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決定版 #DXの思考法 #西山圭太 総まとめ

これまで8回にわたって1章ずつまとめてきた「DXの思考法」ですが、今回は全体の総まとめしました。まとめながら咀嚼を繰り返して、この本って、かなりすごいことを言っているのではないか?とじわじわと理解してきました。皆様とデジタル時代の歩き方を共有できたらと思います。

*以下、本記事のすべての図表は、「「DXの思考法/西山圭太 著」をもとに、篠崎が作成したものとなります。図表のスライドデータ(PPT)が欲しい方がいらっしゃいましたら、Twitterをフォローの上、DMいただけましたらご送付いただきます。Twitterアカウントの情報は記事の末尾ご参照。

各章まとめと全体構造

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上記は、noteでのまとめ連載中に各章ごとの内容をまとめていったものを並べました。以下、総まとめでは、この流れに沿わず、自分なりにわかりやすい流れに再構築しています。

デジタル化の本質①:具体ではなく、一般化・抽象化・汎用化

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最初に、デジタル化の本質です。それは具体ではなく、「一般化・抽象化・汎用化」であり、「この手を打てばいま目の前にある具体的なもの以外のものも含めて、なんでも処理・解決できてしまうのではないか」という発想が必要です。

そしてそれを実際にタテ割りの組織で実行するにあたって、プロセス業のDX化に取り組んだダイセルの事例が紹介されました。画像中に書いたような要点を押さえてシステムをつくることで、システムがヨコ割りの組織への変革を実現する、という考えかたがとても印象的でした。

デジタル化の本質②:ピラミッド構造ではなくミルフィーユ(レイヤー)構造

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もう一つのデジタル化の本質は、構造についてです。それは、ピラミッド構造ではなく、レイヤー構造をとります。従来のピラミッド構造が脱構築(分解)されて再統合されたレイヤー構造は、上位(アプリ)側がそこから下の複雑な構造を隠蔽してくれることで、余計なことを考えずに済むという効率化を生み出す。料理でいえば、カレー粉。このことで新しい組み合わせ、が容易になりイノベーションの源泉になります。つまり、構造的に新結合が促されるということですね。

DXを味方につける思考法:アーキテクチャを武器にする

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デジタル化の本質として先に紹介した、「抽象化」「レイヤー構造」これらを統合してみる、ものの見方がアーキテクチャという思考法・アプローチです。

レイヤーは価値を生み出す変換を実現するコンポーネント(≠具体的手順)の集まり。それらを組み合わせ可能にするのがインターフェース。価値や体験を提供するためのパターンを探索・組み合わせて解決しようとする発想・行動がアジャイルアーキテクチャは、具体にとらわれず、抽象化により経験をパターン化し組み合わせることで、複雑系の「ややこしさ」を解決しながらシステムを実現するアプローチである。

肝になるのが「抽象化」でしょう。書籍の中ではラーメンの調理法を例に紹介されます。そのほか、まちづくりの例としてクリストファー・アレグザンダー氏のパタン・ランゲージも紹介され、非常に興味深かったですが、これは書籍に譲ります。

DXの思考法」を通して、西山氏が最も伝えたかったことはこのアーキテクチャという概念だと思いました。しかしこれが構造だったり、思考法だったり、アプローチだったり、文脈に明示されず、まるっとアーキテクチャといっているのがちょっとずるい(苦笑)私は、思考法・アプローチとしてとらえました。

参考:アーキテクチャ 考え方正誤表

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アーキテクチャの考え方の正誤表です。

サンドイッチで、エコシステム全体の価値を変える

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アーキテクチャの考え方を社会に適用する場合のアプローチとしてサンドイッチアプローチが紹介されます。これは、デジタルシステムに人がどのようにアクセスするか、というユーザー・インターフェース(UI)の話でもあります。

社会・政府とシステムの関係は相互連携になる中、公共システムは既存システムレイヤーに新しい相互連携を促すキーレイヤーを挟み込みエコシステム全体の価値を変えていく、サンドイッチ型になっていく。

インドの公共システムであるインディア・スタックを構成する、個人認証基盤Aadhaar(アドハー)、統一決済インターフェース(UPI)はまさに、既存システムレイヤーに新しいレイヤーを挟み込むことで、公共政策が進みたい方向へ全体の価値をコントロールしています。

IX時代の白地図は3つの視点から構成された複合レイヤー構造

西山氏は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を会社で実行するということは、いまある会社のカタチを変容させるインパクト持つものであるべきであり、CX(コーポレート・トランスフォーメーション)だとします。そして、デジタル化の本質は「抽象化」であり、「これができれば、それ以外のこともできてしまう」という発想です。つまり、自社が変われば、産業が変わりうるのです。そのため、DXの先には、IX(インダストリー・トランスフォーメーション)があるのだとします。

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そんな、産業が変容する、IX時代をを表す白地図は3つの視点から構成された複合レイヤー構造だといいます。上記の図は、大枠は書籍の中と同じですが、左右のUX、UIの視点のところはかなり篠崎の理解で手を入れました。

右側のUI視点のところは、本まとめ記事の中で紹介済みです。デジタル化されたシステムに人がアクセスするときに、全体の価値をコントロールするようなレイヤーをいかにつくりだすか、が肝です。

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左側は、書籍では、パタン・ランゲージなのですが、私自身が消化しきれていないので、勉強中です。問いは、デジタル化されたシステムが解くべき課題や実現したい経験・体験を生み出せるようにするために、人はシステムをどう設計・設定すればよいか?ということです。それをUX視点と言っています。

アーキテクチャを武器にする、のところで、ラーメンの調理法を例にした説明を紹介しました。これをラーメンというよりも料理全体に広げるという抽象化をするのです。それを実際にやっていた例として書籍の中ではスペインのエルジブというレストランが紹介されました。

世界中の食材とその調理法、通常は、日本料理であれば、大根を煮るときはコメのとぎ汁で、といったようにピラミッド構造をとっています。こういった従来の構造を脱構築し、具体的な手順ではなく価値で表現する食材レイヤー・テクニックレイヤーをつくりだします。それらのコンポーネントを生み出したい食体験の世界観をもとに、組み合わせて実行しつづけること、これがUX視点であり、抽象化とのメンタルバトルだな、と私は思いました。

DXに取り組む手順:本棚発想術で作家・編集者になる

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最後に、実際に企業の中の人として、DXに取り組むためのとっかかりとなる実践レイヤーでの手順として本棚発想術が紹介されます。

まず、自社が真に対処すべき課題や成し遂げたいことを定めます。次にそれをもとにウォードリー・マップをつくります。

そのマップは、設定した顧客体験・課題を頂点に要素分解、その要素を実現するために必要なデジタルテクノロジーを技術発達フェーズにもとづいてマッピングしたものです。そこに社内外の事例や、自社のシステムの現状を重ね合わせます。

このマップの一番右側の既製品のエリアが本棚です。ここは既製品を組み合わせてさっさと作ってしまえばよいのです。その上で、自社が本当に実現したいことに欠けてること、自社が集中すべきポイントを見定め、そこに取り組む、これが「本棚にない本をつくる」ということです。

デジタル化の本質は抽象化です、この本棚、つまり世の中、産業にない本は、本棚のカタチを変えうるのです、自社だけでなく、産業を変えうる、つまりIXしうるのです。そのためには、つまり、本を外販していくということです。

これまでのまとめ記事の一覧

第1章:デジタル時代の歩き方

第2章 抽象化の破壊力
デジタル化のミルフィーユ構造について

第3章 レイヤーがコンピュータと人間の距離を埋める
レイヤー構造とネットワークについて

第4章 デジタル化の白地図を描く
アリババ、インターフェース、IX時代の白日の2軸など

第5章 本屋にない本を探す
ネットフリックス、マイクロサービス、ウォードリー・マップ、本棚理論

第6章 第4次産業革命とは「万能工場」をつくることだ
ダイセル、インダストリー4.0

第7章 アーキテクチャを武器にする
アーキテクチャ、抽象化、コンポーネント、インターフェース、パターンランゲージ

第8章 政府はサンドイッチのようなものになる
システム・オブ・システムズ、インディア・スタックとサンドイッチ構造、ジャパンスタック

おわりに

冒頭の繰り返しですが図表のスライドデータ(PPT)が欲しい方がいらっしゃいましたら、Twitter: shinojackieをフォローの上、DMいただけましたら幸いです。

DXについての記事は以下の「マガジン」にストックしてますので、併せて覗いてみてください。フォローや「スキ」を押してもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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