【読んだ】12月の本たち
12月に読んだ本たち。これらの本を読んで考えたり考えなかったりしたことを端的にまとめている。
幸せになる勇気/岸見一郎
身内に「愛を学ぶならこの本がおすすめ」と言われて半ば強制的に読んだ。
この本によると、誰かを愛することとは"決意であり決断であり約束である"そうで、本の中に書かれていた次の文章を読んでなるほど、と思った。
相手は何を考えているかな、何をしたら喜びそうかな、あれは好きそうかな、一緒に行ってみようと声をかけてみるか。そんな気持ちは持っていなかったかもしれないと思った。
コンセプトの教科書ーーあたらしい価値のつくりかた/細田高広
物事を創り出すときは「なにをやるか」よりも「なぜやるか」が大切だと思っている。その時々によって「なに」の最適な形は変わるし、人は「なぜ」に惹かれると考えているからである。「なぜ」はその人の想いから生まれるものだと思っていて、特定の誰かが生み出す価値があるものだ。
この本ではその辺りの考え方をまとめるところから、コンセプト(全体を貫く新しい観点)の作り方をわかりやすく提示してくれるのがよいと思った。
虫と歌/市川春子
「宝石の国」で有名な市川春子氏の作品集1作目。
彼女の作品では、極めて人に近い、けれど人ではないものが描かれるからか、読んだ後はいろんなものや人に対してフラットな目線を向けるようになる気がしている。
俗世から一歩距離を置きたいときに何度も読み返している。このシリーズは過去に読んだ漫画の中でTop3に入るくらい好きである。
あした死のうと思ってたのに/吉本ユータヌキ
知り合いがこの漫画で読書会をしており、この漫画の存在を知った。
明日死のうと思っているようなときに受ける他者のやさしさは、たとえ本人が意識していないささいなひとことひと振る舞いだったとしても、人の選択を大きく変えるほど大きな意味を成すのだと思った。
そういう人ほどこまやかで傷を知っている。
以下は5年前の自分が書いた文章の一節である。
妻のオンパレード/森博嗣
一年に一回、年末に発行される森博嗣氏のエッセイである。ちょうど昨年の今頃に初めて手に取り、森さんの考え方にハマったので継続して読んでいる。ちなみにこれまで「エッセイ」と分類されるものには興味がなかったのだが、このシリーズを読んで考えが変わった。以降、人の話をよくききたいと思うようになったし、自分のやりかたを柔軟に変えるようになった。
偶然の散歩/森田真生
数学者である森田氏が、子どもと散歩をしながら考えたことを書き記したエッセイ。先に記した森氏のエッセイに続き、森田氏の作品も、これまで自分が持っていたエッセイへのイメージ(日常生活における具体的な事象を細かく描いた作品)を覆してくれた。
森田氏が書いているのは頭の中の話なので、具体的な生活の話はほぼ出てこない。生活の話をしていても、どこか俯瞰的に考えを展開している様子が伝わってくる。
自分は自分が子どもだったときから「意味がわからないから」という理由で子どもが嫌いだった。(特に子どもの頃は、なぜ同級生が急に泣いたり走ったりするのか意味がわからず、混乱していた。)
しかしこの本を読んで、彼の目から見えている子どもを知り、考えが変わった。フラットな目線を持っていると自負していたが、何も見えていないと思った。彼らの目から見える世界は、きっともっと面白く美しい。
スキップとローファー1-7巻/高松美咲
アニメで観ていてとても好きだったので、続きが気になりコミックスを購入した。漫画の一気買いには年の瀬を感じる。
この漫画の中の世界では、みんなが思ったことをすべて外に出してるわけではなく、あくまで状況やキャラクターの感情は一部しか表に出ていないのがよい。文章やシチュエーションの背景を噛み締めたくなる。キャラクターが作者の手を離れて生きている感じがする、めちゃくちゃ優しい漫画である。
「思ったことを言ってみたけど、よく振り返って考えてみたらやっぱり違った」と相手に言い直しにいっているキャラクターが多いのがよい。自分もそうやって人と正面から関わりたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?