なるほど男

「なるほどなるほど〜。」

「なるほど」を2回言う奴は鼻持ちならない。
ただでさえ「なるほど」に軽薄さがあるというのに、それが2倍になるのだから言うまでもないだろう。
軽薄さにも拍車がかかるというものだ。
「なるほど」をことあるごとに口にする男がいる。
不動産の営業マンだ。
初対面の客とはこうだ。
男「初めまして〜。本日はよろしくお願い致します〜。」
もう語尾を伸ばすところがそもそも気に食わない。

客「あ、今日はよろしくお願いします。いやぁ〜今日は天気がよくて...」
男「なるほど〜そうですねぇ〜。本当に晴れて良かったですよねぇ。」
.....
一体、何が「なるほど」なのか。
天気が良いことに納得したということか?
その「なるほど」が一体どこにかかっているのか、俺には全く意味がわからない。

男「では早速、お部屋にご案内いたします。」
ガチャ...
客「へぇ〜。いいお部屋ですね〜。リビングも広くて...」
男「なるほどですね〜。リビングが広いのはいいですよね〜。」
.....
この「なるほどですね〜」というのも実に癪に障るのだ。
あの語尾を伸ばすところに軽薄さを禁じ得ない。

客「あ、リビングは南向きなんですね〜。夏場はちょっと暑い感じですかね...」
男「なるほど⤴︎?あまり暑いと...ということですよね〜。」
.....
この場合の「なるほど」はまだわかる。
客が暑くなることが気になるということを理解していますよというポーズになるからだ。
しかし問題はその冒頭だ。

「なるほど⤴︎?」

この語尾を上げる感じ...これが鼻について堪らないのだ。
どうにも小馬鹿にされた気分になるのだ。
昨今では言葉の語尾をことあるごとに上げる奴がいる。
そういう奴と話をしていると、まるで「〜からの?」みたいに、話を煽られている感じがする。
合いの手か。

客「お〜、この部屋いいですね!」
男「ですよね〜。ではお申し込みを⤴︎?」
客「そうですね〜、申し込みしよっかな〜。印鑑入ります?」
男「いや、大丈夫です。ちなみにお手付金は⤴︎?」
客「あ、大丈夫です。いくらか持ってます。」
男「そうですか。それではこちらにご署名ご捺印をよろしいですか⤴︎?」

まぁ、最後の「よろしいですか⤴︎?」は普通だが、しかし万事こんな感じで話されると、俺は芸人か!掛け合いか!と思うお客さんも出てくるだろう。
しかしそういう軽薄な奴には意外とコロッといかされる。
あれよあれよという間に契約に持ちこまれるからだ。
かくいう俺もその一人である。

#日記 #エッセイ #コラム #不動産

ごめんなさいね〜サポートなんかしていただいちゃって〜。恐縮だわぁ〜。