出版社がnoteユーザーに求めるクリエイター像(1)【ダイヤモンド社編】
メディアプラットフォーム noteと、ダイヤモンド社、扶桑社、マガジンハウスの3社(50音順)が締結したパブリッシング・パートナーシップ。noteで活躍するクリエイターの存在を出版社に伝えることで、才能の発掘やプロモーションを加速させるための施策です。
今回の施策にあたって、出版社はどのようなクリエイター、コンテンツを求めているのか、ダイヤモンド社書籍編集局 局長の今泉憲志さんにお話を伺いました。
ダイヤモンド社が求めるクリエイター像
加藤貞顕(以下、加藤) 今回はnoteがはじめる新しい試みに、出版社として参加してくださってありがとうございます。ダイヤモンド社として、こんなクリエイターに来て欲しいというのはありますか?
今泉憲志(以下、今泉) うちは初めて本を出す著者の方が大好きな出版社なんです。処女作って著者にとって非常に大切なものですよね。それをうちから出してくださるのは実に光栄なこと。すごく感謝をしたいという思いがあります。しかも、最初の一冊にはその方のたぶんすべてが込められている。そういう意味で、新人の方には本当に期待していますね。
加藤 それはnoteの書き手のみなさんがすごく喜ぶ話だと思います。
今泉 noteは才能ある新しいクリエイターの方たちが出てくるのに最適の場でしょうね。参加の敷居が低いし、自分でコミュニティをつくれるし。
加藤 そうなんです。自分でコミュニティをつくって、さらにそこから外へも羽ばたけるというのが、ぼくらのやりたいことです。
今泉 新人なのにちゃんとファンのコミュニティをもっている人たちというのは出版社からするとものすごく魅力的です。
たとえばこんなクリエイターがおすすめですよ。という話をしています。
note編集部のクリエイターの見つけ方
今泉 加藤さんたちは、noteのクリエイターの方たちとけっこう接触してやりとりがあるみたいですが、突然「運営の者ですが」って連絡を入れるんですか?
加藤 突然ですね。おもしろいなと思った人にはいきなり連絡して、会ったりもしています。
今泉 なるほど。でもそれってすごく大変ですよね。公開される膨大なコンテンツを常にチェックしている必要がある。ちなみに一日で新規記事はどれくらい上がるものですか?
加藤 いまは毎日3千件くらい公開されています。ただ、どんどん増えているので5千、6千、1万となっていくと思います。おもしろい記事をピックアップする工夫はいろいろとやっていて、売上が急激にあがっているとか、PVも当然見ていますし、おもしろいものを取りこぼさないように人力と機械とでいろいろやっています。おもしろい記事は、より多くの人に届くようにnote公式アカウントで取り上げるようなこともよくしています。
今泉 公式アカウントで取り上げる記事の選択は人力で?
加藤 最後は人力ですね。先ほど言ったように機械で見つけたりもするんですが、最終的にnote公式アカウントに載せるのはぼくたちが決めています。公式アカウントでおもしろい記事を紹介すると、やっぱりよく読まれるんですよ。
noteがクリエイターのホームグラウンドになる
今泉 今回のパブリッシング・パートナーシップって出版社にとっても非常にありがたい話です。noteはいろいろなコンテンツやコミュニティが集まっている場だから、どれが本の企画として魅力的なのかを選ぶのはかなり大変。それに関して有効な情報を提供してもらえるわけですから。
加藤 そうですね。たとえばぼくらにはごく一部で熱くウケているテーマなども見えています。例えば、いしかわごうさん。ひたすらフロンターレ川崎のこと書いて、その記事を販売しています。
今泉 たしかに、その分野のファンにとっては非常に重要な情報でしょうね。
加藤 いま大人気の占い師しいたけ.さんもnoteを使ってくれています。noteにコンテンツをつくって、ファンが集まると、そこがクリエイターの本拠地になるんです。必要なら課金もして、本も出していく。こういうのがこれからの作家のかたちかなと思います。結局、いままでは作家のホームグラウンドって無かったですよね。
今泉 作家が作品を発表する場は雑誌か書籍くらいでした。しかもその場は自分がすべてをコントロールできるわけじゃない。また、ファンと直接やり取りすることも難しいですよね。
加藤 作家ってホームグラウンドがなくて、お客さんを集客する場所がなかったんです。だからぼくらがやりたいのは、新人の登竜門、プロ作家のホームグラウンドをつくることなんです。
編集者がつく場合もある
今泉 noteはクリエイターに担当編集者がついてやっている場合もあるんですか?
加藤 クリエイター自身が編集者をつけている場合もありますし、クリエイターから相談をいただいて、ぼくらが見る場合もあります。本当はもっとフリーの編集者がついてもいいと思います。これからおそらく編集者が後ろにいっぱいついていくでしょうね。
今泉 今回の試みがそのきっかけになってくれるとおもしろいですね。クリエイターにとって優秀な編集者のアドバイスはとても貴重なはずですから。
加藤 そうですね。本当は作家だけでできることでもないので、出版社がついてもいいんです。それでホームグラウンド化して、集客してビジネス化する。すでに毎月ベストセラー書籍が出ているくらいの売上をたてることも現実的になっているので、出版社がついても割に合うようなビジネスになること、多いと思いますよ。ここで作家を育てて、媒体をつくって、必要があれば本にする、そんな感じがこれからのやりかただと思います。
今泉 この施策によって素敵なクリエイターの方を推薦いただければ、ダイヤモンド社の編集者からも積極的にコミットしたがる者が出てくると思いますよ。
加藤 そうなってくれるとうれしいですね。本日はありがとうございました。