父の前で真っ裸になった話、ユニクロの白T、7日後に死ぬカニ…読む人の心を揺さぶる、島田彩さんの文章の魅力 #noteクリエイターファイル
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父の前で真っ裸になった話、ユニクロの白T、7日後に死ぬカニ…読む人の心を揺さぶる、島田彩さんの文章の魅力 #noteクリエイターファイル

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回は、作家活動や企画を行う島田彩さんにお話を聞きました。

岸田奈美さんが主催するキナリ杯の準々優勝作品「小学1年生ぶりに、父の前で真っ裸になった話」、ひふみとnoteで開催した「#ゆたかさって何だろう」投稿コンテストでグランプリを受賞した「7日後に死ぬカニ(完結編)」、ユニクロ本部に届き店長を泣かせた「今週末の日曜日、ユニクロで白T買って泣く」。

多くの人の心を動かし、インターネット上で大きな話題を呼んだこれらのnoteを書いたのが、島田彩さんです。

奈良の自宅の寝室以外をすべて高校生や大学生に開放しているという島田さん。「ピンクが好きな子の誕生日会やったんで」と、ピンクで飾り付けられた部屋をzoomの背景に、飾らない言葉でnoteについて語ってくれました。

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“自分にとって今何が大切か”を問える時間をつくりたい

島田さんがnoteを始めたのは2020年5月末。10年間勤めた、大阪で教育・就活分野のソーシャルデザインを行うNPO法人「HELLOlife」から独立して新しいスタートを切る前夜でした。

「“独立します” みたいなのをみんな書くよなあと思って書きはじめたけど、あまり筆が乗らなくて。でも何か書きたい……って気持ちがあって。岸田奈美ちゃんともともと知り合いで、ちょうどそのときに、奈美ちゃんがnoteでキナリ杯やってることを思い出して。締め切り今日だ!って思い出して、夜9時くらいに書いて応募したんです。“奇なり” やから、自分の中で一番奇妙なエピソードとして、父の前で裸になったことを書きました」

著名なクリエイターをはじめ、多くの人のつぶやきで感動の輪が広がり、キナリ杯では準々優勝。島田さんのもとには、たくさんのメッセージが届きました。

「21歳の大学生が疎遠だった父を飲みに誘ったとか、自分と父との関係性を重ねた連絡がめっちゃ来て。noteを通していろんな父と娘に出会えたことが嬉しくて泣きました。父さんには内緒で書いていたんですが、たまたま父さんの旧友が読んだことでバレてしまって(笑)。正直に話して、みなさんがくれたサポートで一緒に飲みに行ったんですよ」

このnoteに限らず、家族をはじめ身近にいる人や生き物と愛を持ってまっすぐ向き合う島田さんのエピソードは、読む人の心をそっと揺さぶります。

「私のnoteを読んだ方から、ご自身のエピソードや、感じた問いかけを交えたメッセージをもらえることが多くて、めちゃくちゃ嬉しいです。私は、HELLOlifeで働いていたときも今も、働き暮らし生きるうえで、“自分にとって、今ほんとうに大切にしたいものは何か”をそれぞれが問える時間を生みたいと思ってて。noteは日記に近いので、誰かに何かを考えてもらおうと思って書いているわけじゃないけど、結果的にそうなってるのかな。方法は変わっても、やっていることは変わってないのかも」

「noteが私の仕事を決めた」

島田さんは独立するにあたって、“自分が何をして生きていくか”については、具体的に決めていなかったそう。

「ライスワークとしては、HELLOlifeでやっていた企画やデザインをやろうと漠然と思ってたけど、良くも悪くも何も決めないまま独立しちゃって。だから、独立する6月から1ヶ月間は、Googleカレンダーを公開して、1日1万円くらいで頼まれたことをなんでもやろうと思ってたんです。会社というバックがなくなった状態で、自分が何が得意なのかを見極めるために、肩書きを持たずに動いてみようって」

ところが、独立前夜に書いたnoteがバズり、島田さんのもとには新たな仕事が舞い込みます。文藝春秋digitalに寄稿をしたり、出版社から連載や出版の相談があったり、映像の脚本や街の体験記を執筆したり。noteをきっかけに、「書く仕事」が増えていきました。

文藝春秋

「noteのおかげで生きています。言ってしまえば、noteが私の仕事を決めた。もともと文章を生業にできるなんて思っていなかったのと、他のこともやっているので、作家とか文筆家と名乗るのはまだしっくりきてないんですけど、書くのは楽しいので続けていきます」

前職での求人記事やイベント告知文以外、特に文章を書く仕事をしてこなかったという島田さん。「書くことが楽しい」と思ったのは、小学生以来だそう。

「小学校3年生の頃、コクヨの自由帳にとち狂ったように、暇さえあれば物語ばかり書いていました。ある日、クラスのいじめっ子にそのノートを取られてしまって。でも1週間後に返ってきて『続き読みたいねんけど、ないの?』って。面白かったらしいんです。そこから同じ路線バスに乗る子たちが、私が書いた物語を回し読みするようになって、文章を褒めてもらうことが多くなって。noteは、その頃の楽しさを思い出します」

もっと素直に、化けの皮を剥がしていく

今、noteを書くときに大切にしているのは、話すように自分の言葉で素直に書くこと。

「私を知っている人が読んだときに、私の声で再生されたらいいなって思いながら書いてます。だから、友だちに『しーちゃん(※島田さんの愛称)とお茶してる感じやったわあ』とか『話題になっても、いつもの島田やな!』って言われたのは、最高の褒め言葉だなって。

あとは、素直に書くことも大事にしてます。私が好きな文章を書く人は誰かを傷つけずに素直に書いてはるし、私も素直に書いたらいいことがあったので」

「私も本当は書いてみたかった」と友人がnoteを始めたり、「僕も志望動機、素直に書いてみます!」とメッセージが来たり、「え、あのユニクロのnote書いた人ですか!?」と初対面の人との距離がグッと縮まったり、スーパーで素通りしていたかもしれないサワガニを買って飼い始めたり。人との出会い方や距離感、見える景色が変わっていったと言います。

「自分の中のテーマは、もっと裸になること。相手の化けの皮が思わず剥がれるような人にもなりたいです。化けの皮自体は悪いことだとは思わないけど、私はずっと素直になれへんかったから。noteを書き始めたら、日常の中にあふれている豊かさに気づくようになったし、素直に書いたら褒められることも増えました。褒められるの、好きなんです。

とはいえ、2.8万人(Twitterのフォロワー)からめっちゃハートフルな人間だと思われてんちゃうかなと、すこし心配です。いや、素ではあるけど、もっと毒々しいものもいつか書いてみたいです(笑)」

これからnoteを軸にやってみたいことは?

「いつか本にはまとめてみたいなあ。noteを始める前は全く思ってなかったけど、『本が出たら絶対買います』って言ってくれる人の声に応えたいなって思うようになりました。でも、基本的にはどうなるかわからないのが好きで、夢や目標を無理に決めないのもアリかなって思っているので、この感じでnoteを続けていきたいなあと思ってます」

愛情をかけて育てるサワガニの最高のお葬式や、ユニクロのRくんのように毎日いろんな若者が訪れる奈良の自宅の日常など、まだまだ書きたいことはあるそう。

「私が書いている文章は、何も特別なことはなくて、ぜんぶ日常の中にあることです」

島田さんのnoteが面白いのは、島田さんの豊かな感性で彩られる日常が面白いから。ぜひ、島田さんの“日常”をのぞいてみてください。

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■クリエイターファイル
島田彩

エッセイや脚本などを書く作家活動を中心に、企画やデザイン、司会業なども。2010年から「HELLOlife」で教育・就活分野のソーシャルデザインに取り組んだのち、2020年6月に独立。奈良在住、気まぐれで借りた家が広すぎて、寝室以外を開放中。得意技は愛することです。
note:@cchan1110
Twitter:@c_chan1110

text by 徳 瑠里香


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