なら僕たちは「薄皮あんぱん」が何個入りなら満足するのか?
様々なことが起きた2022年。なかでも印象に残っているニュースといえば、ヤマザキの薄皮あんぱんシリーズが5個入りから4個入りにリニューアルされたことだ。薄皮パンユーザーに衝撃を与えたこのニュースは、年の瀬の日本を駆け巡った。
御多分に漏れず、自分も薄皮あんぱんはよく食べていた。高校生のときなどは、これで昼食を済ませていたこともある。
馴染みのパンの変貌にショックを受け、デモ行進のプラカードを用意しようと部屋に山積みになっているAmazonのダンボールに手をかけたとき、ふと思う。当時から5個入りで満足だったかといえば、そうでもない。
もっと食べたい。
では結局、僕らは薄皮あんぱんが何個入りだと満足するのだろう?
現在の姿を確認する
実はニュースで見ただけで、まだ4個入りの薄皮あんぱんを買っていない。
「個数は減ったけれど総重量は同じ」などの噂もあるので、まずは実物を見てみるべきだろう。
ひと袋100円前後のイメージのままスーパーに行ったら、170円になっていて第二の衝撃を受けた。ひさしぶりに会った甥っ子が、言葉を覚えるどころか、敬語で話しかけてきたときくらいの衝撃だ。パンの成長は早い。
まずは5個に戻す
買ってきたパンの実物を見ながら、illustratorでパッケージをまねしてつくる。
ところでパンを食べる人の呼称って「ユーザー」でいいのだろうか。イーター? 古参イーターとしても、この戦いには負けられない。マウスを操作する手にも力がこもった。
似たようなフォントを探し、透明なシートに印刷する。これを並べたパンの上から巻けば、5個入り薄皮つぶあんぱんが復活するという算段だ。
しかし、プリンターから吐き出されたものを見ると、違和感があった。画面上で見ていたものと微妙に違うのだ。家庭用プリンターでは、「白」を印刷できない。
透明なものに印刷する際は、「白引き印刷」と呼ばれる工程が必要になる以前クリアファイルをつくろうとして、オプション料金の高さに目を回したことがある。あれだ!
自宅のプリンターでは太刀打ちできないので、パンの袋を印刷してくれる業者を検索する。でも、もし印刷所が見つかったとして、「薄皮あんぱんを印刷したいんです」と言って通じるだろうか。
しばらく困った末、深夜のコンビニで修正液を買ってきた。印刷所が使えないなら、手作業で白引きを行うしかない。
ペンタイプの修正液って、強く握りながらじゃないと液がでないから、間違いの範囲が多ければ多いほど腕が痛くなる。今回もかなり大変だった。いつか改良してほしいが、メーカーには「人間はそんなに間違わない」という強い思想があるのかもしれない。
5個くらいじゃ、まだまだ足りない
無事に5個入り薄皮あんぱんをつくったけれど、まだ物足りない。
5個入りがつくれるということは、6個入り、7個入りなど、いくらでも増やせるということだ。夢の大容量パック。食べ放題。
ひとまず、「11個入り」の制作を目指す。4の倍数の12個じゃなくて11個なので、作業中にひとつ食べちゃったからです。ごちそうさまでした。
A4サイズの袋をふたつ繋げ、印刷済みの透明フィルムを巻きつけると、夢の11個入り薄皮あんぱんが顕現した。
長い。長すぎる。デスクの上にどんと置く。かなりの存在感だ。持ちあげると、重みでくにゃんと曲がってしまう。この感触……覚えがある……ナイススティックだ! 薄皮あんぱんが進化するとナイススティックになる! 新年早々の大発見にテンションがあがる。
何個入りなら満足なのか?
ここで本題に戻る。薄皮あんぱんが4個入りになるというニュースに心を痛めた僕たちは、果たして何個入りなら満足するのだろう。
11個入りのドリームあんぱんを持ち出して、早朝の公園へ向かう。普通のトートバッグには入らなかったので、IKEAの袋を持ち出した。11個入り薄皮あんぱんは、日本に収まる器ではない。
水筒に入れてあたたかい紅茶も持ってきた。わくわくしながら包装を解き、ひとつずつ口へと運んでいく。
「……………」
「……………?」
「………………??」
3つ目を食べ終わり、4つ目に手を伸ばしたところで、あることに気付く。
「これ、3個も食べれば十分だ」
思えば、薄皮あんぱんを頻繁に食べていたのは、中学生から高校生くらいのころだ。あのころは甘いものならいくらでも食べられた。
あのころの自分はもうない。パンも変わるし、自分も変わる。時の流れに思いを馳せかけるも「そもそも一人で食べるものではない」という可能性に思い当たる。そういえば、薄皮あんパンは兄弟とか友達と分けて食べていたような記憶もあるな……。
次にリニューアルする際は、二人用で6個入りにしてください。
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