ボバースアプローチ編:肩甲骨/肩関節の評価と治療【座位から上肢挙上のsetting】
お疲れ様です。はらリハです。
セラピスト向けの投稿です。
本日は…
「ボバースアプローチから考える肩甲骨と肩関節の評価/治療」を題名にお話ししたいと思います!
はじめに
ボバースや環境適応など、徒手的な誘導から患者様の動きを改善させていく主義では、視診での動作分析、徒手的な誘導に伴う姿勢や筋活動の変化を捉えることから治療仮説を組み立て、治療場面を展開することが多いです。
一例をもとに…
1)視診での動作分析
2)徒手的な誘導から得られる評価
3)評価から得られる情報での仮説
4)訓練の組み立て
基本的にはこの流れで羅列していこうかなと、思います。
1)評価
上肢の挙上を課題として評価/訓練の組み立てを考えます。
両手バンザイに対して…
● 前額面
□ 右肘屈曲
□ 右指の屈曲
□ 左股関節外旋
□ 左足部が内側
→ 右上肢挙上の制限あり?
● 矢状面
□ 肩関節の挙上の可動性は差はない
□ 右肩甲骨挙上あり
placingから随意運動の反応
右肘近位から上方へ誘導、100°辺りから抵抗/重さあり、肩甲骨挙上で引き上げる反応、上肢からは足底の知覚が得られにくい、下ろす際はさらに重さを感じる
反対側は、120°辺りで抵抗あり、内旋の反応を引き出すとより上がりやすいが、下ろす際には体幹屈曲が出現しやすい
手首誘導から肩関節伸展誘導、伸展5°でやや外転あり、肩関節前上部に抵抗、内旋で抵抗緩和
反対側は、同様にやや外転を認めるが右よりは抵抗が遅い
後方からの視診
右肩甲骨前傾、下制、腋窩からやや外側から内旋傾向
左骨盤は後方に崩れあり
肩甲骨の動きを徒手的に評価
右腕の重さを取って肩甲骨の動きを見るため、腋窩の前壁と後壁を持ち肩甲骨の挙上で、初動から抵抗が強く、そこから上げようとすると反対方向に姿勢が移動する
反対派、肩甲骨の挙上で重さは強く、肩甲骨自体は動くが、肋骨下部辺りが挙上に伴い、連動して動いてしまう
2)仮説
→ 1つの仮説
左股関節の支持性低下から姿勢を保つために、左股関節屈曲、内転での固定、胸腰椎移行部周囲の後面筋の緊張を高め、左側への姿勢の崩れに対して右上肢の下制の代償に伴い、右上肢の挙上時に抵抗、自重感、制限が出現していると仮説
3)治療編
stop standing
起立〜立位姿勢時に左後方への崩れから股関節屈曲、内転、左側への荷重で後方へ崩れが増す。
左下腿外旋から股関節内外転中間位へ修正し、股関節伸展を促しながら骨盤前傾から右側への支持、膝関節屈曲誘導から中腰姿勢で保持、殿部の活動を入れながら着座誘導。
→左股関節の活動が上がることで右肩甲骨の下制の固定が軽減
円筋群のmolding
前方に台(机やアダプターなど)に左上肢を設定し、左頸部の代償を取り除くために左側頭部に枕を設定。
片方の手で三角筋中部を把持から上腕骨頭/肩峰を前方、やや内旋位に移動させた状態で止め、もう片方で肩甲骨外側縁〜下角を把持しながら腋窩の筋を下制方向に移動させながら円筋群の長さ、胸腰椎移行部〜胸郭まで前方への動きを作る。
末梢刺激から右上肢を台へ乗せ、下記でさらに可動性を引き上げていく
上記に合わせて、肩甲骨の動きに対して上腕、上腕に対して肩甲骨の動きを拡大させて、長い手を作りながら前方へsetting。
→肩甲骨の固定に伴う円筋群の柔軟性低下から筋紡錘や腱器官の受容性低下に対して上記の課題を行うことで、問題点の改善が図れる
頸部の枕を外し下記へ移行。
広背筋の伸張性
頸部の枕を抜くと、胸腰椎移行部の屈曲が見られるので、殿部にタオルを入れて伸展を促通した中で体幹下部はstabilityに、上部はmobilityを求める。
円筋群のmoldingで設定した状態で上腕三頭筋を把持しやや前方へリリースをかけながら、頸椎/胸椎を屈曲させ、骨盤〜上腕骨に付着している広背筋の伸張性を確保する。
広背筋の長さが出てきたら、胸椎伸展位を入れながら肋骨を右側へ誘導し、右坐骨へ乗せて、上肢の活動に必要な股関節/胸椎/肩甲骨のsettingを終える。
→肩関節を動かす際に、肩関節の動きに対して、股関節/胸椎/肩甲骨の連動性が得られるように筋の柔軟性を確保する。
→この姿勢から、リーチ動作/挙上練習/上肢の支持など、訓練を導入していく。
おわりに
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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