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#サッカー日本代表観戦記 まとめ

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11月13日・18日に国際親善試合を戦うSAMURAI BLUE(サッカー日本代表)を応援するお題企画「#サッカー日本代表観戦記」をはじめます! 試合のレビュー・プレビューはも…
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#スポーツ観戦記

どんな時でも俺たちがそばにいる

2002年、日本と韓国で開催されたサッカーワールドカップ。 注目が集まった日本代表のメンバー発表で、背番号10番として名前が呼ばれたのは、サプライズ選出の中山雅史だった。 有力候補だった中村俊輔は、落選した。 原宿の大きな看板は10番の俊輔なのに。 「W杯開幕迫る!」と謳われたテレビやサッカー雑誌では、俊輔はメンバーに入る前提だったのに。 当時小学5年生の僕は、俯きながら記者会見をする俊輔の姿を、テレビ越しに呆然と見つめていた。 初めて日本がワールドカップに出場した19

ロシアW杯 観戦記|日本 vs ポーランド|3

 場内にスターティングメンバーが発表される。まずは日本から。スクリーンをじっと見つめる。川島、長友、柴崎、この三選手は今までと変わらない。続いて岡崎、宇佐美、武藤、山口、酒井宏、槙野、酒井高、吉田とアナウンスされる。やはり、予想通りのメンバーが発表された。このメンバーで準備をしてきたことだろう。事前に報道されたとしても、それだけを理由に変更を加えることも難しい。西野監督が確固たる信念を持って選んだ選手たちだ。昌子は攻守、特にセネガル戦ではビルドアップでもチームに貢献していただ

ロシアW杯 観戦記|日本 vs ポーランド|2

 売店の近くに設置された赤いスタンドで、観戦に向けての体力を温存する。この暑さは試合展開にも影響を与えるだろう。月並みだが、中東の地で開催されるワールドカップの最終予選も含めて、こういった環境で試合を戦う選手たちのタフさには驚愕するばかりだ。プレーはもちろんのこと、判断が鈍ってもおかしくはない。そういった意味で、戦前の予想がどこまで正確かは脇に置いておいたとしても、ターンオーバーをすることは現実的な選択だと実感させられる。  それにしても、以前にも述べた報道では、コロンビア

ロシアW杯 観戦記|日本 vs ポーランド|1

 ヴォルゴグラード・アリーナの前でパヴェルと別れ、道筋を探しながら、指定されたゲートへと向かう。一つしかないのか、僕と蓮木くんのチケットには同じゲートが記されている。今回は席も近いようだ。時刻は三時七分、観光は思ったよりも早く終わった。柵で仕切られた長い通路を右に左に進んでいき、ゲートへと辿り着く。今までと同じように、チケットとファンIDを見せ、荷物の検査を受ける。確認は厳しくもなく、すぐに場内へと入ることができた。ルジニキ・スタジアムで体験した苛烈さから比べると、同じ大会と

ロシアW杯 観戦記|日本 vs セネガル|3

 マス目が変わるように、徐々に客席のオレンジがさまざまな色で埋められていく。両チームの選手が試合前の練習に姿を現す。当然ではあるが、僕の周りには多くの日本人がいた。一眼レフを真剣に構え、シャッターチャンスを狙う男性。黄色い声とともにスマートフォンを掲げ、選手たちを撮影する女性。会場にはそれぞれのチームにMCが立ち、サポーターたちを盛り上げる。それに呼応するかのように日本を応援するチャントが流れる。練習での先発組と思われるメンバーはコロンビア戦と同じ。芝生とボールをスパイクに馴

ロシアW杯 観戦記|日本 vs セネガル|2

 穴の細かいフェンスのような外壁には彩り豊かなLEDが無数の色を解き放っていた。「必勝」の鉢巻きを配る日本人サポーターの姿も見える。別々にチケットを購入した僕と蓮木くんは別々の席に座る。僕たちは帰りの待ち合わせ場所を決めて、それぞれのゲートへと向かう。ゲートを見つけ、入念なボディチェックを受けてから中に入る。スタジアムに入る際はファンIDとチケットをかざし、グリーンのランプが点灯してからゲートが開く。スタッフの男性が”Enjoy”と声をかけてくれる。コンクリートがむき出しのせ

ロシアW杯 観戦記|日本 vs セネガル|1

 徐々に視界が開く。身体に疲れは残っているが、仮眠のおかげで頭はすっきりした気がする。外の喧騒は眠る前と何も変わらない。大勢の人がいる気配。その空気が音として伝わってくる。太陽は永遠に終わりが訪れないかのように、光沢のある日光は輝きを失わない。時刻は三時三十分を過ぎたところ。目覚まし時計が鳴る前に目が覚めてしまったようだ。隣のベッドでは、蓮木くんが寝息を立てていた。四時までまどろみの中で意識を整える。  四時を迎え、二つの目覚まし時計が静寂を突き破るように振動音を鳴らす。僕