10分でわかるSFT

孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor/hemagiopericytoma)

ポイント

髄膜腫、血管芽腫と同様、間葉系腫瘍であり、髄膜腫との鑑別が重要

分類

  • hemangiopericytoma(HPC)は病態(遺伝的背景)が同一として、SFTに吸収される形で、消滅した。

  • WHO grade 1が従来のSFTで、grade 2, 3がそれぞれHPC, anaplastic HPCに相当する

原因遺伝子

12番染色体長腕での、NAB2遺伝子とSTAT6遺伝子の融合遺伝子 NAB2-STAT6 fusion gene

頻度など

  • 全脳腫瘍における0.3 %と稀

  • 30代から50代に発症 (髄膜腫より若い)

  • ほとんどは硬膜に付着し発生するが、軟膜下・実質内・脳室内発生の報告も

  • 臨床症状は発生部位により異なる

画像

  • 付着部の骨破壊や骨融解を伴う (髄膜腫は骨肥厚)

  • 腫瘍内石灰化は少ない

  • 豊富な血流を反映して内部にflow voidを認めることも多い

  • 出血発症もある

病理

  • 細胞質に乏しい腫瘍細胞が高密度に単調なシート状に配列

  • 腫瘍細胞間に血管腔がみられる=鹿の角のよう(Staghorn  appearance)

  • (髄膜腫に特徴的なwhorl formationやpsammoma  body、石灰化などはみられない)

  • STAT6免疫染色で核が陽性 (fusion geneの影響で核内に留まる)

  • 細胞密度が低く膠原繊維が豊富であれば、WHO  grade 1

  • 壊死の有無と、核分裂像(強拡大10視野で4個までと5個以上)で、Grade 2と3が分けられる。

治療と予後

  • grade 1では手術摘出が第一。術後の長期の経過観察が勧められる

  • grade 2,3も手術摘出が中心

  • 再発がしばしばみられる

  • grade 2,3 (HPC)の5年生存率は40-70%

  • 播種や肺・骨・肝臓への転移は髄膜腫よりも高い (発症から平均7.6年)


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