2015年10月 「あ、タンだ」(入院2日目、手術日)

6時起床。
前夜は21時の消灯と共に寝た。いろんな夢を見て、起きたらまだ24時すぎだった。そのあとはよく眠れて、5:45ころに目が覚めた。
寝ている間にものすごい汗をかいて(病室はけっこうあたたかい温度設定になっている)、微熱はさがり、腰がやや重いくらいで、体もわりとすっきりしていた。
7時前、看護師に言われたとおり水500mlを飲み、その後は禁水。
8:30、売店で買ってあった手術着に着替えた。下着は何もつけない。

8:55に夫が来て、付き添いの看護師と3人で入院フロアのエレベーターホールまで行く。家族が一緒に移動するのはここまでだそうで、デイルーム(患者や見舞いの人が自由に使える場所。テレビ見たり、飲食したりできる)で待機するようにとのこと。
病室からエレベーターホールまでは20秒もあればつく距離だし、最初からデイルームにいてもいいような気もするが、やはりどんな手術でも万が一ということがあると思うと、儀式的な意味合いもあるのだろう。

看護師はエレベーターに一緒に乗って手術室まで一緒に来た。
予定どおり9:00に入室。手術は9:30開始の予定だ。
手術室に入ると、付き添いの看護師から「顔こわばってきたけど大丈夫?」と言われた。あたりまえだろう。他にいうことははないのか・・・。と内心思っていた。

手術室のベッドに寝ると、一斉に3−4人が手を出して来て、機材をつけられたり、手際よくいろいろされた。あたたかい、白い繊維っぽい感じの毛布みたいなのをかけられると、その下で手術着がうまいこと脱がせられて、「素っ裸だ・・・」と思っているうちに点滴されてすぐに落ち、次に起きたら手術は終わっていた。手術時間は体感2秒。
あの毛布はものすごく軽くてあたたかくて、テクノロジーを感じた。
手術が始まる前、3−4人がいろいろやっている中で、男性が一人、私の頭のすぐ右側に近づいてくると、黙って立っていた。一言も話さない人がいるな、この人には挨拶しそびれたな・・・とは思ったのだけど、マスクもして、頭髪も隠れているので、誰だかわからないまま終わってしまった。後から思うと主治医で執刀医のM医師だったのだろう。「おはよう」くらい言ってくれてもいいじゃないか。

手術の終わる頃にちょうど意識が戻るように調整しているのだろう。男性医師が女性医師に、何かを確認するように促すのが聞こえてきて、男性医師の「notomさん、わかりますかー」という呼びかけに応えたのだった。「無事終わりましたよー。うまくいきましたよー」みたいなことも言われた。
麻酔医からしたらふつうのことなのだろうけど、麻酔の技術に感心した。

手術室からタイヤ付きのベッドで病室に運ばれると、看護師3人くらいが、汚れ予防のタオルを病室のベッドに敷いて私の体を「せーの」とベッドに移してくれたり、酸素マスクをつけてくれたりした。
寒くて歯がガチガチいっていたので、毛布をかけてもらった。この時点では、声は出るけど、ほとんど話せない。
「尿管がささっているけど、午後にはぬいて自分でトイレ行ってもらいますよ」とか「痰をとってほしいときはナースコール押してくださいね」などと言われた。

じきに麻酔がきれてくると、徐々に痛みがでてきた。
手術直後の痰がくせもので、血が混じっていて、粘り気が強くてものすごく不快。口の中にたまっていく粘液が、ふつうのつばなのか、痰なのかもよくわからない。手術中に鼻から通されたチューブが喉を通っているので痛みがあり、そもそもつばを飲み込むのもつらい。入院前に言われていた「チューブを入れてる間はつらい」というのはこういうことなのかと思い知る。
どれくらいの時間をおけば看護師をよんでいいのかもよくわからず、遠慮しながら何回かナースコールを押した。

汗をものすごくかいたのは、術後に発熱していたのだろうか。37.7度くらい。
まもなく尿管が抜かれ、さっぱりした。午後には自分でトイレに行った。
この日の日記には「地下のレントゲン室にも一人で行った」とあるが、まったく覚えていない。術後のX線写真をとったということなのだろうか。

昼過ぎ、18時頃、翌朝4時ころに鎮痛剤(ロキソニン。点滴だったのか、経鼻だったのか覚えていない)を入れてもらい、徐々に痛みがましになってきた。

夫はこの日休みをとっていたので、保険の手続きに必要な診断書の手続きを頼んだ。術後のヘロヘロの状態で筆談で頼んだ。入院中、時間はありあまっていたので、あの状態でやることではなかったと思う。
私の実家と兄、夫の両親、私の職場に、無事に終わったと連絡してくれていた。そうか、職場への連絡もしないとだよな・・・と思った。
私だったら「洗濯するものある?」とか聞くと思うけど、夫は元々そういうことに気が回るタイプではないので、こちらから頼めばよかったと思った。

夫は手術のあと、切り取った部位を見せてもらったそうで「あ、タンだ」と思ったらしい。私も見たかった。

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