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写真家・文学研究者の二足の草鞋で活躍する別所隆弘さん #noteクリエイターファイル

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。2019年最初にご登場するのは、フォトグラファーでアメリカ文学研究者の別所隆弘さんです!

滋賀・京都を拠点に、アメリカ文学研究者として論文を書き、大学の教壇に立ちながら、プロのフォトグラファーとして活躍する別所さん。

noteでは毎週、美しい風景写真とともに、写真の撮り方や日々考えていることを共有してくださっています。

たとえば、Google Pixelの夜景モードについて書かれたこの記事(↑)。多くの人に読まれ、最終的には、Googleの開発リーダー、マーク・レボイ氏にまで届き、別所さんがGoogle Pixelで撮影した写真がGoogleオフィスに飾られているそう!

フォトグラファーと文学研究者の間に立つ

文学研究者(大学教員)とフォトグラファーの二足の草鞋で活躍する別所隆弘さん。

もともと写真は「ただの趣味」だったそう。2010年に初心者向けデジタル一眼の定番 Canon EOS kiss X2から始めて、2012年にまとまったお金が入ったことをきっかけに勢いで、Nikon D800を購入。そこから本格的に写真を撮りはじめます。

「突然の臨時収入に気が大きくなって、カメラとレンズ合わせて50万円を支払ったんですが、その直後からめっちゃ後悔して。関西人のコスト感覚で、なんとしてでも元をとらなあかん!と、50万円に値する成果を出すためにがんばりました」

当初は「おじいちゃんになっても続けられる趣味」として「自分が満足いく写真を撮る」ことを目標に、腕を磨いていたという別所さん。友だちの勧めで応募した「東京カメラ部」のコンテストで賞を受賞し、年間ベスト10選に選ばれたことをきっかけに、フォトグラファーとしての依頼と収入が増えるように。その流れで、2017年1月に開業届けを出して、プロとして活動をスタートしました。

「フォトグラファーとしてプロになろうと思ったことはなくて、税金対策で確定申告をするために開業届けを出したんです(笑)。自分では”大学の教員”だという意識が強くて、”写真家”と呼ばれるのはいまだに恥ずかしいですね」

そんな別所さんがここ2〜3年、立ち位置として意識しているテーマは「その間」。

「僕は、写真家であり文学研究者でもあるけれど、同時に写真家でも文学研究者でもない。“その間”の“なんでもない立ち位置”がしっくりくるんですよ。自分の専門領域から意識的に逸脱していく。領域を超えた”その間”を生きることに興味があります」

「その間」に立つ自分のことを発信する場所

「その間」に立つ別所さんの文学研究者としての専門は、アメリカ文学のなかでも小説ではなく「旅行記」というニッチな分野。旅行記研究で大事なのは、旅先で見た光景を言葉で切り取ること。それは、写真で風景を切り取るフォトグラファーの仕事にも重なります。

「文字と写真という手段は違っても、美しい世界を見て表現するという意味では、同じことをやっています。そのことに気づいたとき、このふたつをどうにかして結びつけられないかと思ってはじめたのがnoteでした」

写真家の友人たちがnoteを書いていたことも相まって、文字と写真で自分を表現する場所として選んだnote。

「毎日書くのは自分を追い詰めることになると思ったので、少しハードルを下げて、週1回書くことを決めました。1週間生きていると、書きたいコンテンツは必ず浮かんでくるので、いいサイクルですね」

別所さんは、毎週火曜日、大学の授業の間やお昼休みにnoteを書くことを習慣に。テーマは、そのとき思い浮かんだものか、1週間のなかでメモした言葉をもとに決めているそう。

「個人のクリエイターがやっていける環境が整ってきている今、大事なのは、自分が何を考えているのか、どんな作品をつくっているのか、自分の言葉で自ら発信していくこと。noteはそれがポジティブにできる場所だと思います」

違う文化圏の人たちがゆるやかにつながる共同体

かつて3年間ほどブログを書いていて、Twitter上でもバズや騒動を経験しているという別所さんは、noteに、ほかのブログサービスやSNSにはない魅力を感じているそう。

「たとえばTwitterでバズっても、コンテンツが独り歩きして、1〜2日のお祭り騒ぎで終わってしまうことが多いですが、noteはコンテンツがクリエイターに紐付いていて、じわじわとフォロワーが増えていきます。TwitterとInstagramはお仕事感覚が強いんですが、noteはとにかく楽しい。読みたい人が読んでくれているので妙な騒動に巻き込まれる可能性もとても少ないですし」

noteは「安心して楽しく書ける場所だ」と言う別所さんは、運営側のサポートが大きいと力説してくれました。

「編集部の注目記事として何度か紹介してもらって、その度に”ご褒美”をもらった気持ちになります。誰もフォロワーがいない状態で書きはじめるときに感じるのが”寄る辺なさ”。最初は誰が読んでいるかもわからず、空中に向かって声を放るような感覚なんですが、noteは編集部の方がちゃんと読んでくれている。最初の読者になってくれて、担当編集者がついてくれているような感覚があります」

さらに、別所さんは、noteには書くだけでなく読む楽しみがあると言います。

「noteでは、これから時代を切り開いていこうとする人たちが、自分の内側をおぼろげに見せてくれる。サポート機能で面白い記事を書いてくれた感謝やクリエイター個人に対する応援の気持ちを伝えられるのは嬉しいですね。有料マガジンを購読することで、普段は見られない姿や本音が垣間見られるのもすごくいい。noteはお金を払いたくなるんですよ」

別所さんは、友人でもあるフォトグラファーの黒田明臣さん絶景プロデューサー詩歩さんの有料マガジンを購読していて、こうみくさんの「TikTokのビジネス完全活用法」など有料記事もよく課金をしているそう。

「自分の仕事以外の文化圏でクリエイトしている人たちが、noteを囲むかたちでゆるやかな共同体をつくっている。その空気感が心地よいんですよね」

『最高の一枚を写し出す写真術』一部公開予定!

noteへの熱い思いをたっぷり語ってくれた別所さん。これからやってみたいことは?

「1月11日(金)に初の単著が発売されるので、その一部公開をnoteでやりたいと思っています」

技術本でありながら、別所さんのnoteに近い”エモい文章”も盛りだくさんなんだとか。

そして、この記事の公開に合わせて、別所さんのnoteで、新著の根幹にあたる前説部分を全文公開してくださいました。気になる方はぜひチェックを!


■ クリエイターファイル
別所隆弘
フォトグラファー。アメリカ文学研究者。滋賀、京都を中心とした”Around The Lake”というテーマでの撮影がライフワーク。
note : @takahirobessho
Twitter:@TakahiroBessho
Instagram:@takahiro_bessho

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photo by 別所隆弘
text by 徳瑠里香

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