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場外乱闘勃発!クレアホールディングスと株主を巡る攻防とは?

都市開発、住宅建設、販売、リフォームや、不動産、飲食、広告、コスメティック、オートモービル関連事業などを展開するクレアホールディングス(1757)において、現在ちょっとした騒動が勃発しています。株主から臨時株主総会を招集するように要求が出たのですが、その主張などに怪しげな雰囲気が感じ取れるからです。クレアホールディングスと株主の間に何が起きたのか、解説します。

クレアホールディングスとは?

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1965年、賃貸住宅の販売を行っていた高杉建設株式会社が設立されます。高度経済成長期だったこともあって事業は成功し、90年代後半には株式公開を果たします。

ここで得た資金を元手にそれまでの賃貸住宅販売だけでなく住宅リフォームや設計施工を手がけ、2009年にクレアホールディングスに商号を変更します。

不動産事業から太陽光発電にシフトし、飲食関連の広告などを手がける会社を子会社化したことで年間売り上げが20億円になるなど今日まで成長を遂げています。

雲行きが怪しくなった2019年の夏

2019年に入り、クレアホールディングスに対する動きが出始めます。3000万株、およそ45億円におよぶ第三者割当増資を実行しました。対象になったのはMTキャピタルマネジメント(小田祐次社長)とオリオン1号投資有限責任組合(岡本武之社長)です。

2019年12月には、MTキャピタルマネジメントとオリオン1号投資有限責任組合の2社から追加で第三者割当増資を実行します。元々不動産業や太陽光関連の業務を行っていたものが、広告事業を手掛けるアルトイズム社を買収して連結子会社化したことで、本業が大きく変わっていきます。

2回の第三者割当増資を終え、2社の株式はそれぞれ全体の10%程度まで増えます。この10%の状態から度々売買を繰り返し、頻繁に「主要株主の異動に関するお知らせ」を出すまでに至ります。

他の会社まで売買を繰り返すようになった2020年の夏

第三者割当増資が行われるまで1位だった株式会社SEED(猪俣秀明代表取締役)や2020年6月に新株予約権の行使を行って1位に躍り出た松林克美氏も10%ほどの株式を保有すると、同じように売買を繰り返すようになりました。

それぞれが1位になり、売り買いを行う中で筆頭株主がコロコロと変わる異常な事態が起こり始めます。この背景には、この時期クレアホールディングスの株価の乱高下が関係します。

それまで1株20円程度だったクレアホールディングスは、2020年6月にコロナ対策に効果あるとされるダチョウ抗体に関する商品の販売を行います。

これを機に株価はそれまでの5倍以上となり、時価総額も一気に増えました。松林克美氏もそれまで1株も持っていなかったところ、株価が一気に上昇したことで、新株予約権の行使を行って一躍筆頭株主へと躍り出ます。

販売代理店契約を結び、1株175円(7月6日 終値)まで上昇するなど、それまでの状況と打って変わり、高位安定の状態に突入しました。この時期にそれぞれの株主が売買を頻繁に繰り返したというわけです。

会社と株主はなぜ対立しているのか

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7月に入り、株主から臨時株主総会の招集が提案されます。提案したのはオリオン1号投資有限責任組合です。ここの運用と管理を行っている、セノーテキャピタル株式会社代表取締役社長岡本武之氏が提案を行いました。

岡本氏の提案は、ダチョウ抗体を手がけるジールコスメティックスとの提携強化や、中小企業ホールディングスプロジェクトの立ち上げと中小企業ホールディングス株式会社への社名変更、そして、取締役候補の提案です。

提案を行った岡本氏、ジールコスメティックスの社長や大学病院の医師のほかに、株式会社フォーシーズ社長の風間強司氏、出会い系サイトiDeaiを設立した木村学氏も名を連ねています。

この提案に対し、クレアホールディングス側は、株主提案者の提案に根拠がない、取引先であるジールコスメティックスの社長が候補者となっており、利益相反の問題があるなどを主張し、11月20日に行われる会社が招集する臨時株主総会で否決を目指します。この臨時株主総会を巡っては、議決権行使助言会社のInstitutional Shareholder Services Inc.「ISS 社」が、クレアホールディングス側の会社提案に賛成推奨を出していることから多くの投資家がISS社に準拠するものではないかとみられます。
会社側は、経営資源を成長が見込める新規事業に集めて業績の立て直しを目指しており、会社側と株主側で経営に関する方針が分かれているのが現状です。

表に出ていない登場人物

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2019年からきな臭い動きを見せている中で、実はこの問題に関係しているのではないかと言われる人物がいます。それがファッション通販サイト「ZOZO」創業者で実業家の前澤友作氏の弟にあたる前澤周平氏です。ゼアー株式会社の代表を務めており、商品開発や販売を手掛ける会社を行っているとされていますが、実際には何をしているかベールに包まれています。

前澤周平氏はオリオン1号投資有限責任組合の株を実に90%以上保有しており、何らかの関与が考えられます。オリオン1号投資有限責任組合は2020年7月の時点で20%近いクレアホールディングス株を保有し、翌月その多くを売却しています。

1年以上続く騒動は、ひとまず2020年11月で何らかの判断が出されます。しかし、それ以降どのような動きを見せるかは予断を許しません。

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