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疲れた顔をした娘を見ていて

いつもだったら帰宅した私に「パパ遊ぼう」と言う長女が、ひとりで黙々としまじろうのワークをやっているのを見て、少しだけ異変を感じていた。

ひとまずごはんを食べることにして、妻に献立を聞く。グリルに魚があることはわかったが、スープがあるのを忘れていたことを伝えながら、次女の歯磨きに手を焼いている。

ソファでひとり佇みながら、歯を磨いているのか磨いていないのか、わからない速度で手を動かしながら焦点を定めず呆然とする娘を見ていて、口にした魚の骨が引っ掛かるのを感じた。ハムとベーコンのバター醤油は薄味で、子どもが食べやすいように工夫したことはすぐにわかった。

もしかすると、今朝は急いで出てきて長女が抱きつく手を振り解いてきてしまったので、根にもっているのではないかと頭をよぎった。いつもであればケロッとしているので、そこまで引きずることはないのだけれど、それは以前の彼女のパターンだ。今は少しずつ大人に近づく小学生前の女性なのだ。

「誰かトイレに一緒に来て」

妻は次女の歯磨きで、私はごはん中。
もう少しで終わるので待ってほしいと頼むと、ひとりで大丈夫と言いながらトイレに行った。

「ひとりで行けてえらいじゃん」

長女はちらりとこちらを見て、何も言わなかった。やはり根に持っているのだろうか?

歯を磨き終わった娘たちは、寝るお支度をする。私は洗い物をしながら彼女たちを見送る。
寝かしつけは妻の役目だ。

いつもおやすみのギューをする。
次女は勢いよく私に飛び込む。
長女がゆっくりとこちらに歩いてきて、順番待ちをしていた。ひょっとすると今日は無理そうかと思ったけれど、いつもどおりにギューができた。

「今日はなんか元気ないね」

そう言うと、どうやら夕方から気持ち悪さと頭痛で、調子が出ないらしい。昨日、勢いよく壁に頭をぶつけたことが関係していないか、少し気になった。

しばらく力強く私を抱きしめる長女とは言葉こそ交わさなかったものの、しばらく身体で会話したような気がした。触れることで伝わることもある。本当は遊びたかったけれど、ぐったりしてて元気が出ないんだと、耳元で教えてくれた。

とにかく早く休んでほしいので、おやすみなさいとだけ言って見送った。
やはり、憶測であれこれ想像してしまうのはよくない。元気がないのであれば、元気ないねと、一言言えば、何かしらのことがわかる。そして、触れることでわかることもある。

早く元気になってほしい。
いつものように、また遊ぼう。

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