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#エッセイ 記事まとめ

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2019年10月の記事一覧

イビサ島には運命の鍵がある #旅はみちしるべ#1

2010年にJALの機内誌に掲載されたものを加筆修正してみました。この2020年は旅の年だと言われています。きっと何かのきっかけになると思い、アップしますね。イビサに行こうよっていうわけではなく、きっとこれを読んだあとに、あ、どこかに行こう、自分にふさわしいどこかに、その場所も見えてくる気がするんです。では、どうぞ。 地中海に浮かぶバレアレス諸島のひとつ、イビサ島。歴史ある建物が佇む旧市街、海洋性植物ポシドニアが生息する肥沃な海、1999年に世界遺産にも登録された、自然豊か

スナック菓子に浸る時

 私は普段、スナック菓子を食べない。  嫌いというわけではない。好きなスナック菓子はいくつもある。ただ、いつ食べればいいのか分からないのだ。食べるタイミングが分からない。  朝起きて、スナック菓子へ手を伸ばすのは気が引ける。お昼になれば、ご飯をもりもり食べる。夕方に小腹は空くが、スナック菓子を食べてお腹が満たされるとは限らない。もしお腹を満たしても、晩ご飯が入らなくなるのは嫌だ。夜は、当然のごとくもりもり食べる。  スナック菓子は思ったより満腹にならない。お腹が空いたな

社会の憎悪を超える武器としての無知〜レペゼン地球セクハラ騒動を軸に〜

レペゼン地球炎上問題数ヶ月前、レペゼン地球という音楽グループがセクハラ騒動で大炎上したことがあった。私もこの件については一通り目にしてとても差別的だと思ったし、炎上後もどんどん煽っていくスタイルに嫌悪感を覚えた。ドーム公演が中止になったと聞いたときには正直「ざまぁ」とスッキリした。 まあ、Twitterの噂も72時間、ということでそのうち忘れていたわけだけど、本日、HUFFPOSTからDJ社長がどういう意図をもって「でっちあげセクハラ炎上」をしたのか、というインタビュー記事

「あの、私、…!」

僕はプライベートでほとんど写真を撮らないんですよ。「写真に撮らないと記憶できないくらいの感動などいらない」という大学時代のひねくれていたころの習慣が続いているだけなので、最近は誰かに見せるための写真というのは撮るようになりました。僕、学生の頃すごく人間嫌いだったんで皆と違うことしたがってたんでしょうね。それがなんでサービスマンやってたんだ、ってなるかもしれませんがそれはまた別の機会に。 サービスマンとして、色々なお客様と出会いました。 トマトが苦手な彼女さんと、予約のとき

車いすの母とミャンマーに行ったら、異国の王様だと思われた

2016年11月。 土埃と魚醤の匂いがするミャンマーの市場で。 私は立ち尽くしていた。 車いすに乗る母の背後には、何人ものちびっ子托鉢僧たちが、連なっていた。 逃げようとすれば、ついてきて。 そしていつの間にか、増えていて。 君たちは、あれか。ピクミンか。 母・ひろ実は困り果てた顔で「どうしよう」と、私に助けを求めた。 私は、見て見ぬフリをした。 私という人間は、理解できない状況に遭遇したら、たとえ実の親であろうとも迷いなく他人のフリができるんだなあ、としみじみ思った

献血の帰りにいなくなってしまったあの子

ときどき思い出す女の子がいる。 その子は、献血が好きだったらしい。 らしい……というのは、わたしと出会う前に彼女が亡くなってしまったからだ。   わたしは大学で演劇を学んでいた。 4年生の時、卒業に必要なレポートを書くため、大学の図書館で演劇関連の本を借りられるだけ借りてきていた。どの本もとても役に立って、おかげでかなり充実した気持ちでレポートを仕上げることができた。というかその本達がなければわたしのレポートは散々だっただろうな、と思う。 それらの本のうち何冊かには、