吉澤嘉代子はわたしの青春

午後休をもらい、平日ながら吉澤嘉代子のライブに行った。わたしの青春を彩り、励まし、加速させてくれた存在でありながら、生で見聴きするのは初めてだった。

元彼Aからもらった鞄に貴重品と本を入れ、元彼Bからもらったヘアオイル
を纏わせ、LINE CUBEと名前を変えた旧渋谷公会堂に向かう。
18:00会場、19:00開演。グッズはその長蛇をみて諦めた。
儚くも力強い歌声の中で思い出すのは、元彼Cのことだけだった。

わたしは今でも、冷凍保存された元彼Cとの記憶を反芻しては、恋愛のあれこれを想ったり、あまりの青さに溺れたりを繰り返す。

いま彼がなにをしているのかはしらない。どこに住んでいるのかもしらない。太ったかもしれないし、髭だらけかもしれないし、以前彫っていたタトゥーの柄と年齢が合わなくなってきて、かなりダサいかもしれない。(どんな柄のタトゥーが入っていたかはあまり覚えていない)。
そんなことはどうでもよくて、いやすこしは気になるけれど、たいせつなのは、わたしが美化し続けている、うつくしいあの頃だ。

彼も、わたしのことなんてこれっぽっちくらいしかもう思い出せないはずだ。彼女もどうせいるだろう。結婚はどうせしていないだろう。適当な
ことを言うのが、いまでも得意なんだろう。

それでも、思い出すのはいつも元彼C、彼のこと。
一度忘れたと想ったのに、やっぱりなぜか、残っている。残滓をなくしきれなかった。
気持ち悪いことかもしれない。情けない、恋愛脳のバカかもしれない。
「まだ俺のこと好きなんだろ?」といわれるような、ださい女なのかも
しれない。
でも、ひとりで抱えるだけ。ゆるしてほしい。

C、おれたちはいつでもふたりでひとつだったろ?
とかいってね。

いつになったら、わたしは冷凍保存の彼をすきじゃなくなるのだろうか。
いつになったら、いまの常温の彼と、街中ですれ違えるのだろう

元彼AやB、その他数名。勝手によろしくやっていてほしい。
あの頃はどうもありがとう。

それにしても、伊澤さんのタクシー運転手コーナーと、光り輝くストッキングが聴けて、ライブはとても満足だった。
強いて言えば、ゆとりが聴きたかった。

吉澤嘉代子、これからもわたしの青春であれ。2024/5/14

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