肩関節疾患でセラピストがみるべきMRIのポイント
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肩関節疾患でセラピストがみるべきMRIのポイント

脳外ブログ 臨床BATON

おはようございます(^ ^)

本日も臨床BATONへお越し頂き、ありがとうございます。

297日目を担当するのは理学療法士のゆーすけです。


肩関節周囲炎、腱板断裂患者様を担当した時にMRIで何をみていいかわからない人

「MRIで何がわかるの?…。MRIでみるべきポイントがわからない…。MRIからリハビリへ活かせる情報は?…。」

こういった疑問にお答えします。


★はじめに

今回は前回お伝えした肩関節周囲炎と腱板断裂のレントゲンの見方に引き続いて、MRIの見方、見るべきポイントについて考えていきたいと思います。
今回もイメージする患者様像として外傷性の腱板断裂ではなく、明らかな原因はなく肩が痛いから病院を受診したら肩関節周囲炎もしくは腱板断裂と診断されたというイメージです。

MRIはレントゲンと違って撮影時間を多く要するため、患者様の負担はありますがそれだけ確かな情報を得ることができます。
主には肩腱板断裂の精密検査になりますので肩が痛くて来院され、初回もしくは2回目の来院のタイミングで撮影されるので痛みが強い中40分動かずに留まっていることになるのでかなり苦痛で、何度もストップボタンを押そうかと思ったと言われる方もよくいました。

そんな思いで得られた情報であるMRIだからこそリハビリ場面でも活用したいところです。

MRI所見を把握した上でリハビリプログラムを組めると患者様への説明も変わってきます。
このブログを読み終わった時にMRIをみてみようと思ってもらえると嬉しいです。

★腱板断裂の確認

レントゲンとMRIの違いで言えば、腱板が切れてるか切れてないかは大きなポイントとなります。
腱板の中でも最も切れてる可能性の高い棘上筋をまずは確認します。

正面像

こちらは肩関節痛で来院されましたが、腱板は断裂していなかった症例様の正面像です。

正面像

棘上筋に高信号はありません。


こちらが棘上筋の断裂が認められた症例様です。

棘上筋断裂正面像

どこが断裂しているかわかりますか?

棘上筋断裂正面像

画像のように正面像で断裂している部分は高信号として写ります。

★大事なのは腱板が断裂している、断裂していないだけではない?

正面画像で腱板の断裂の有無を確認した上でもう一つ大事な部分があります。
腱板断裂があるケースでは腱板修復術を施行していく流れになりますが、術後のリハビリをしていく上でもう一つみておくべきポイントがT1強調斜位矢状断像になります。
その為に知っておくべき知識としてGoutallier分類になります。

Goutallier分類は0〜4の5つのstageで筋萎縮と脂肪浸潤の程度を把握することができます。

stage 0:脂肪浸潤なし
stage 1:軽度の脂肪浸潤と筋萎縮
stage 2:筋よりも脂肪浸潤の範囲が狭い
stage 3:筋と脂肪浸潤の範囲が同等
stage 4:筋よりも脂肪浸潤の範囲が広い

みていく筋肉はというと棘上筋になります。
棘上窩でY viewが描出される断面でみていきます。
前回のブログで肩のレントゲンにおけるスカプラYの説明やみるポイントについて触れていますので、スカプラYについて知りたいという方はそちらの方もご覧下さい。(https://editor.note.com/notes/n92839e724d4a/edit/

では、実際にみていきましょう。

斜位矢状断像


どこが何の部位かわかりますか?

斜位矢状断像

Yの左上に見えるのが烏口突起になるので、向かって左側が前側になります。Yの上面部分が棘上窩でそこに収まっている筋肉が棘上筋です。
烏口突起を見つけて前後を判別できると肩甲下筋や棘下筋がわかりやすくなります。

この画像の症例様は初めの正面像で示した方と同一で腱板断裂のない症例様です。

次の画像は正面像で提示した2例目の症例様で腱板断裂のある方です。

斜位矢状断像

先程の症例様と解剖学的位置関係は同じになりますが、どこに違いがあるかわかりますか?

斜位矢状断像

棘上筋が萎縮し、脂肪浸潤しています。
Goutallier分類で照らし合わせると、筋よりも脂肪浸潤の範囲が狭いことからstage2になるかと思います。

この分類のstageが上がっていくにつれ、脂肪浸潤の程度が広くなるので修復術した後も再断裂の可能性があがると言われています。

手術にて腱板修復するから大丈夫!
ではなく、修復後のリハビリプランとして再断裂の可能性を考えておく必要があると思います。

★Goutallier分類から術後の展開を考える

MRIで断裂の有無から治療方針として手術をする・しないが決定していきます。それに加えて筋萎縮・脂肪浸潤の程度から手術した場合、術後の再断裂の可能性を見ていきます。
stageが上がるにつれ棘上筋の萎縮の程度が強いことになるので、手術しない場合でも手術して自動運動が可能となった時期であっても棘上筋が機能しにくい、つまり骨頭を関節窩に引き付けづらい状態にあります。
さらに手術となった場合、小断裂・中断裂・大断裂で外転装具の固定期間が変わってきます。
断裂の程度が大きいと固定期間も長くなり、長いケースでは8週間固定となります。その間、棘上筋の収縮が禁止されるわけですからさらに発揮が困難となります。
こういったケース程、自動挙上60°からインピンジが起こり挙上困難・疼痛が残存しやすいです。
プロトコールとして自動運動が可能となった段階でも大断裂ほど自動収縮を敬遠されがちですが、低負荷でもいいので棘上筋の収縮を可能な範囲で取り入れていく方が筋肉の回復が早くなるので、挙上時のパフォーマンスが変わってきます。

★さいごに

いかがでしたでしょうか?
肩関節周囲炎と腱板断裂を分ける大きなポイントとしてはMRIの正面像における高信号の有無です。
そこからリハビリ展開していく上で、筋萎縮の程度を把握していることが自分自身は大切なポイントと思っています。

手術の有無に関わらず、棘上筋が萎縮していると挙上や外転時のインピンジに関わってくるので、Goutallier分類から棘上筋の萎縮の程度からリハビリ時間における筋力訓練に割く量であったり、セルフトレーニングを指導する上での負荷量の設定に役立ってくると思います。

今回の内容が少しでも臨床へのヒントになれば幸いです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

次回の臨床BATONは、一平さんです!
今回のテーマは「障害別で見ていく応用歩行の見方 〜後方歩行を考えていくためのポイント〜」です。
皆さんお楽しみに!
それでは、一平さんお願いします!


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