BUMPの名曲「K」考察 夢を諦めた人への鎮魂歌

こんばんは,えんでぃーです。
私は,好きなアーティストは誰?
と聞かれたら真っ先にBUMP OF CHICKENだと胸を張って答えます。
実は10年以上BUMPのファンをやらせていただいていて,それくらい好きです。

最近だと推し(ねねち)がBUMPを好きになってくれたので
それはもう嬉しくて,,,

本題に入ります。
先日BUMPの公式YouTubeチャンネルで「K」のライブ映像が公開されました。(下動画)

もちろん昔からこの曲は知っていて,「K」の意味が深いということも知っています。
ですが,最近Vtuber界隈を見ているせいか,20台半ばになったせいか
今までと違うように聴こえました。

また数年後に聴いたら違う風に聴こえるかもしれませんし,ネット上の考察は妄想に近いものしか出てこないので,ここに書き残しておこうと思ったのです。

あと,ねねちからBUMPに興味を持った人がもっと好きになってもらえたらなというのもあります。


「K」について


では,「K」の歌詞から。

歌詞は,物語になっており,
歌詞を読めばすんなり大体の内容はつかめると思います。
「K」の内容を知らない方はこちらから
知っている人は飛ばしてください。

週末の大通りを 黒猫が歩く
御自慢の鍵尻尾を水平に 威風堂々と
その姿から猫は 忌み嫌われていた
闇に溶ける その体目掛けて 石を投げられた

孤独には慣れていた 寧ろ望んでいた
誰かを思いやる事なんて 煩わしくて
そんな猫を抱き上げる 若い絵描きの腕
「今晩は 素敵なおチビさん 僕らよく似てる」

腕の中もがいて 必死で引っ掻いて 孤独という名の逃げ道を

走った 走った 生まれて初めての
優しさが 温もりが まだ信じられなくて

どれだけ逃げたって 変わり者は付いて来た

それから猫は絵描きと 二度目の冬を過ごす
絵描きは 友達に名前をやった 「黒き幸」ホーリーナイト
彼のスケッチブックは ほとんど黒尽くめ
黒猫も 初めての友達に くっついて甘えたが ある日

貧しい生活に 倒れる名付け親 最後の手紙を書くと 彼はこう言った

「走って 走って こいつを届けてくれ
夢を見て 飛び出した僕の 帰りを待つ恋人へ」

不吉な黒猫の絵など売れないが それでもアンタは俺だけ描いた
それ故 アンタは冷たくなった 手紙は確かに受け取った

雪の降る山道を 黒猫が走る
今は故き親友との約束を その口に銜えて
「見ろよ、悪魔の使者だ!」 石を投げる子供
何とでも呼ぶがいいさ 俺には 消えない名前があるから
「ホーリーナイト」「聖なる夜」と 呼んでくれた
優しさも温もりも 全て詰め込んで 呼んでくれた
忌み嫌われた俺にも 意味があるとするならば
この日のタメに生まれて来たんだろう どこまでも走るよ

彼は辿り着いた 親友の故郷に 恋人の家まで あと数キロだ

走った 転んだ すでに満身創痍だ
立ち上がる間もなく 襲い来る 罵声と暴力
負けるか俺はホーリーナイト 千切れそうな手足を
引き摺り なお走った 見つけた! この家だ!

手紙を読んだ恋人は もう動かない猫の名に
アルファベット1つ 加えて庭に埋めてやった
聖なる騎士を埋めてやった

BUMP OF CHICKEN 「K」より

「K」といえば,
絵描きに付けられた猫の名前が
「ホーリーナイト=Holy Night(黒き幸・聖なる夜)」で
最後絵描きの恋人に「K」が加えられ
「ホーリーナイト=Holy Knight (聖なる騎士) 」
になるというエモい仕掛けがあります。

でも,「K」のギミックに気を取られ
本当に伝えたい物語のポイントを見逃していたのではないか
と思いました。

私は,この「K」で一番のポイントとなる歌詞は
「不吉な黒猫の絵など売れないが それでもアンタは俺だけ描いた」
であると思うのです。

順を追って解説させていただきます。
まずは,登場人物の確認から


登場人物


主な登場人物は
・絵描き
・黒猫
・絵描きの恋人
・世間
の4人です。
世間(石を投げる子供等)を入れているところがポイントです。

続いて,物語のはじめ
絵描きと黒猫が出会う場面です。


なぜ絵描きは黒猫に魅入られたのか


黒猫は冒頭,「週末の大通り」という一番人通りが多そうなところを
自分が忌み嫌われている事を知りながら,
自慢の鍵尻尾を見せびらかせながら威風堂々と歩いていました。

絵描きはその姿を見て黒猫に興味を持ち「僕らよく似ている」と発言しています。
黒猫が逃げてもしつこく追いかけていることから
この黒猫の姿に心惹かれたのでしょう。

では,具体的にどこに心惹かれたのでしょうか。
①親近感
「世間から評価されない絵描き」と「世間から忌み嫌われている黒猫」
どちらも絵描きも黒猫も世間から評価されない者であり親近感を感じていたのではないかと読み取れます。

②憧れ
同じ世間から評価されない者でも,猫は隠れたりせず人通りの多い所を堂々歩いていたことから勇気を貰った,自分に無いものを感じたため憧れたのではないかと考えます。

③描きたい題材だと感じた
絵描きは,その黒猫の姿を見て
売れる物ではなく,自分が描きたい物を描こうと思ったのではないか
私は,これが描きたかったと気づいたのではないか
と考えます。
実際絵描きはその後売れない黒猫の絵を描き続けています。

絵描きは何が描きたかったのか
この後考えていきます。


黒き幸「ホーリーナイト」


最初に少し解説しましたが,絵描きは黒猫に
「黒き幸,ホーリーナイト」という名前を付けます。

ホーリーナイトと言えば,聖なる夜=クリスマスの夜の事だろうと私は想像します。
キリスト教のビッグイベントは聖なる「夜」=黒です。

絵描きは,
黒=忌むべき存在というのはおかしい
と考えていたのではないかと考えます。

黒でも素晴らしい黒として黒猫にその名前を与えたのではないか
と思います。

このことから絵描きは,
不吉ではない黒や美しい黒を描きたかったのではないかと考えます。
黒猫に出会ったときに,堂々とした黒に心惹かれ,描きたかった夢が目の前に現れたと思ったのではないでしょうか。

また,黒猫をしつこく追いかけていることから,
黒猫=夢 を追いかけているという構図でもあるのかなと想像します。

その黒猫が,絵描きにとっての幸せ
描きたい物,夢であったから黒き幸と名付けた。
聖夜とのダブルミーミングだったのではないかと思います。



黒猫が絵描きを殺した(不吉な存在だった)

絵描きは,黒猫に魅入られ,関わったせいで死んだとも言えます。
絵描きは黒猫に魅入られなければ
夢を諦めて故郷に帰り,死ぬことは無かったかもしれない
黒猫は自覚無しに親友を死に追いやった
きつい言い方をするとそうなります。

だが,この曲を聴いてbadエンドだと感じないあたり
絵描きはそれでも幸せだったのではないか
そんな気もします。


やはり似た物同士であった

黒猫は手紙なんて放っておいても良かった
しかし,自分の信じた使命に命をかけました。
絵描きも黒猫なんて放っておいて売れる絵を描いていればよかったのです。
しかし,自分の信じた夢に命を懸けてしまいました。

絵描きが黒猫に出会った時の発言
「僕らよく似ている」がここで生きてくるのです。


不吉な黒猫の絵など売れないが それでもアンタは俺だけ描いた

絵描きは,なぜ売れない黒猫の絵を描き続けたのでしょうか。
「不吉な黒猫の絵など売れない」ということは,上手い下手とかの土俵で戦えていないのです。題材の時点で誰も見向きもしないのです。
そんなこと猫でも分かるのだから絵描きも十分承知していたはずです。

でも,そういう人聞いたことありませんか。
例えばミュージシャン
自分の本当に表現したいことを歌っても評価されず,
世間受けしそうな流行りの歌を歌ってやっと評価される。

Vtuberやアイドルも似たようなもので
バズりそうなもの,世間受けしそうなことを頑張って
運が良ければ目にとめてもらえるレベルです。

自分が表現したいものを正直にぶつけて
評価されず,腐ってしまう

世間受けを気にして作品を曲げたらそんなの芸術じゃない
でも,そんな正論は通用しない
そんなもどかしさや体験がこの楽曲の根底にはあるのではないか
と感じました。

この楽曲は,こうした感情や体験を持つ人へ向けた歌
諦めた夢への鎮魂歌,その最中の人へのエール
そういう意味が込められているのではないか
と,「不吉な黒猫の絵など売れないが それでもアンタは俺だけ描いた」から考えました。

石を投げる子供など世間を登場させているのも,世間受け,世間体がテーマにあるからではないかと考えます。


我々の代わりに絵描きと黒猫は進む

普通の人間,死ぬまで夢を追い続けるなんてしたくてもできません。
現実の壁にぶつかり,その先の物語をどうしても見る事が出来ません。

そんな現実の人々の代わりに絵描きと黒猫は物語を進め,壁の先を見せてくれます。

絵描きは世間から評価されない物を死ぬまで描き続けました。
それが,自分が描きたいものだったから自分の夢を信じ抜きました。
黒猫も死ぬまで走りました。
物語は最後の場面へとたどり着きます。


「K」の意味

絵描きの恋人が受け取った手紙には少なくとも黒猫の名前が書かれていたはずです。
でないと,「K」と付けられません。

絵描きの恋人は,ある程度絵描きがどういう人間か知っていたはずです。
手紙を届けた黒猫の姿と「ホーリーナイト」という名前から
黒猫は絵描きが見つけた夢だと分かったのではないでしょうか。

絵描きは死んだ、そして黒猫=夢も死んだ

絵描きの恋人は
絵描きが夢の為に生き,夢と心中したと理解したのではないかと考えます。

絵描きの彼女としては,
自分を置いて出て行く程の夢とやらに、人生まで使い切ってしまったのなら仕方が無いと諦めがついた。
彼が信じ、ともに生きた夢に敬意を評しknightの称号を与えた
ということではないでしょうか。

世間にも誰にも分かってもらえない絵描きの夢や生き方は
最後,残された恋人だけには理解して,評価してもらえた。

「K」の持つ意味は
夢を諦めた者たちが見たかった物語の終着なのではないか
そのように私は感じました。


以上です。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
この記事が皆さんの「K」の解釈のお役に立てれば幸いです。


雑記
ハルジオンとか乗車券からも同じ匂いがします。
触れませんがこの考察の補強になると思います。

この考察系はどうしても長くなってしまう
今回も4000字を超えたのでもっとコンパクトにしたいけれど,,,
すいちゃんのバイバイレイニー考察の続きはちょっと待ってくれ!
どうしても大仕事になっちまって時間がかかるんだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?