。


19位 ことり文書 / 天野実樹

年々増してきていますが、「天真爛漫な女の子が、ふとした時に涙流す」シーンに弱すぎる。ことりお嬢様には健やかに大きくなっていってほしい。


18位 猫のまにまに / 宇島葉

2巻収録の猫又たちの死生観についての回がとても好きで、ちょこちょこ読み返しています。

作品全体の雰囲気はコメディ寄りですが、この時の独特の侘しさみたいなものに、自分が求める理想の「動物マンガ」の片鱗を見た気がします。


17位 ちいかわ / ナガノ

『ちいかわ』のすごさはもはやマンガの枠に収まり切らない気がしますが、今年もまんまとやられました。

火金のアニメ、大長編「島編」、グッズ類、各種コラボ、今年一年思い返せばちいかわまみれだったな。


16位 ラーメン赤猫 / アンギャマン

インディース連載から始まり、遂にはアニメ化決定!まさに大躍進の一年だったと言えるでしょう。

ホスト志望の猫・ジュエルが加入してより楽しさが増したと思います。


15位 放課後ブルーモーメント / 旗谷澄生

少女マンガはどうしても堅いところしか手を出せていませんが、それらと肩を並べられるくらいかなり上質なラブを摂取できる期待作です。

短編集『月曜日が待ち遠しくて』もおすすめです。


14位 サラウンド / 紺津名子

程良くユルい空気感、メイン・サブの登場人物たちの距離感、諸々が絶妙で心地良い。

いわゆる「男子高校生の日常」系の作品ですが、そこそこよくある同系統の作品の中で多分一番好きです。


13位 ダイヤモンドの功罪 / 平井大橋

天才が歩む茨の道。「このマンガがすごい!2024」オトコ編1位も獲得した今年ずっとすごかった作品。

1巻のすごさから若干落ち着いた感じはありますが、まだまだ序章なのでね、来年の展開も大いに期待です。


12位 違国日記 / ヤマシタトモコ

今年完結した作品の中でも上位に入ってくるであろう、名実ともに強作と言える作品。陳腐な感想になりますが、どこまでも詩的で美しかった。

「ちがう国の女王の玉座のかたすみで眠る」


11位 本の虫ミミズクくん / カラシユニコ

読書大好き男子の思考の日々。去年の末に出た2巻が一番好きですが、今年出た3巻で完結。

悔しさもありましたが、世間的な評価より自分個人の評価を大切にしたいなと改めて思わせてくれた大好きな作品です。


10位 氷の城壁 / 阿賀沢紅茶

阿賀沢紅茶先生のインディーズ連載作(縦読み)が超待望の単行本化。毎月頭にこの作品を電子と紙の両方で買うことから新しい月が始まっていた一年でした。

7巻時点でまだ残りの話数が半分くらいあるので、来年もこのルーティーンは続きそうです。嬉しい。


9位 縁もたけなわ / 岡畑まこ

幼馴染が他の男と結婚するという話。普通に考えたらドロドロやんけ!と思われそうですが、そんなことはないです。

…とは言っても、これは完全に作家推しで読んで良すぎたやつです。理屈ではないやつです。


8位 ダンジョン飯 / 九井諒子

2014年から数えて約10年の連載が遂に完結。1巻発売時とかから話題でしたが、初の長期連載でここまでの立派な超大作が完成するとは、一ファンとしてただただ嬉しいです。

1月からはアニメもスタート!期待大!


7位 双影双書 / 舟本絵理歌

連載開始は去年ですが、1巻が出たのが今年の1月で、今月3巻が出ました。

サンデー本誌からサンデーうぇぶりに移籍したり、休載があったり、と平穏無事に連載が続いているわけではないですが、それでもやっぱり大好きです。


6位 転がる姉弟 / 森つぶみ

デコボコ義姉弟の愉快で優しい毎日。これは「もっと早く読んでおくべきだった賞」受賞作品です。今となっては好きすぎる。

言葉にして伝えにくい部分ですが、タイトルに「転がる」を付けるセンスも好きです。有無を言わさず読まれまくってほしい作品。


5位 東京ヒゴロ / 松本大洋

マンガ好きな方で『東京ヒゴロ』嫌いな方いない説(絵が苦手とかいう奴はお帰りください)。

全3巻通して基本ずっと静かで、物語の起伏も決して大きくありません。それでもここまで熱を帯び続けたのは流石です。


4位 隣のお姉さんが好き / 藤近小梅

こちらも12月に最終巻が出たばかりですが、問答無用の上位ランクイン。

今年は『好きめが』共々、藤近小梅先生の一年だったと言っても過言ではないでしょう。


3位 うめともものふつうの暮らし / 藤沢カミヤ

「もっと早く読んでおくべきだった賞」受賞作品その2。

うめとももの幸せ溢れる”ふつうの暮らし”を覗いて微笑む、もはや幸福論のような作品。全ページ眼福でしかなくて、良い意味で外では絶対読めません。


2位 いやはや熱海くん / 田沼朝

モテる男子・熱海くんのままならない恋の話。

微BLといえばそうかもですが、とにかくキャラクターの掛け合いが秀逸。全コマ楽しい。細かい言葉選びや所作にオモロが詰まっています。すごい。


1位 宇宙の音楽 / 山本誠志

奇を衒ったわけではないですが、今年一番好きなマンガを一つ選ぶとしたらこの作品です。

全3巻で既に完結していますが、人と人の「息が合う」瞬間がシンプルに描かれていて、どこまでもさわやかで清々しかった。ポカリのCMみたいな感じ。

音楽(吹奏楽部)マンガの新たな名作が生まれた2023年でした。

というわけで、2023年コミックベスト30でした。こうしてまとめてみると、明らかに穏やかめな作品が多い。

ドンパチやるようなマンガは近年本当に読まなくなりました。そもそも純粋なバトルマンガ自体、世の中的になんか減ってきている印象。

おすすめのドンパチマンガがあれば是非教えてください。

そして、今年の本棚マンガ大賞受賞作品は『宇宙の音楽』でした。おめでとうございます、というよりありがとうございます、って感じです(実際別にめでたくはない)。この作品に出会えて良かった。

こういう「読めて良かった」と思える作品に来年もまた沢山出会えることを願っています。

さて、早いもので毎月のこの本棚記事を書き始めて、この12月で丸3年が経ちました。(正確には2021年の2月からですが、記事数的には丸3年)

雑に消費してしまいがちな自分の趣味を、何かしらの形で残していきたいという思いで始めたわけですが、3年経って何か変化があったかというと、そんなことはなく。

ネット上での喋り相手は微増(いつも相手してくれてありがとうございます)、読む量とかかるお金の量は爆増しましたが、自分の中身的にはほぼ無変です。

ただ、「変わりたい」「変えたい」と思ってやっていることではなく、寧ろ逆で、ここだけは変えたくないと思って続けている感じ。変化は求めていない。

人間って時間が経つにつれ、どうしたって変わっていくので。自分も他人も世の中も、もっとずっと変わらないでいてほしい。変わらないものを探していたい。

そんな自分のわがままな願いみたいなものを込めるように記録しています。ただ続いていてくれたらいい。「継続は継続なり」なのです。

そんなまま、来年も変わらず4年目の「本棚」を書き残していくつもりです。読んでくれている人がいたらどうもありがとう。


ではでは、良い年をお迎えください〜

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