Fostex FE166NVの作例を見た

先ごろビクターFB-5という、割と珍しそうなスピーカーを手に入れまして、そこにFostexのフルレンジスピーカーを突っ込んでやろうと思案しているところです。
細かい経緯は別に書こうと思っているのですが、現在ここにFE166NVを双発で積むつもりになっています。
ただ一点、そのままだとスロート絞り率が低くなってしまうことが懸案でしたが、それが一応の解決を見たので備忘録的にメモしておきます。

スロート絞り率ってなんぞや

バックロードホーン型スピーカーにおけるスロート絞り率(%)は次の式で求まります。

スロート絞り率=(スロート断面積÷ユニット振動板面積)×100

つまり空気室にある音の入口(ユニット振動板)に比べて出口(スロート)がどれくらいすぼまっているかの割合になります。
この割合が大きければ空気室のバネとしての役割が弱く、低ければ強くなるものと理解しています。
100%以上にすると空気室そのものがスロートとなりLPFとしての役割は無くなるし、10%とか極端に小さくすると今度はLPFが効きすぎて空気室がバスレフ箱と変わらなくなるというイメージ。
長岡御大の経験上は50%~100%の間であれば破綻することはないんだそうですが、多くの自作スピーカーでは80%くらいの数字が多い印象です。

何が問題だったか

ビクターFB-5のスロート断面積はおよそ160cm2、これに対してFE166NVを2発使うと振動板面積は約265cm2で、スロート絞り率はざっくり60%になります。
先程の50%~100%という範囲には収まっていますが、ちょっと低めなのが不安要素だったのです。
あくまでお遊びのつもりなのでそこまで深刻な問題ではなかったのですが、一応ユニットも安くはありませんから、失敗するにしても覚悟した上で失敗したいものです。
実際の作例などを参照して雰囲気を探りたかったのですが、16cmの箱ってググっても意外と出てきません。
噂によると長岡御大の作例集でも16cm、いわゆるロクハンは10cmや20cmに比べると少数派なのだそう。
確かにバックロードホーンでロクハンを使うとちょっとした大きさのトールボーイになります。
小さい家では大きすぎて10cmの方が取り回しやすいでしょうし、ロクハンの箱を置けるような家ならちょっと無理すれば20cmの箱も置けるでしょう。
そしてロクハンのフルレンジは高音域と低音域のバランスが良いと評されますが、裏を返せば器用貧乏。
超高音域の伸びは10cmにおよばず、低音域の迫力も20cmに負ける、さりとて大した工夫をしなくても中低音域の量感は出るものだから、箱的に工夫しがいもない。
多分そんな予感がします(間違ってたら教えて下さい)。
ともかくそんな訳で、スロート絞り率60%という数字が最後の一葉のごとく引っかかっていたのでした。

灯台下暗し

しかしそんなものは全く要らん心配でした。

画像1

はいこちらはFostex FE166NVの取扱説明書(リンク先製品ページ内"製品資料"のPDF)から引用した、公式の作例の側面図となります。
⑪の板の右の隙間がスロートになります。
音道の横幅が20cm、⑪の板の幅が5.5cmなのでスロート断面積は70cm2となり、これをユニットの振動板面積132cm2で割ると0.52と幾ら。
つまりスロート絞り率52%、なんと長岡セオリーギリギリです。
ちなみにクロスオーバー周波数は130Hz前後と思われますから、こちらも長岡御大の好みの数字(200Hz)よりかなり低いです。
おそらくFostexとしてはFE166NVをバスレフ寄りのバックロードホーン向けユニットと位置づけているのでしょう。
そんなことが伺える箱の設計です。

……
…………
はいそうですね。
何も問題ないですね!
最後の一葉だと思ってたけど初めからウォールアートだったってオチでした。
めでたしめでたし。

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