社会的行動障害について

社会的行動障害について、文献を読んだので情報をまとめます。

今日読んだ文献は、上田敬太先生の文献になります。

参考にさせていただいた点を掻い摘んでまとめますので、内容が気になった方は、CLINCAL REHABI LITATION 2020.3月号をご覧ください。

脳損傷後に社会的行動障害に影響を与える因子

①脳損傷の直接由来の情動・認知、情動表出の障害

●情動の表出による障害

「病的泣き笑い」

1.悲しいのに笑う

2.あまり悲しくないのに泣いてしまう。すごく悲しいのに泣けない

●情動反応における障害

「アパシー」

自発的な合目的的な行動が量的に現象する状態

快・不快の判断は主には前頭前野(眼窩前頭前野)が中心。アパシーでは興味関心の低下、情動反応の低下のため鬱と誤診されやすい。

しかし、アパシーでは、悲哀感・抑うつ気分・不快気分はない。

両側扁桃体の損傷で情動認知に変化がある。情動の量を実際より少なく判断するのは眼窩前頭前野。

→結果として、「過剰な正義心」となり他者の些細なモラル違反に対して非常に厳しい態度を取ることがある。

②直接由来する他の認知機能障害から二時的に生じる情動の問題

1.注意・記憶低下

言った言わない問題が起きやすい。背景には注意低下により、一度に処理できる情報量が少なくなるため聞いているようでも記憶されないことがある。また、長期記憶は残存していることもあり、一度覚えたこと(思い込んだこと)は忘れないため、問題が生じやすい。

2.物事がうまく進まない、思い通りにいかない状況下でフラストレーションが溜まる。

これは健常人でも容易に起こる。脳損傷者では、疲労や空腹等生理的な要素が加わることで程度が強くなる。また、注意低下・記憶低下・遂行機能障害等で物事がうまく行きづらくなる可能性を高め容易に追い込んでしまう状況になる。

③環境変化等の心理社会的因子

社会的孤立や経済状況の悪化は結果として感情面に影響し引きこもり被害的側面、易怒的傾向を強める。

治療

薬もあるが、リハビリとしては認知行動療法が適応となりそう。

疾病教育をしていくパターンと、自らの怒りを客観的に観察する方法がある。

自宅では「構造化」することが重要であると述べられていた。


外来リハビリで日々臨床をしていると、重度ではないが上記に挙げたような症状を感じられるケースも多い。認知行動療法に興味があるため心理系の勉強をしていく必要性を感じている。

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