2015年10月 シウマイ弁当を食べる人を眺める(入院8日目、手術から7日目)

6時起床。
朝のうがいのときに、軽くはみがきをして、舌苔を落としてみた。うがいができなかった期間は、朝夕に看護師がベッドにきて、消毒液をしみこませた綿で口の中を消毒してくれていたけど、どんどん舌が白くなっていき、気持ちが悪かったのだった。
真っ白になった舌をよく見てみる。手術をした左側は特に腫れていて、歯にあたっているらしく赤くなっている。舌の中央あたりも腫れている。昨日の朝、先の方が痛かったが今朝は痛みはおさまっている。

朝食時にチューブから入れる白湯をくみに行くと看護師と会い、今日から口から水分をとってよいと言われた。せっかくなので朝の運動の階段往復を兼ねて、建物の外(病院の敷地内)のコンビニに麦茶の2リットルボトルを買いにいった。
買ってきた麦茶を200cc飲んでみた。一口ずつだけど、むせずに飲むことができた。鼻からのチューブがのどにあるせいか、続けて飲むのはこわい。

一昨日からのおなかの張りは完全におさまった。ヨーグルト、野菜ジュース、運動がよかったのか。相変わらず排便はないものの、ガスが抜けたような感覚。

採血をしたあと、朝食の栄養パックを1パックと薬。

昼食前に階段往復。
昼食後、担当グループの若い医師が来た。
おなかのことを聞かれたのでおさまったと伝えると、「安心しました」「手術のあとにいろいろ出てくることあるんで」とのこと。
こういう自然な感情なやりとりがあるだけで、こちらの心持ちが全然違う。
直後にミスター無表情(夫も撃沈した医師)が来た。この若い医師にどうだったかを聞くといつもの無表情で「じゃぁ(他科の)診察しなくていいですね」。TODOで動いている感じがすごい。
ちょっと笑顔見せるだけで全然違うのにな。退院までにミスター無表情の笑顔を見ることができるのか。

午後、1時間弱昼寝をしたあと、階段往復。秋晴れで、入院病棟のある8階エレベーターホールに差し込む光で暑いほど。明るい。

16時、シャワーを浴びる。鼻のチューブを止めるテープを貼り直す。自分でやるように多めにテープをもらった。頬の高めの位置にテープを貼った方が、鼻から喉にかけての部分のチューブの曲がり方がゆるやかになるのか、塩梅がいい気がする。

私の夕食が済んだ19時、好物の崎陽軒のシウマイ弁当を買ってきた夫がデイルームで夕食。夕食を食べに来た人だ。面会終了時刻の20時まで筆談で話す。読み終わった漫画本を持って帰ってもらった。

20時すぎ、ミスター無表情がめずらしくこんな時間に病室に来た。
「おなか大丈夫?耳は?完全に大丈夫?日曜(今日は月曜)に退院できるかも。M先生(主治医)の診察が水曜くらいに入るからそれ次第だけど」と矢継ぎ早に話していった。
相変わらず表情変えないけど、瞳の奥にかすかに優しさが見えた気が・・・と夫にLINEで伝えたら「気のせいだ」と返ってきた。

23:30、自分でとめた鼻のチューブの位置が悪いらしく目覚める。鼻の穴の壁の入り口のところ(けっこうかたい)にチューブがあたって、かなり痛い。
4時、再び目覚める。頭痛になってしまい、つらいので痛み止めをもらった。
ささいなことながら、鼻のチューブの止め方の試行錯誤が続く。

この日、お見舞いのメールをもらったが、わりと快適に過ごしているので、会ったら拍子抜けされそうだなと思う。
その人の経験は、実際のところはその人にしかわからないと思うので、「あなたのきもちわかります」的なことは私はできるだけいいたくないなと思った。経験を共有することで、相手がその状況や経験に照らして、励まされた、救われたと感じることはあると思う。とはいえ、励まされるとかの反応が相手に起きたからといって、自分が相手のきもちをわかるかというと、別物なのでそうとは限らないと思う。病気は人それぞれじゃないかと思う。

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