ブックサンタの活動報告を読んで、ちょっと泣きそうになった話

 今年の11月、仕事がひと段落してネットサーフィンをしていると、ブックサンタのニュース記事が目に入った。
 実はブックサンタが始まった年に、たまたまそのニュースを目にして参加しようと思っていたのだが、加盟店が見つからないままクリスマスが終わってしまった。
 今年こそは……! と意気込んで、近所のブックサンタ加盟店を探し、滞りなく参加できた記録とクリスマス後に活動報告を読んだ感想です。

今年選んだ本について

 私は前職が学童指導員で、大学で司書課程を学んでいたこともあり、図書コーナーの管理を任されていました。児童書や絵本は得意ジャンルといっても過言ではなく、ブックサンタへの参加を決めてから、どんな本を選ぼうか悩みに悩みまくりました。
 自分の中で、ある程度の選定基準があって

①シリーズ物ではないこと
②幅広い年齢が楽しめるもの(想定は3歳~9歳頃まで)
③一度読んだら終わりではなく、何度も長く読めるもの

 この3つの基準を満たす本を選ぼうと思っていました。
 ①は私が小学生の頃、片親支援のイベントで『ハリーポッターと賢者の石』を貰うものの、続きは高くて買ってもらえなかった経験から。大人になってから全巻買った時の喜びはありましたが、やはり当時続きを読みたかった。
 ②は兄弟で一緒に読むことも想定して、ある程度成長してからも楽しく読めるものがいいと考えて。
③はストーリーありきの本だと、何度も読んでいるうちに記憶してしまって、手に取られにくくなるし飽きてしまう子もいると思うので、繰り返し読むことを前提とした本が良いと思って。

 以上3つの条件と、学童で特に子どもたちに人気だった本を思い出しながら選定した結果、安定の『ミッケシリーズ』になりました。
 『ミッケシリーズ』の子ども人気はそれはもうすごいもので、学童ではいつも取り合いでした。大人でも真剣に探してしまうくらいよく作り込まれていますし、探すものが多いので、何度も楽しめるはずです。

 で、最近気づいたんですけど『ミッケシリーズ』の翻訳ってMOTHERシリーズやほぼ日手帳の糸井重里さんなんですね。MOTHER2をクリアしたばかりだったので、なんか感慨深かったです。

26日に寄付者向けの活動報告を読んだ

 本を買ったのは11月下旬だったのですが、その時にもらえるクリスマス後に活動報告が読めるQRコードの用紙を忘れないように、ずっと冷蔵庫に貼っていました。クリスマスが終わった12月26日に思い出して読んだのですが、歳のせいか、過去の自分に重ねて、ちょっと泣きそうになりました。

 私は2歳で両親が離婚してから、ずっと母子家庭で育ちました。クリスマスプレゼントも、お年玉も、周りの友達に比べるとやっぱり劣りました。子ども心に「ああ、自分の家は貧乏なんだ」ってずっと思っていましたし、周りが習い事や塾へ通い出しても、自分も通いたいとは言えませんでした。


 子どもの頃の体験って、人の基盤になるものだなぁと最近思うのです。私は幼少期の経験から、お金しか信じられるものはないと思っているひねくれた人間ですし、サンタクロースはおろか、神様の存在も信じたことがありません。困っても人を頼れないし、手を伸ばしてくれた人に噛みつくひどい人間に育ちました。
 幼少期の自分の前に、一度でもサンタクロースが現れ、プレゼントを渡してくれたら? 私はこんなゴミみたいな人間にはならず、もう少しやわらかい人間になれたでしょう。
 私が送った本が誰かの家に届いて、その子がこの経験をしばらくは覚えていてくれたら、これほど嬉しいことはないです。「サンタクロースが本をプレゼントしてくれた」という経験が、少しでも子どもを救うことになれば、私の行動に意味があったと言えるでしょう。私のように大人になってから今度は自分が送る側になってくれるのも素敵です。
 やらない善より、やる偽善。外野で好き勝手にワイワイ言う人間より、これからも、顔も知らない子どものためにお金を使って本を買える人間でいたいと思っています。


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