Digital野鳥記#001/日本の国鳥・キジ ど迫力の「ほろ打ち」秒間10回の羽ばたき/平野伸明
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春、野山や草むらでキジのオスが「ケーン、ケーン」と甲高い声で鳴くのをよく聞きます。そのあと「ドドドッ」と羽がぶつかるような音が続きますが、これがいわゆるキジの「ほろ打ち」です。
その瞬間をハイスピードカメラで撮影し、何回羽ばたいているかを数えたら、ひと鳴きでだいたい9回、多い時は11回も羽ばたいていました。
キジの強靭な羽ばたきが、あの音の正体だったのです。
▲日本の国鳥 キジ 手前にいる鮮やかな羽色がオスで奥にいるのがメスだ
▲オスは春になると「ケーン、ケーン」という鳴き声とともに羽を羽ばたかせる「ほろ打ち」という行動をする
「ほろ打ち」はメスにアピールするための求愛と、他のオスを牽制するための縄張り宣言を兼ねた行動と考えられている。
この「ほろ打ち」をハイスピードカメラで撮影してみた。
▲「ケーン、ケーン」のひと鳴きでなんと11回も羽ばたいていた!
他の動画もスローにして数えてみると、ひと鳴きでだいたい9回、多い時は11回も羽ばたいていることがわかった。
▲力強いはばたきによる風圧で落ち葉が舞い上がる
迫力満点の「ほろ打ち」の瞬間の「ドドドッ」という音は超高速で羽ばたく音なのだ。
▲通常速度と、速度を10%に落としてスローにした映像
いかに高速で羽ばたいているかがお判りかと思う。
キジの「ほろ打ち」は、関東では3月中下旬頃から見られ、ヒナが生まれるとピタッと行われなくなる。
▲それにしても、ぶあぶあとした立派な胸毛だ
平野 伸明(ひらの・のぶあき)
映像作家。1959年東京生まれ。幼い頃から自然に親しみ、やがて動物カメラマンを志す。23才で動物雑誌「アニマ」で写真家としてデビュー。その後、アフリカやロシア、東南アジアなど世界各地を巡る。38才の頃、動画の撮影を始め、自然映像制作プロダクション「つばめプロ」を主宰。テレビの自然番組や官公庁の自然関係の展示映像などを手がける。
主な著書に「小鳥のくる水場」「優しき猛禽 チョウゲンボウ」(平凡社)、「野鳥記」「手おけのふくろう」「スズメのくらし」(福音館書店)、「身近な鳥の図鑑」(ポプラ社)他。映像ではNHK「ダーウィンが来た!」「ワイルドライフ」「さわやか自然百景」や、環境省森吉山野生鳥獣センター、群馬県ぐんま昆虫の森、秋田県大潟村博物館など各館展示映像、他多数。
→これまでつばめプロが携わった作品についてはこちらをどうぞ。
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