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小脳失調【協調運動の障害の分類と評価項目】

おつかれさまです。はらリハです。

本日は…
病気が見えるから抜粋!小脳の障害である小脳失調(小脳性運動失調)」について説明します。

はじめに

前回は「小脳半球、小脳虫部、片葉小節葉」の3つの経路、機能を説明しました。

そこを踏まえて、それぞれの機能障害が起きると「小脳失調(運動失調)」と呼ばれる特徴的な症状が見られます。

運動の協調性を失うことで運動失調と呼びますが、よくわかりませんよね。

運動と協調性を分けて考えてみましょう。

ここで言う「運動」と「協調性」とは…

☑︎ 運動(筋肉が収縮することで関節が動くこと)
☑︎ 協調性(筋肉が収縮するタイミング/組み合わせ/出力を決めること)

という意味を持っています。

これを踏まえると、運動失調とは…

筋肉を収縮するタイミングや組み合わせ」が合わず、「スムーズな動きを失うことで歩くときにフラフラしたり、バランスを取りにくくなる」と言われています。

そこを踏まえて、障害部位に伴う特徴的な協調運動の障害を説明します。

小脳半球(大脳小脳)の機能障害

小脳半球は「四肢の運動の調節、言語」の機能があり、そこが障害を受けると以下の症状が見られます。

☑︎ 四肢の運動失調(変換運動障害、測定障害、運動の分解)

☑︎ 企図振戦

☑︎ 筋トーヌスの低下

☑︎ 小脳性構音障害(断綴性言語(だんせいげんご)など)
小脳半球の障害

四肢の運動失調について

 変換運動障害

ある動きからそれに拮抗する逆の動き(前腕回内から回外運動、屈筋の収縮から心筋の収縮など)への変換がスムーズにできないことを言います。

▶︎ 評価:手回内・回外試験など

 測定障害

手足などを目標に正しく持っていくことができず、ズレてしまう症状を言います。
小脳障害では、測定が課題となり、手足が目標物を超えてしまうことが多いです。

▶︎ 評価:鼻指鼻試験、踵膝試験など

 運動の分解

複数の筋が協調してスムーズに動くことができず、バラバラになってしまう状態を言います。

▶︎ 評価:鼻指鼻試験、膝踵試験など

企図振戦について

手足が目標に近づけ葉としたときに生じる、不規則にふるえのことを言います。
目標に近づくほど、震えが大きくなることが特徴です。

▶︎ 評価:鼻指鼻試験、膝踵試験など

筋トーヌス低下について

主に、体幹など、中枢の筋緊張の低下が見られます。

▶︎ 評価:筋トーヌスの診察など

小脳性構音障害について

・断綴(だんてつ)性言語
発生に必要な喉頭筋群などの協調運動が障害されるため、酔っ払ったような、数語ずつ、途切れ途切れで不明瞭な話し方が見られます。

・緩徐言語
ゆっくりとした話し方をが見られます。

・爆発性言語
音の大きさを調節できず、突然大声になることが見られます。

▶︎ 評価:言語の診察など

小脳虫部(脊髄小脳)の機能障害

小脳虫部は「体幹の運動の調節」の機能があり、そこが障害を受けると以下の症状が見られます。

体幹の運動失調について

体幹の姿勢保持、運動調節ができないため、立位またはひどくなると座位でも体幹の動揺が見られることを「体幹失調」と言います。

▶︎ 評価:躯幹失調試験、座位・立位・歩行の診察など

片葉小節葉(前庭小脳)の機能障害

片葉小節葉は「平衡、眼球運動の調節」の機能があり、そこが障害を受けると以下の症状が見られます。 

平衡障害について

平衡や眼球運動の調節ができず、めまいやふらつきなど、身体が全体的に揺れるような症状や、目の手の協調性が合わないことが見られます。

▶︎ 評価:動的・静的体平衡検査、眼振検査など

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