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#エッセイ 記事まとめ

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noteに投稿されたエッセイをまとめていきます。
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2021年10月の記事一覧

埼玉のギャルが大赤字の老舗和菓子屋に入社した話

創業135年の和菓子屋をかの六代目の萌美です。 だいぶ期間が空いてしまってごめんなさい。 実は、お店にお越しいただくお客様も このNoteを読んでくださっている方がいると知り、 色んなことを曝け出して書いても良いのか 読んでガッカリする方もいるのではないかと ずっと悩んでおりました。 でも、今一所懸命に頑張っている萌美も 実はこんなにポンコツな奴のかと知ってもらうことで、 こいつで出来るなら私も頑張ってみようと思ってくれる 誰かのきっかけになる方が私にとっては嬉しいし、

電車で業

電車に乗るとおかしな人やおかしな場面に出くわすことが多いです。正確に言うと「多かった」ですね。類は友を呼ぶのか、それとも変な人間は変な人間、あるいは変な状況とひかれ合うのか。真相はさだかではありませんが、確かに二十代の頃は電車に乗るたびに変なことが起こっておりました。そのような業を背負っていたのでしょう。宿命と言えるのかもしれません。そう考えると最近は比較的そういったこともなくなってきたので、ようやく僕も普通の人になれたということでしょう。いやはや、ありがたい話です。 頻繁に

私はなぜ印鑑を失くすのか

よく印鑑を失くす。執拗に失くす。マネージャーに今日は印鑑を持ってきてくださいと言われ、ぎくっとする。前回は何で持ち出したんだっけ、記憶を巡る旅が始まる。あの日着てた服、あの日持っていた鞄、帰ってくるなり鍵を置くトレイ、とりあえず重要なものを入れておく癖のある引き出し。あらゆるところを探すが見当たらない。切羽詰まった時の探し物は、探せば探すほど苛立ちが募る。ここにもない、そこにもない。ありそうだと期待をかければかけるほど、なかった時の落胆は大きい。私は不在を辿る冒険家。大概の物

「驚く」ことが体験ネットワークを構築する

「勉強できる子」は一度説明しただけで理解し、覚えてしまう。「勉強の苦手な子」は一度説明しただけでは理解できず、覚えることもできない。なんなら同じ説明を何度もしても理解できない。この現象をもって「頭が悪い」と決めつけてしまう「勉強のできる人」は多い。しかし私は見解が異なる。 観察してると「勉強のできる子」は、その言葉を聞く前にすでに知識のネットワークが準備されている。電流の話を聞く前に、モーターや電球の仕組みだとかに興味を持ち、すでにある体験ネットワーク、知識ネットワークの結

マニキュアと星

切符をつまんだ自分の指先が、塗り立てのマニキュアでつるんとしている。それがうれしかった。わたしはずっと家にいるのが苦にならない人間だから、このひと夏は屋根の下でひっそり暮らしていて、すっかり夏色のマニキュアを塗り損ねた。ブルーのきらきらとか。ビタミンがつまったような黄色とか。真夜中に、ほんの少しだけピンクがかったベージュのマニキュアを塗った。これでだいじょうぶ。秋がいつ深まっても。 改札で友人を待つ時間はどきどきする。わたしは誰と待ち合わせするにも、多かれ少なかれ緊張する。