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地獄を見てるのかと思った(9)

「法務省の人権相談にメールしたらどうだろう」
内定取り消しで毎日泣いていたとき
高校時代からの付き合いがある、ろう者のサトちゃんが提案してくれた。
あの時はそんなに危機感はなかったけど

今は違う。

※※※

大手のファーストフードの店。
今でこそろう者のアルバイトといえば、
東京にサイニングストアがあったり、全国の支店で手話で接客をする日を設ける取り組みをしていたりなどをしているスタバだけれど

あたしが学生時代はろう学生のアルバイト先と言えば、そのファーストフードの店だというイメージがあるくらい、ろう者も働きやすいと聞いていた。
別の市に、ろう難聴学生が多く通う大学があるが、その何人かはそこでバイトしていたはず。

歩いて五分のところにあるその店のにハローワーク経由で応募したら
「聞こえない人にはできない」と断られてしまった。

あとから市役所の田口さんに聞いた話
以前、『聞こえない人はお客さんから呼ばれたときに気づかないのがクレームの元になるから』とろう者が断られたことがあるそうだ。


理由が理不尽だ。
今日びスタバもそうだけど、ろう難聴のスタッフがいるお店は「聞こえないスタッフがいます」と提示をしている。
それがクレームになるということ自体がどうなのだろう。

そのファーストフードの同じ会社で別の店舗で長らく働いている難聴の小島ちゃんが
「えっ、う、うえ?!そんなことあったの!!?
え、調理の方で?募集調理なの?え、調理でそれ!?
や、それはその店がおかしい…。うちのマネージャーも『そういう理由で断る〇〇店、頭大丈夫なの?』って唖然としてた」
とめちゃめちゃ呆れて、店長経由で上に投げてくれた。

何が
《年齢、性別、性格や価値観等、さまざまな違いを持った人たちが働いています。障害のある、なしに関わらず、さまざまな違いを超えて、一人ひとりが尊重され、多様な個性と能力が発揮できる組織づくり、職場環境の提供に努めています。》なのか。

いや、だから早く教えてくれよ…。
余計な労力なんだってば、
障害者雇用求人出してる企業に連絡とったのに
「耳が聞こえないから」という理由で会いもせず断られるのは。

※※※

何か法的なアドバイスをしてもらえるかもしれないと、

これまでの経緯や思うことを書いて法務省の人権相談にメールし、あたしは車を降りた。

今日は「聴覚障害がある」と伝えて自分で応募した企業の面接の日だ。
運送会社のこの会社はろう者も働いている。
あたしが申し込んだのは仕分けだけれど、
以前仕分けにはランプを使ったシステムで、ろう者も聴者も関係なく作業が出来ると聞いていたので応募した。


「車検証、自賠責保険証書、銀行口座…面接なのにこれいきなり必要になるんだなあ」

「面接で?珍しいね?採用が決まった時の手続きができやすくするためかな。採用率が高いのかもね!」

「よかったー、早く終わってほしいよ。。。今回は聞こえないから連絡方法をメールにしてもらってるし、そのうえで面接に来てくださいって来てるし。頑張りたいよー」

「頑張れー、応援してるよ!」

昨日はそんなことをナツコとLINEで話した。


気持ちが持ち上がる。面接会場の建物に向かう足取りが軽くなる。
空を見上げた。

大学四回生のとき、教育実習にいった先の校長先生から
「いちにち一回は、空を見あげる習慣があるといい」というような話をしてもらったのを思い出す。

青い空にうろこ雲。
すっかり秋も半ばになっていた。

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