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親のワクチン接種予約を代行して考える アナログとデジタルの間で働かされるのは人間

うちの母に、コロナワクチンの三回目接種券が届いて、思ったことを書かせてもらいます。

どこの自治体も似たりよったりだと思うのですが、接種券と一緒に、対応している病院のリストが同封されていました。
そこには、母の行きつけであり、かつ、一回目二回目も注射を打ってもらった病院も載っていました。
ただ、前回と違うのが、問い合わせ方法が、「ホームページから」となっているところ。

URLも記載されているのですが、そんなアルファベットと記号の羅列なんか見ても、齢七十の母からすれば暗号文みたいなもので、紙を渡されて、「ここから予約してちょうだい」と頼まれる。

URLをポチポチ入力出来ないにしても、スマートフォンを持っているのだから、「病院名で検索して自分でやってくれよ、ggrks(ググレカス)」と思わないでもないですが、言ったところで、どうしようもないどころか、一つの手順が進む度に、「これはどうすればいいの?」「これで合ってるの?」「次はどうするの?」と質問攻めに遭うに決まっているので、「はいはい」と了解。

さて、その病院のホームページを覗いてみると、今度は、「アプリをダウンロードしろ」と書いてある。

母の携帯にダウンロードしたところで、結局、操作するのは自分だし、しかも、こちらで予約を完了させても、その後に、勝手にアプリを操作して、大騒ぎになる可能性も十分にあるわけで、そして、例によって、「私もなにもしていない」と言われて、「そんなわけあるかい!」と、両者ともにストレスの原因になることは「お約束」ですから、自分のタブレットにインストールしました。

自分のメールアドレスで登録するかどうか悩みましたが、しかし、いちいち、私に飛んできたメールを転送するのは面倒だなーと母のgmailアドレスにしました(が、今、これを書いていて、gmailなんか読み方を知らないのだから、やはり自分のアドレスにするべきだったと後悔しております)。

パスワードも、聞いたところで、直ぐに忘れるに決まっているので、こちらで適当に入力、メモっておいて、登録完了。

さて、ようやく予約ができると思ったら、アプリのボタンを押しても、「まだ詳細は決まっていません」と出る。

「まだ予約できないよ」と母に伝えると、「いや、紙にはホームページからって、書いてある」と言ってくる。

「だからね」とパソコンで表示させたホームページの画面を見せて、「アプリからってなっていて」と言い、続いてタブレットのアプリを起動して、「ほら、まだだって」と流れを説明すると、「じゃ、電話して聞いてみる」と言い出す。

ちなみに、病院のホームページには、「電話では受け付けしないので、アプリからお願いします」と記載されている。

想像するに、病院側は、一回目二回目のワクチン接種における電話応対で大分苦労された結果として、アプリを導入したに違いない。そのことは分かっていたものの、それを言った所で、老いた母を説得出来るとは思えず、「そう」とだけ答えておくと、早速電話を入れて、そのお答えは、「あのね、ホームページを見てくれって、言ってた」。

病院側としては、そういうマニュアルになっているのか、それとも応対してくれた人も分かっていなかったのか、それは不明だけれども、「まだ態勢が整っていない、ちょっと待ってくれ」と述べてくれれば済むのに、と思いながら、再びホームページを見せて、アプリを起動して、「まだだって」と説明する輪廻。

すると、今度は、「病院に行ってくる」と言い出す。

病院のホームページには、「感染防止の為に、窓口での予約は受け付けていない」という文言もあるのだが、「泣く子と地頭と老人には勝てぬ」で、「はいはい」と答えるしかなく、そして病院から帰って来た母からは、「これを渡された」と、アプリの説明書をもらう羽目に。
もしかして予約できるのか? とアプリを起動しても以前と同じ反応で、げんなり。

病院側としては業務負担軽減の目的でアプリを採用したはずだが、さて、こんな患者応対をしなくてはならないのだとすると、本当に軽くなったのかな~? と思ってしまう。

しばらくして、タブレットに、「予約開始」という通知が来て、「これで、このドタバタからも解放される」と、アプリを起動すると、接種開始の2/1午前中が空いている。
急いで電話を入れて、「どうします?」と聞くと、「ゴモゴモ」となにかを口ごもったのだが、直ぐに、「それでいい」というので、タブレットから予約を完了。

良かった良かったと、完了画面のスクショをLINEで送れば、すぐさま、「やっぱり2/8にして変更して欲しい」と返事が来て、なんでパニックになるくらい急げ急げでやって来たのに、一週間伸ばすんだよ、と、また、げんなり。

もう付き合いきれん、と、その日は既読スルーで、翌日になって直接本人から聞いてみれば、前回(二回目ワクチン接種)からの期間の関係で、接種券に、「2/8から接種可能」と書かれているわけで、幸いにして、アプリで確認すると、その日は予約可、以前の取り消しも出来たので、とりあえずは一安心。

こういうことを体験する度に、DXはやらなくちゃならないんだけど、大変だなーと思ってしまう。

アプリを導入するにしても、電話でも対応してくれれば、と簡単に思いつくけれども、実際問題として、それをしちゃうと窓口が2つになってしまい、オペレーションが煩雑化、働いている人の負担も増加し、ミスの可能性も増えるわけで、それならば、むしろアプリなんか導入しないで、電話オンリーの方が、むしろ効率的。

ならば、「昔ながらのままでいいじゃん! その方が、弱者にも優しいし」としたいところだけど、しかし、このまま非効率的なシステムを維持していると、巡り巡って弱者にしわ寄せが来るのも事実。

もうしばらくしたら、AIによって、web、電話、手書きのfax、なんでもかんでも低コストで聞き取り読み取りしてくれて、自動でデータをまとめてくれるような時代が来るのかもしれないですが・・・・・。
それまでは結局は人力頼みなんだろうな、と思わされました。


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