肛門

しばらく前に血便が出た。
血便と言っても危険な兆候ではない。
ちょっとケツ穴が痛かっただけなんだ。
そんな時に踏ん張ったら、なんか血が出ちゃったんだ。
でもその血の出具合があまりにも勢いよくてさ、俺はびっくらこいちまったよ。
汚い話で恐縮だが、便器にブシャ!って鮮血が飛び散ったんだから。
便器内が真っ赤になったんだよ。
いや〜、あれには慌てたね。
別に俺は痔持ちではないんだ。
何だかある日から突然、ケツ穴の出口あたりがピリピリし出して、気付いたらそうなっちまった。
だからオレは慌てて肛門科に行った。
ネットで大至急調べた。
近所の医者ではない。
遠方のだ。
だって近所の肛門科はまずい。
診察に行った後、後日に道でばったり先生にでも会ったらどうするんだ。
「あっ!先生!先日はどうも!」
「あ〜、あの時の。どうもどうも。どうですかその後、あちらの方は。」
こんな会話で済めばまだいい。
でも医者が気の利かないヤツだったらえらいことになる
「あっ!先生!先日はどうも!」
「あ〜先日の〜、どーもどーも。それからどうですか。まぁ痔っていうのはね、そう簡単に治るもんじゃないからね、肛門は繊細だから、まぁ次回も...」 
頼むから勘弁してくれ。
道端でそんな感じにやられたらたまったもんじゃない。
地元だぞ。
地元で肛門がどうのこうの吹聴されたら俺の立場がないんだ。
だからやめてくれ、先生。 
まぁ、そんなことはいいんだ。
とにかく俺は大急ぎで肛門科を調べて向かった。
会社にはもちろん言った。
グループラインでだ。
「血便が出たので午前休いただきます。」
俺はいつだって正直だ。
家から電車で30分ほどの肛門科に向かった。
この駅、初めて降りたぜ。
予約はせずに直行。
エレベーターで受付に向かった。
院内には意外と人がいた。
おっ、仲間だな、みんなよろしく。
老若男女、みんな肛門仲間だな。
よろしく。
受付に向かった。
受付は若い女性二人だ。
くぅ〜、肛門科があるというのに若い女を寄越しやがって。
何て気の利かねー病院だ。
でもここまで来たら仕方がねー。
その病院では複数の科を扱っていた。
受付に各科の名称が書いてあり、それぞれに番号が振ってあった。
なるほど、患者に「肛門科です。」と言わせない為の配慮だな。
ちっとは気が利くじゃねーか。
しかし俺は強気だった。
肛門科は②と書いてあったけれど、俺が「えーっと②なんですけど...」なんて女々しいことを言うはずがない。
なんか負けたみたいじゃないか。
もうここまで来たら恥も外聞もない。
俺は言ってやった。
「肛門です!」
はっきり言ってやった。
誇張していない。本当だ。
でも受付の方は普通だ。
そんなことには慣れているから。
俺の声の張りは徒労に終わった。
しばらくして診察室に呼ばれた。
先生は男だった。
先生に一通りの出来事を話し、触診となった。
ベッドに横になるよう言われる。
そしてケツを出すよう言われた。
朝から俺は何やってんだ。
「はい、じゃちょっと指入れますよ〜。」
先生の指が入ってきた。
うぉ、ムズムズする。
本来、モノが出るところに指が入ってるんだ、そりゃ「うぉ。」ってなる。
そして先生の指が太い。
中指か人差し指か知らんが、なんか異様に太い。
肛門科なら指が細いヤツがなってくれ。
俺の指より断然太い。
「うぉ、ぬぉ。」
変な声を微妙に漏らしながら触診は終わった。
「あな痔ですね。手術が必要です。」  
先生にはそう言われたが、俺はそれどころじゃなかった。
そんなことはどうでもいい。
痛ぇ、ケツが痛ぇ。
あんた、指が太すぎるんだよ。
肛門、すげぇ開いちゃったよ。
俺は決めた。
今度、肛門科に行く時は、絶対女医のところに行く。
女性なら指が細いからな。
おっと、勘違いしないでくれ。
俺はそういうプレイで女医を選ぶんじゃない。
やめてくれ、女医にも失礼だぞ。
セカンドオピニオンが楽しみだ。
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