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脳梗塞・脳出血におけるCT・MRIの見方と障害から考えるべきこと

はじめに

こちらは2019年に実施した脳画像セミナー『脳梗塞・脳出血におけるCT・MRIの見方と障害から考えるべきこと』のセミナーレポートになります。

脳卒中患者様をリハビリをする上で避けては通れない脳画像の見方に関して、まずは基礎的なCTとMRIの見方についてポイントをお伝えしていきながら、脳梗塞や脳出血といった病態でどういったことを気を付けるべきなのかをまとめています!

尚、セミナーでお伝えした内容に関しては講師である山本秀一朗のフィルターを通して、臨床場面で実際に山本がどうその知識を臨床解釈をしたかをお伝えしている部分となりますので、その点に関してはご理解・ご了承いただければと思います。

こちらの内容は5月9日の脳画像オンラインセミナーでも詳しくお伝えしていきます!


どうすれば脳を評価でき、脳の治療に繋げられるのか?

脳卒中患者様において治療対象となる部位はどこにあるのか?
そして普段の臨床場面において皆様は患者様のどの部分に治療部位を決め、リハビリを行っているのか?

まず明確にしないといけないのは、評価している部分治療対象の部分は一緒でないといけないということです。

それは、脳卒中という病態そのものが『脳自体の問題』となるため、いくらベッド上で筋肉をマッサージしたり、関節運動の練習をしていても、脳そのものに対してどういった目的で治療していくかを明確にしていかないと、その脳機能自体を変化させることはできません。

特に脳卒中発症初期などにおいては、脳の障害を受けた部位と実際に見られる症状が乖離することもしばしば見受けられ、これらを脳卒中後の機能乖離として、どのネットワークに問題が生じてくるかという4つに分類した報告もなされています(Carreraら2014)。

機能乖離

Diaschisis "at rest":安静時において、局所脳損傷が遠隔領域(赤色)の代謝低下を惹起する
Functional diaschisis:選択課題中の正常脳活動(黄色)が変化し、損傷後に増加(緑色)/低下(赤色)する
Connectional diaschisis:選択したネットワークの結合の強さや方向が、増加(緑色)/低下(赤色)する
Connectomal diaschisis:連結ネットワークの損傷が、コネクティビィティの増加(緑色)/低下(赤色)を含んだ広範な脳内ネットワーク組織化を惹起する

つまり治療すべき目的が脳機能のどの部位の問題に対して行っているかを明確にしていくことがセラピストにとっては非常に重要な課題であり、それらを知るためにも脳画像や病態把握が重要になってくるのです。

※マッサージや関節運動自体が脳への刺激になっていないというわけではありません。マッサージなども筋肉(しいては筋紡錘)に対して、どういった刺激入力を何の目的で実施しているのか、関節運動を介してどういった受容器からの感覚情報フィードバックを脳へ入力しているのか、など、そこに脳を変えるという目的を是非持ってほしいということになります。

脳を治療対象とするためには、まずは脳のどこを損傷しているかを知ることが大事であり、ただ単なる現象に対する対処療法にならないような関わりが必要になってきます!

対処療法とは:例えば上肢のリーチの際に肩が代償的にあがる。その原因の一つに肩甲骨が挙上位になっているから、肩甲骨周囲の筋をマッサージでゆるめていくといったことです。

つまり大事なことは、現象に対する原因がどこにあるのか?をみつけていくことが必要になってきます。その際に、その主原因である脳がどのように損傷を受け(どの血管が障害を受け、どうの脳機能の領域が障害を受けたのか)、どういった機能が残存もしくは障害され(運動麻痺や筋緊張異常といった様々な症状)、その脳に対してどういった治療展開(原因追及に対する介入)を考えていくかを明確にしていく必要があります。

原因追及2

それには脳画像をみることは必須の知識となり、脳卒中という病気そのものがどういった障害なのかを知る必要があります。

そもそも脳卒中とはどういった障害?

まず脳卒中の患者様を担当するときに知っておかないといけないのが、その患者様の脳卒中の原因が、脳梗塞か脳出血かのどちらであるかということです。

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