ボバースアプローチ編:上肢の評価/治療【スキャプラセットから前腕遠位まで】
お疲れ様です。はらリハです。
セラピスト向けの投稿です。
本日は…
「ボバースアプローチから考える肩甲骨の安定性からリーチ動作の評価/治療」を題名にお話ししたいと思います!
はじめに
ボバースや環境適応など、徒手的な誘導から患者様の動きを改善させていく手技では、視診での動作分析、徒手的な誘導に伴う姿勢や筋活動の変化を捉えるで治療仮説を組み立て、治療を展開します。
一例をもとに…
1)視診での動作分析
2)徒手的な誘導から得られる評価
3)評価から得られる情報での仮説
4)訓練の組み立て
基本的にはこの流れで羅列していこうかなと、思います。
1)評価
前回の続きから始めていきます。
前回は、上肢を動かすための股関節/体幹の土台の部分をターゲットに評価/治療を紹介しており、今回は、肩甲骨/肩関節/肘関節へ繋げていきます。
● 評価/治療ターゲットの右上肢挙上に対して…
上肢挙上に伴う肩甲上腕リズムの観察
上肢挙上30°程度では、肩甲骨内転下制して肩甲帯をsettingします。
その後、肩甲上腕リズムに基づき、肩甲骨上方回旋が生じます。
そこを踏まえて症例は、初動から下角が外転方向に動くため、肩甲帯のsettingが不十分であり、肩甲骨後傾が強く、上腕骨頭が前方、内旋位に移動していることが観察された。
脳卒中後遺症の症例では、上腕組織が内旋位になりやすく、上腕三頭筋が外側、上腕筋が内側に移動しやすいです。
ここを踏まえてハンドリングから治療展開を解説します。
2)仮説
評価と治療を混合させているため、細かい仮説は治療編で説明するが、現状はscapula settingの不十分さから、上肢挙上時の左右差が出現しており、そこを治療することで運動効率と挙上範囲の拡大を狙う。
3)治療編:ハンドリング
肩甲骨のmobility
上肢の重さをセラピストの下肢で免荷し、肩甲骨と上腕骨を動かせる状態に設定する。
そこから、肩関節そのものの動きを出さないように、片手で上腕三頭筋の筋腹を把持し、上腕骨頭を外旋位から骨圧を入れて、求心力を高めておく。
次に、もう片方の手で肩甲骨を把持し、脊柱に対して骨盤をuprightさせ、肩甲骨内転下制方向→肩甲骨外転挙上方向にmobilityを引き出す。
ここでは、肩甲骨のボディースキーマに落とし込むために、肩甲骨外側縁〜下角〜内側縁に圧を加えて、肩甲骨のイメージを入力信号として導入することが望ましい。
肩甲骨のmobilityが得られたら次の治療へ。
大胸筋の柔軟性
股関節の支持をセラピストの足で介助(股関節中間位へ)し、手の重さはセラピストの脇で挟むことで両手がフリーになる。
大胸筋は水平内転に作用するが、大胸筋の位置が上方にあることで抗重力的に伸展に作用するため、ここを修正することで肩甲骨の前傾が緩和し、肩甲帯の安定性が得られる。
セラピストは、先ほどと同様に下角を肋骨上にセットしてから、大胸筋を上に移動させ、起始部と停止部に近づけて、鎖骨部から外側に開いていくことで前胸部が開き、前胸部が外旋する可動性が得られる。
上記後に上腕二頭筋など、屈筋群の外旋位が足りないようなら、上腕三頭筋筋腹を把持している手で肩甲骨内転下制に入れたままmoldingし、上腕二頭筋の起始停止を近づけてから外側に移動させていく。
そこから、上腕三頭筋の起始停止を近づけて内側に移動、動きが出てきたらやや下方に持ち手を移動させ、上記同様に上腕二頭筋/上腕三頭筋のmoldingを進める。
※ 常に脊柱に対して骨盤をuprightに保持させつつ、scapula settingを意識させておく
肘関節と前腕のmoiding
上記の※は入れつつ、セラピストは片手で上腕三頭筋遠位を把持し、上腕骨をセットさせた中で、前腕筋群に対してmoldingから骨から筋を剥がしていき、起始停止を近づけた中で、上腕に対して前腕回内外の選択的な動きを回内外の動きから引き出す。
そこからさらに安定させるために、上腕三頭筋の長さを保ちつつ、肩関節90°程度屈曲させながら肘関節屈曲位を作り、肩関節水平内転の動きに対して体幹が動かないかどうかを観察していく。
ここで、体幹の動きが出るようなら、ローターカフ/大胸筋/小胸筋/円筋群の長さや柔軟性を見ていく。
外旋のコントロールをさらに引き出す
上記の水平内転位から、把持している手から体幹の操作/右の坐骨が知覚できるかを探り、坐骨が知覚できる位置で、上腕三頭筋を把持している手で肩関節外旋位でセットし、もう片方の手で肩甲骨を把持させ、上腕を止めた状態で肩甲骨を内転下制に動く範囲で動かしていく。
次に、内転下制に止めた中で上腕を前方へ移動させ、動きが出てきたらscapula settingさせる。
遠くへリーチアウト
片手は上腕三頭筋筋腹、もう片方が手指伸展で運動方向を誘導させる。
運動方向は、肘関節軽度屈曲から肘関節伸展で前方、動きが滑らかさ(筋活動が高まりやすいことで軽さを感じる/可動性する範囲が広い)が出てきたら外転方向へ繰り返し、側方リーチにつれて坐骨の知覚をさせ、プレーシングへ誘導していく。
→肩関節から遠位の動きに対して、肩甲骨の安定性が得られたため、リーチ訓練だけでなく、手指への訓練にも移行が可能になる。
おわりに
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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