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みんな誰かの物語を知りたいし、知りたくない

恋ってなんだと思いますか?
恋って、その人の物語を好きになることらしいです。
心理学的にも説明がつくそうですが、詳しくないので知りたい人は調べてみてください。

物語に恋する、というのはどういうことか?
簡単な例で説明します。

「あの子って女子大生だけど、夜はキャバクラで働いてるんだって」

「あの子ってキャバ嬢だけど、昼は大学で勉強してるんだって」

どちらのセリフも同じことだけど、
どちらのセリフを聞いてその子に興味を持ったり好きになったりするかは、人によって違います。
どちらのセリフでも同じ人のことを言っているのに。
それは、明かされた順序による物語、ストーリーが刺さるか刺さらないか。
それが違いになってくる。

Motherという邦画を観ました。
浪費を繰り返して男から男を渡り歩く母親・秋子と、その母親に付き従う息子の周平の物語。
彼らが浮浪者のようになって、街角で佇むシーンで、誰も彼らに話しかけないシーンがあって、見覚えがあるなと思った。

新宿、渋谷、池袋。
東京の大都市にはホームレスと呼ばれる人がたくさん道で寝泊まりをしているのを見かける。
またそれと同じくらい、繁華街では夜から明け方になると酔いつぶれた人が街に溢れる。

そのどちらにも、誰も話しかけない。
どうしてかなとずっと考えていました。
身なりが汚いから? 自分とは関係ないから? 関わったら面倒?
そういう具体的な理由もあるかもしれない。
だけど。

その人の"物語"に触れたくない。

それが本質なんじゃないかと思います。

ホームレスになるには、道で酔いつぶれるには、タトゥーを入れるのには、ピアスを大量に開けたり髪色が派手になるのには、ホストになるには、キャバ嬢になるには、リストカット痕が付いているのには、チューハイ缶片手に歩くには、そこに至るまでの"物語"があるから。

それに触れたくない、触れたら最後引きずられて元に戻れなくなる、その感覚が、街中にいる普通とは違う身なりだったり見た目をした人を避けたくなる、と同時に惹かれてしまう理由。

みんな誰かの物語に触れたいんですよね、結局。

誰かを知りたくて、圧倒されたくて、自分とは違う物語に感動したくて、時にはその物語の脇役になって、それ以上ではいなくてもいいと思う。

恋って、恐怖って、同じものですね。

だからこそ愛しいんだと思うし、誰かと自分が違う存在ということが。
私はだから人類補完計画には反対です。

誰かの物語に触れるのは怖いけど、
人ってみんな誰かと関わりたくて、
自分の物語に触れて欲しくて、
そうやって生きているなと思います。

それが良いか悪いかは置いておいて。

あなたは最近、誰の物語に惹かれましたか?
答えを、定期的に自問自答してみるのも良いかもしれないです。

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