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人の不幸は蜜の味

僕は文学についてまったく無知だけど、僕の中の何かを言葉にしたもの。詩の常識や決まりも知らないし、有名な代表作品すらひとつくらいしか浮かばない。そんな人の言葉の配列。僕はこの言葉たちが好きというだけ。



「プールサイド」

愛に溺れた僕を プールサイドから眺める君は どんな顔をしてたんだろう


「回収車」

こちらは不幸回収車です。 ご不要になりました、愛情、思い出、向上心、願望など、回収しております。 壊れていてもかまいません。


「殺人事件」

今死ねば他殺に見せかけられるくらい幸せそうに振る舞えた。


「巣立ち」

愛に飢えた猫に水を与えたらすくすく成長して飛び立っていった。


「乗り過ごし電車」

電車に乗ったら君はいつも景色ばっか眺めてたよね
私はいつも君のことばっか眺めてた
景色ばかり見る君と君ばかり見る僕のコントラストに嗤った。


「人間不信」

僕が知性を言葉に落とすと、君は欲望を言葉に落とした


「リハビリテーション」

人殺しになったが、君の遺書で死刑は逃れた。


「輝き」

君から貰ったネックレスを海に投げ捨てた
一番輝いて見えた


「自覚と他覚」

自分のダメなところはたくさん知ってた。けど自分のダメだったところは自分の好きなところだった。


「ごみの日」

愛なんていうのは粗大ごみだ。あんなもの早く捨ててしまった方がいい。


「嘘と愛情」

100通りの可能性を考える僕と1つの事実を隠す君


「君と長くいたいから」

君と長くいたいから
海で一緒に泳ぎたいと言ってみた
君と長くいたいから
日の出を一緒に見たいと言ってみた
君と長くいたいから
恵方巻を一緒に食べたいと言ってみた
君と長くいたいから
君が一番嫌いだと言ってみた
君と長くいたいから
君を一生愛するとは言わなかった


「人間愛」

彼女の言う幸せはどのような意味か考えてみたが、かなりグロい欲望が見えてきた。すごく人間だ。良い。


「春という季節」

春が好きだ。君と出会った季節だから


「やさしさ」

時が経ってやさしさに気付いて
苦しめばいいのよ
そのときになったら笑ってあげる


「優柔不断」

あなた1人じゃランチのお店も決められないでしょ
明日はパスタを食べに行こうよ


「シンパシー」

忘れてた思い出があなたを苦しめるといいな
あたしと同じように


「病名」

君といるとすぐ笑顔になっちゃうな
この病名でも考えとこうか


「面接官」

なに?君は面接官なの?僕と一緒にいるメリットなんて君が見つけなよ。


「不器用なわたし」

私もたぶん君が好きだったんだけどちんけな考えに思えて言葉にできなかったの


「奇跡と現実」

愛なんてものでそんなことは変えられない
そんなの三流作家の描いた妄想だよ


「離婚届」

ひとりで住むには広すぎたかななんて思っても今更君には届かないよね
何回も書き直した離婚届が捨てられたごみ袋はずっとそのままにしてる
涙が拭けるかななんて


「コーンスープ」

君の作ったコーンスープがまた飲みたくて
湯を沸かしてみたの
冷めた指先は温まるけど全然甘くなくて
ずっと泣いていたのは絶対秘密だって
誰にも気づかれないけど


「カレーライス」

君の人生の福神漬けになれればそれでいい。


「残春」

君はそんなにみすぼらしい姿になってまでなんで枝にしがみつこうとするんだい?もう一生、緑を照らすことはできないというのに。


「壊れたレンジ」

飽きた?冷めた?なんだそれ。もっと感性鋭く観察しろよ。温めろよ。


「愛というもの」

嫌いなところいっぱい言える
今もたぶん好き


「毒薬」

私は「かわいい」という毒が欲しかっただけなの


「盲目」

君は僕の何を知ってたのか。
僕は君をなにも知らない。


「助けたい」

死にたい?良いんじゃない?生きてる証拠だろ


「パスワード」

君と時間を過ごすたび
僕の思い出を開けるパスワードが複雑になっていく
誰にも開けられないきっと君にも開けられないよ
君が会いたいと言った日が全部僕にとっての記念日だからさ


「夜」

今夜くらいはちょっと君と居させてよね
終電なんて気にしなくていいからさ
今夜くらいは一緒に月でも眺めませんか
空一面雲に覆われててもいいからさ
今夜くらいはせめて一緒に居させてよね
何もかも全部嘘でもいいからさ
今夜くらいは一緒になんて呟いてみてるの
風にでも運ばれて君に届きませんか


「信じれば真」

嘘くらいせめてちゃんと最後までついてよ
ほら気づいちゃうよ早く優しい嘘をついてよ
シフト制でもいいから君を愛させてよ
ほんのちょっとでいいから私を楽しませて


「サランラップ」

余った料理にはラップして冷蔵庫にしまったけど明日生きたいなんてサラサラ思ってないの


「恋と時間」

東から昇る日に見惚れていたら夜がやってきた。


「エアギター」

君からもらった空になったワインボトルをギターに見立てて愛を唄うんだ


「ラップ」

余ったごはんをラップに包んだ。僕は明日も生きたいみたいだ。


「お風呂」

お風呂ってこんなに温かいのに心までは温めてくれないんだな。


「鬱と日常」

今日の日付もわからないし天気もわからない
着替える服もないし今日の食べ物もない
ボディソープもなくなったしいつも飲んでた珈琲もなくなった
言葉に書き連ねて分かったのは壊れていたことだけ
それをどうやって治すか考えてたら耐えられなくなっちゃった
涙の味も知らないで笑えるのが羨ましい


「贅沢搾り」

握りつぶされた限定の贅沢搾りピーチ。今の僕にはわからない。


「目的地」

このまま電車に乗ってたらさ、明日のない世界に着いたりしないかな。


「一途」

好きな食べ物は昔から変えてないんだって言ったら君は嘘だと思うかな


「目薬」

涙を目薬の代わりって笑い飛ばしてたのは君の精一杯の嘘だったんだな


「月」

月くらい一途だったらよかったという君にずっと一途なのは妄想ってことで


「君といちご」

君はいちごが多い方がいいと言ったけど
僕はいちごの味も分からないくらい君と食べるのが楽しい


「誰かの話」

悲しかったことは友達の話で、楽しかったことは小説で読んだ話にしておこう。


「吸い殻」

君がタバコを吸いにいったから僕は君の誕生日を入力してスマホを触った。






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