見出し画像

右片麻痺の感覚脱失『感覚情報変換のエラーの考え方』

お疲れ様です。脳リハです。

本日は「右片麻痺の感覚脱失」について投稿していきます。

「動きません。感覚は全くわかりません。」

40代男性、被殻出血により右片麻痺を呈した方(A氏)で、アームスリングを付け、右手に関しては「一切動かないし、感じない」と記述してきました。

実際には…

☑︎ 物を介せば手指屈曲が可能

☑︎ 両手でものを持てば肩関節周囲筋の活動あり

☑︎ 机とカーペットの素材の違いが分かる

など…

本人の言葉と現象にズレが生じています。

なぜなのか??

右片麻痺の世界

出血によるダメージにより、右半身の麻痺を呈したことで、以前と同じ方法では動かすことが出来なくなります。

この時に、以前と違う方法で動かすには、動くところを使って動かすという選択ができます。

これが、いわゆる代償です。

手が動かないので、体幹を使って動かそうとしたしたり、指を曲げようとしているのに肘が曲がってしまったり、人によって様々な方法を選択します。

しかし、右片麻痺であるA氏は、その代償は全くなく、歩く時すら上肢の緊張は上がりません。

それに対して、随意的な動きは出力が弱いも動きますので、運動神経自体は繋がりがあると言えます。

つまり「一定の環境なら動くが、自身では動かないと認識している」事になります。

一つ考えられる仮説は「感覚情報変換の問題」です。

感覚情報変換とは…
行為的表象(動作的)/象徴的表象(言語的)、映像的表象(図象的、偶像的)が情報変換による相互作用のことである。

簡単に言うと、
 
体性感覚/視覚/聴覚が互いに矛盾なく同一の意味としてマッチングする事で、自分と世界との環境を構築する事ができる
 
という事です。

A氏は、体性感覚と視覚/聴覚情報の感覚情報変換のマッチングが上手くいかず、「感じれるのに感じれない手」を構築してしまったと考えられます。

何をすればいいのか? 

被殻出血なので、感覚情報を受け取る場所ではなく、その神経の通り道の障害なので、感覚を全く受け取ることが出来ないとは考え難いです。

つまり、その通り道を新しく作り替える作業が必要です。

感覚情報変換を非麻痺側で構築し、視覚と言語を体性感覚情報との繋がりを作り、それを元に麻痺側に再現させる事で、新しい経路を構築することが回復の一歩になります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?