『ガラと村人』
『ガラと村人』【超短編小説 069】
ガラはとても正義感の強い男だった、曲がったことは許せない。家族と村の人たちを大切に思っていた。
男が住んでいる村から数キロ離れたところに谷があり、その下を川が流れていた。その谷の向こう側には自然豊かな山があったので、村人たちは家畜に牧草を食べさせる為に山へ行ったり、薬草や山菜を採りに行っていた。
ある日突然、自然豊かな山の持ち主の大男が、山に入ることを禁じてしまった。山へ行くために谷川を渡る唯一の手段である吊り橋の前に大男は立って、毎日見張っていた。
村人が大男に山に入れるよう頼んだが、聞いてもらえずに追い返されてしまった。勝手に橋を渡ろうとした村人の中には、大男に殺されてしまった者もいたという。
村人達は村一番の正義感の強いガラに大男を倒して欲しいと頼んだ。それを聞いていたガラの弟2人は、「ならば僕が倒してきます」と言って大男に挑んだが、帰ってくることはなかった。
ガラは怒り、大鉈(おおなた)を持って大男の所へ行き、一瞬で大男をこっぱみじんにして谷川へ突き落とした。村人は喜びガラに感謝しました。ガラはその山と橋をもらい管理することとなりました。
山の管理は意外と大変でした。自然を壊さないように、入山区域を指定したり、ルールを守れない村人に注意をしたり、吊り橋の修理をしたり、やらなければいけないことが多かったのです。
最初の頃は村人達は皆、ガラに感謝して食料や薬草を差し入れてくれたが、次第に差し入れはなくなり、ガラの山で採れた山菜や薬草、ガラの山の牧草を食べて肥えた家畜の肉をガラに売りに来るようになった。
同時に山でのルールやマナーを守らない村人達が増えて、山の環境も吊り橋の強度も悪くなるばかりだった。ガラは何度も村人達に、山と吊り橋を大事に使うように頼みましたが、いっこうに村人達は山と吊り橋を大切に扱ってくれません。
我慢の限界に達したガラは、ある日、村人達が吊り橋を渡り、山に入ることを禁止しました。すると山にもガラにも敬意を表さない、若者2人がガラに文句を言いながら暴力を振るってきたのです。ガラは身を守る為に大鉈をふるって、若者2人を谷底川へ落としてしまいました。
それを聞いた村人達は、村一番の大男に大鉈男のガラを倒して欲しいと頼んだのでした。
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