見出し画像

イベルメクチンとコロナウィルスについて


イベルメクチンが話題になっている理由とは?

コロナウィルス感染症の新しいバズワード「イベルメクチン」が登場しました。寄生虫感染症の治療に使用されるお薬の有効成分であるイベルメクチン。この記事ではイベルメクチンが実際に何に使われるお薬なのか、なぜコロナウィルス感染症の治療薬として使用できる可能性があると主張されているのかOxford reviewやWHO(世界保健機構)、BBCを参考に、そして私たちbetterhealth.jp集う専門家チームによる確かな情報をご紹介したいと思います。

イベルメクチン

イベルメクチンは有効成分の名称で、アタマジラミ、疥癬、河川盲目症などの寄生虫感染の治療に使用されてきました。

Heatgrad、Skrice,Stormectorなどのブランド名でイベルメクチンを使用したお薬が販売されており、米国、メキシコ、ネパール、インドなど幅広い国では、そのジェネリック医薬品も販売されています。

では、世界中が対応に追われている未曾有のパンデミックを引き起こしたコロナウィルス/COVID-19に対して、イベルメクチンは、どのような効果があるのでしょうか。オックスフォード大学の研究室が主導した研究では、有効成分イベルメクチンがウィルスを殺している様子が、ペトラ皿の中で見られたと発表されました。(人の身体を使った実験は行われていません。)その結果を受けて、5月にインドの2つの州が感染者の増加、医療体制の崩壊を受け、イベルメクチンを州民へ配布する可能性があると発表しました。(ロイター通信:https://www.reuters.com/world/india/indian-states-turn-anti-parasitic-drug-fight-covid-19-against-who-advice-2021-05-13/

しかしこれは、イベルメクチンを使用した治療が効果的であるという実際のエビデンスや、治療した場合の潜在的な有害性について解明されていない段階での発表です。

実験研究や観察研究は、薬剤を使用した治療に、絶対的に効果を発揮するというゴールドスタンダードではありません。過去にアジスロマイシンというお薬がコロナウィルスに効果があるのではと期待されましたが、その後の研究で、該当する効果はなかったことが分かりました。こういった事実があるにも関わらず、イベルメクチンは日本で非常に注目され続けています。以下のGoogleトレンドの結果では、検索数が著しく増加しているのが分かります。


しかもBBCニュースによれば、イベルメクチンの注目度は日本だけでなく、ブラジル、ボリビア、ペルー、南アフリカ、アメリカといった国でも高く、医師や個人の判断による自己投薬という形で使用されているとのことです。(詳細はこちらhttps://www.bbc.com/news/health-57570377


オックスフォード大学は、こういった注目度の高さを受けて、イベルメクチンがコロナウィルスに対抗できる有効性があるのか、それを明らかにするための研究を行っています。

https://www.ox.ac.uk/news/2021-06-23-ivermectin-be-investigated-possible-treatment-covid-19-oxford-s-principle-trial

これまでのところ、FDA(アメリカ食品医薬品局)とWHO(世界保健機関)は、十分な研究結果が得られるまでは、イベルメクチンをコロナウィルス感染症の治療薬として使用しないよう勧告を出しています。しかしパンデミックの混乱の中で、組織を信用せず本能的な行動により感染に備えて備蓄している人々も中にはいるようです。
イベルメクチンの自己投与を考えている方は、イベルメクチンを大量に投与した場合に何らかの危険が発生しうることを必ず、事前に知っておいて頂きたいと思います。重度の肝臓疾患のある方、血液をサラサラにし、血液循環を改善する薬を服用されている方、イベルメクチンとの相互作用が既に知られている治療薬を服用している方は、コロナウィルスを理由にイベルメクチンを服用することはおやめください。非常に危険です。実際に服用に踏み切る前に、必ず医師に相談するようにしてください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?