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小1の壁の正体って?足りないのは預かり時間じゃなかった話

周りの小1ママたちの間で、「仕事辞めようかな」という声がちらほら聞こえてくる11月。
専業ママの手厚さに圧倒されて、これでいいのか?と悩む人。
子供の気持ちを優先したいけれど、これまで通りの働き方じゃ対応できない、とジレンマを抱える人。
小1の壁って、学童の預け時間や、親の要領"だけ"の問題じゃないと痛感している。

どうして足りない?帰宅後の時間

わたしが感じる小1の「時間の足りなさ」とは、学童での預かり時間ではなくて「帰宅後の時間」のこと。
17時帰りでも全然時間が足りない。

帰宅後の時間なら、保育園だって同じでしょ?
なんで保育園だと足りて、小学校だと足りないの?

実際に小学生親になるまで、わたしも理解できていなかったその理由。

保育園のうちは「親がやる」。
小学生になったら「こどもがやる」のをサポートする。

この違いだと、わたしは思う。

お世話とサポートの決定的な違い

子供が生まれて、まだ赤ちゃんのうちは、おしっこが出れば親がオムツを替える。
それはそれで大変なこともあるんだけれど、トイトレで「子供にトイレに行かせる」サポートをするのって、別の大変さを感じたことはありませんか?
自分が動けば数分で終わることでも、子供にやらせるとなると、思い通りにはいかない。

小1のサポートで1番分かりやすいのは「宿題」。
「やりなさい」と言われる前に終わらせている子も存在するとは聞くけれど、うちは「やりなさい」を何百回繰り返して、こちらの声も絶え絶えになってもまだやらないタイプ。
他にも、遅刻をさせないとか、忘れ物をさせないとか、いろんな場面でサポートすることが必要になる。
かかる子はかかる。

「ひとつのタスク」ふたを開けてみると

たとえば、先輩ママから「先生から電話がかかってくるのが大変」と聞いても、子が未就学児の頃は「ただ電話で話すだけなのに?」と、全くピンと来なかった。
実際に経験して「電話で話す」というタスクの解像度を上げていくと、そこには、先生から話を聞いて「子供と話をする」という大切なステップがあって、子供と向き合おうとすればするほど、時間が足りなくなることを知った。

親子だけじゃなく、夫婦で話し合うこともあるし、トラブルなどで相手がいれば、電話したり手紙を書いたり。単純に、時間が必要。
さらに、学習に人間関係など、保育園児のときよりもできることが増えたぶん、悩みも複雑になっていたりする。その場で解決することだけではなくて、心にも負担がかかる。

「電話で話す」は、もはや「ひとつのタスク」ではなく「プロジェクトのタイトル」だった…と思うような出来事も経験もした。

軽い気持ちなら、とっくに辞めてる

小1の壁に当たるまで、なんとか働き続けてきたママ友が「辞めようかな」って言うのは、「子供が帰ってきたらおかえりって言ってあげたい」というセリフの響きから想像するような、ほんわかした理由じゃない。
単純に「そこに人手が必要だから」だとわたしは思ってる。

Twitterで「辞めるって選択肢がある人はいいよね」という意見も見かけたけれど、産後復帰してからここまで、それぞれの理由で必死に働き続けてきたママたちに「辞める選択肢がある」と捉えるのか、「続ける選択肢がない」と捉えるか。
子のサポートをするために、家族の誰かが仕事を調整しないといけないとしたら、誰がするのか。働きたくないから、楽したいから、とワガママを言えるくらいなら、とっくに辞めていてもおかしくないのに。

「動ける人がいる」状態って、有利

我が家がここまでなんとかやってこれてるのは、夫婦ともに会社員じゃなくて時間の融通がきくから。
夫婦のどちらかがサポートに回れるというのは、言葉を選ばずに言えば「有利」だと思う。
それでもギリギリ。身を削ってる感じがする。
土曜に授業がある週は、慌ただしすぎて週末の記憶がふっ飛んでしまう。
これまでは子供のケアと家族の時間に丸々あてていた土曜日がなくなるのは、月1回でも痛い。

確かに、小学生になり「お世話」という意味では手がかからなくなった。だけど、「子どものサポート」という、より大人が時間をコントロールしづらい形になって、子育ては続く。家族の誰か、もしくは外部の福祉やサービスを利用して、子どものサポート=「子育て」を担える人手が必要なことには変わりない。子育てに関わる人手って、多いに越したことはないね。

カギは「子のサポート体制を整えること」

「学童と習い事を併用する」とか「ミールキットをうまく使う」とか、小1の壁の攻略法がよく語られているけれど、それは働く親側のサポートであって、子のサポートではない。
世の中的な「保育園児より小学生のほうが手がかからないはず」という思い込みのせいで、わたしも入学してしばらくは「なんでこんなに時間ないんだろう?」と不思議に思っていた。
ジェンダーロールや、生存者バイアスのせいもあるだろう。
小1親の時間の足りなさの正体が、当事者を含め、理解されていないのを感じる。

ちなみに、民間学童では「子どものサポート」に力を入れている施設も多く、外部の助けを借りながら働きたい人にとっては、強力な助っ人になるかもしれない。
個人的には、保育園がそうであるように、親の就労や病気などで子育て時間が持てない家族への「福祉」として、ここを国が支えてくれるとありがたいんだけどな。

個人差×個人差×環境×状況…?

ここまでの文章は、Twitterで投稿したツイートを元に加筆しました。
一連のツイートに共感してくれる方が多かったけれど、結局「子による」要素が大きくて、さらに「地域による」し、親の「働き方による」。
いろいろな要素がそれぞれ違うので、正解も答えもない。小1の壁の難しさってこういうところ。

覚悟を決めて小1を迎えたけれど、拍子抜けするほどスムーズだった、なんてこともあるかもしれない。
これを読んでいる、これから小1を迎える親子のみなさんが、スムーズなパターンでありますように。

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