2015年10月 手術前日(入院1日目)

9:30に入院病棟に到着するように言われていたが、時間を過ぎそうになってしまい、重い荷物をしょって駅から早歩きで病院へ向かった。

ほぼ時間通りに到着すると、談話室で待つように言われた。夫に到着した旨のLINEを送った。私以外にも今日から入院するらしい人がいて、つきそいの家族と一緒に待っていた。
しばらく待っていると、入院時の説明をする看護師が来てくれて、浴室を使える時間とか、起床・消灯時間とか、入院中の基本的な時間割を教えてくれた。
術後、鼻から栄養をいれるためにいれるチューブを、今までずっと鼻の両穴から入れるのだと思いこんでいて、この日初めて片方の穴から1本入れることを知った。思わず「2本でなくていいんですね」と言ったら、「長年この仕事やってるけど、2本でなくていいんですね、って聞かれたのはじめて!」と爆笑された。私もつられて笑ってしまい、緊張をやわらげようとしてくれてるのかなと思った。

11時頃、病棟担当の医師の一人がきて、今夜の術前説明の時間と明日の手術時間を教えてくれた。術前説明は今夜19:30以降、手術は明朝9:00入室、9:30手術開始となった。

検温すると高め。しばらく間を空けてはかってみるが、36.9度〜37.2度。昨日からの腰のかすかな重だるさは微熱のせいだったのかもしれない。自分ではそこまで緊張していると思っていないけれど、やはり緊張しているのだろう。
本は読む気にならず、同僚が貸してくれた漫画を読んだ。

午後は、シャワーを浴びたり、術前の口内クリーニングに行ったりして、あっという間に時間が過ぎた。

19:20、仕事を早めに終えた夫と、外来のあるフロアで術前説明を受けた。
執刀医と病棟担当医達が全員そろっていた。
術前説明で聞いた内容は下記の通り。これまでの説明と差はない。
・大元の患部は浅いので追加手術の必要はなさそう。もしかしたら最初の検査できりとっている可能性もある。今回の手術では、切り取れているかの確認のためにとる意味合いもある。
・大元の患部の奥側の白板症(=がん化の準備段階の物)も一緒にとる。がん化しない白板症もあるけど、女性の白板症はがん化の可能性が高い。手前の物も含めて放置すると、元の物が大きくなるリスクや、奥の白板症ががん化するリスクを高めるだけなので、まとめて切除した方がよい。
・術後5年は経過観察が必要。
・手術では、舌の10%を切除する。これによりぴりぴり感が出たら、年単位で続く。麻痺が残るままの人もいる。味覚が落ちる可能性は大きく、甘みが感じにくくなる。
・飲み込みははじめのうちはやりづらいだろう。
・話しにくさは残るけど、相手の聞き取りにくさは戻る。
・放射線治療について:放射線治療による放射線障害は若い人の方が受けやすい。年月を経るほどリスクが出てくるので、若いということはそのリスクが長く続くことになるから。具体的には、粘膜炎を起こすとか、あごの骨の成長を止めてしまうので細菌が入ったときに壊死してしまうとか、がんを誘発するリスクが高まる。また、サイズの小さいものにはすすめない治療方法。
・病期は、T1N0M0。T1は大きさの指標で最大径が2センチ以下という意味。N0はリンパ節転移がないという意味。M0は別の臓器への転移がないという意味。

執刀医はいつもの飄々としたようすで淡々と説明し、夫と私でたまに笑ってみたりしたが、病棟医の方は誰も笑わない。病室に戻って夫と「笑わなかったねー」と話した。

私は異性愛者でかつ結婚しているからこうして夫の同席が認められる。同性愛者だったらパートナーの同席が認められない場合もあるんだよな…この病院はどうなんだろうか。という疑問が、主治医の説明を聞きながら唐突によぎったけど聞くことはしなかった。

術前説明には、兄が「行こうか?」と連絡をくれていたが、簡単な手術なようだし、同伴者は一人いれば十分だし、そもそも兄はとても忙しいので「気持ちだけで十分」と伝えた。

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