![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146470629/rectangle_large_type_2_82b30f2e9e3c4fb7a59332b433172b18.png?width=1200)
『迷宮カフェ』 : 短編小説
霧に包まれた東京の片隅。23歳の主人公・佐藤ミライは、大学を卒業してから半年間、就職活動に失敗し続けていた。彼女の部屋には、自己啓発本と履歴書の山。壁には「夢は叶う」という文字が貼られているが、その隣には「いつか」という付箋が貼られている。
ある雨の夜、ミライは偶然、路地裏の不思議なカフェ「迷宮珈琲店」を見つける。扉を開けると、そこは現実とファンタジーが交錯する空間だった。
店主は、猫の姿をした老人。「いらっしゃい、迷える子羊さん」と彼は言う。
「私、自分が何をしたいのか分からなくて...」とミライが呟く。
猫店主は微笑み、「そう、それが分かれば苦労はないさ。でも、ここでは自分探しの旅ができるよ」
突如、カフェの内部が変化し、ミライは様々な職業体験をする不思議な迷路に迷い込む。
会社員として働く自分 - 「安定しているけど、魂が抜けていく気がする...」
起業家として奮闘する自分 - 「自由だけど、不安で眠れない...」
アーティストとして生きる自分 - 「夢はあるけど、お腹が空いて倒れそう...」
迷路を進むにつれ、ミライは気づく。「完璧な選択なんてない。どの道を選んでも悩みはある」
最後の部屋で、鏡に映る自分と対話する。
鏡の中のミライ:「あなたは何がしたいの?」
現実のミライ:「...私は、まだ分からない」
鏡の中のミライ:「それでいいのよ。分からないことを認めることから始まるの」
その瞬間、ミライは現実のカフェに戻っていた。
猫店主:「さて、どうだった?」
ミライ:「答えは見つかりませんでしたが...なぜか少し楽になりました」
猫店主:「それが答えさ。自分探しに終わりはない。大切なのは、その過程を楽しむこと」
ミライは微笑み、雨上がりの街に一歩を踏み出す。背中には「迷える者こそ、道を作れる」と書かれたバッグ。
彼女の冒険は、まだ始まったばかりだった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?