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灰色ハイジさんが「どこにもないから始めた」マガジン『デザイナーの英語帳』が書籍化されるまで

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回は、サンフランシスコで働くデザイナー・灰色ハイジさんに話を聞きました。

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サンフランシスコのスタートアップスタジオ All Turtles に所属するプロダクトデザイナーとしてはたらく、灰色ハイジさん。企業のウェブサイトやアプリのUI/UXデザインから、クリエイターのロゴなどのグラフィックデザイン、ゲームのティザームービーの企画制作まで、幅広く手がけています。

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noteでは、デザイナーとして、UIの考察やキャリアの話、名刺やポートフォリオの作り方など、デザインにまつわる記事を書いています。

また、英語がまったく話せない状態からアメリカに渡り就職活動をするまでの2年間の学習ノートブックから、現地で学んだ生きた英単語を紹介するマガジン「デザイナーの英語帳」を連載。

今年6月に書籍として発売されました。

デザイナーに向けて自分の学びを共有する

「デザイナーの英語帳」のみならず、デザインにまつわる記事が多くのスキを集めている灰色ハイジさんのnote。

10代の頃からブログを書き続けている灰色ハイジさんにとって、noteはどんな場所なのでしょうか。ブログとの使い分けは?

「ブログは自分の記録用にタイトルもないまま無自覚に書いているけど、noteは人に読んでもらうことを前提に書いています。

そもそもnoteはデザイナーに向けて発信しようと運営方針を明確に決めて始めました。記事を書くときもタイトルやテーマを決めて、リサーチをして、寝かせて編集をして、過不足なく情報をまとめるようにしています」

「デザイナーの英語帳もそうですが、デザインの仕事についても、アメリカに来て、カルチャーの違いに触れて、私自身が発見したことや学んだことを書いています。リサーチ資料を作るようにして、自分のために振り返ることで、他の誰かの参考になったらいいなと。実際に私のnoteを読んでポートフォリオをつくったり、行動してくれる人がいるのは嬉しいですね」

noteのお気に入りはマガジン機能だと言います。

「私、プロダクトやサービスは名称が大事だと思っていて。使う人がどういう気持ちになるか。『マガジン』って『連載してる』とも言えるじゃないですか。そこも他のブログサービスと違っていて、気に入っています」

マガジンを始めて2ヶ月で編集者から声がかかる

灰色ハイジさんがnoteのマガジンで「デザイナーの英語帳」を始めたのは2019年4月。

渡米してからの2年間の学習の記録を綴ったnoteに2000スキを超える大きな反響があり、当時の自分がほしかったものーオリジナルで作成した英語帳ーを公開しました。

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「当時からずっとデザイナーとしての英語の学び方があると思っていたけど、既存の本にはなくて。アメリカの語学学校やデザインの現場で体当たりで学んだことを手書きでノートに残していました。世の中にないものだから、同じようにデザイナーで英語を勉強している人の参考になったらいいなと思ったんです」

noteを更新すると、読者から「発音も知りたい」という声が届き、サンフランシスコ在住のクリエイター・大石結花さんと一緒にポッドキャストもスタート。

「noteに書くと、スキの反応やコメントからフィードバックをもらえますし、何より読んでくれている人がいることが嬉しい。書き続けるモチベーションにもなります」

手応えを感じた灰色ハイジさんは、「本にしたい」という思いを抱き、FacebookをはじめSNSで宣言。マガジンを始めてから2ヶ月、noteの内容とその言葉に反応したBNN新社の編集者から声がかかります。

「その時点ではまだnoteには16個ほどの英単語しか書いてなかったのですが、本を出版することが決まって、やるべきことが明確になって、執筆の速度も上がりました」

オンラインツールを駆使した書籍づくり

本格的な執筆を始めたのは2019年11月末。日本に一時帰国した際の編集者との打ち合わせの時点で、監修として同時通訳者の関谷絵里子さん、執筆協力としてポッドキャストを一緒にしている大石結花さん、編集協力としてパートナーの顔が浮かび、チームに参加してもらうことに。

オンラインツールを熟知する灰色ハイジさんならではのチームワーク、執筆の進め方を教えてもらいました。

書籍づくりに活用したツールは、こちら。

Slack
Dropbox Paper
Notion

基本的なコミュニケーションは、書籍づくりに関わる5人のSlackのチャンネルで。執筆はドキュメントのみならず、作業の割り当て、todoリストがまとめられるDropbox Paperで行ったそう。

「Wordを使うと、こちらで書いたものを送って戻してというやりとりが発生しますが、それが私の性に合わないなと。つまり、関わる人が常に最新の情報にアクセスできる状態にしたかったんです。かつGoogleドキュメントだと、ページの概念がないので、入れ替えや順番を変更するのが難しく、1ページ1単語を想定していたこの本には合わない。

Dropbox Paperは、目次を作成して、ドラッグで順番を入れ替えると本文も連動します。その際に、項目にマウスを置くとプレビューが見られるのも気に入っています。自分のタスクが完了したら、次の人にメンションを飛ばすこともできるので、チームで作業を進めやすいんです」

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(実際に使っていたDropboxpaperの目次一覧)

執筆と同時にnoteとポッドキャストの更新も続けていました。

「プロモーションの視点で、本を出すまでの過程を一緒に楽しんでもらえたらと、継続的にnoteとポッドキャストで配信することは執筆当初から決めていました。Notionでnote、ポッドキャスト、書籍の順でチェックして、掲載する単語と例文を管理していました」

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(実際に使っていたNotionの単語と例文リスト)

書籍発売。これからやってみたいこと

日中は企業で働き、帰宅後や土日に執筆を進め、Dropbox Paperで原稿のやりとりをして、2週間に1回のペースでチームで音声通話をつなぎ、各自が作業できなかった分を口頭で補足。noteやポッドキャストも更新しながら、約4ヶ月で執筆を終え、6月に書籍が発売されました。

「書籍が出てから、note読んでました!待ってました!というコメントをたくさんもらっていて、反響があって嬉しいです。

書籍の続きとしても、これからもデザイナーの英語帳はnoteで更新していくつもりです。あと、逆のパターンで、日本語を第二言語として学んでいるデザイナーに向けたコンテンツもつくってみたいですね」

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デザイナーやエンジニア、デザインの仕事に関わる人たちに向けて、noteで自身の気づきや学びを共有し続ける灰色ハイジさん。海外で活躍したいデザイナーはもちろん、デザインの今を知りたい人はフォロー、必須です。

■クリエイターファイル
灰色ハイジ

サンフランシスコで働くデザイナー。スタートアップスタジオAll Turtles所属。新潟県出身。 🎨 http://haiji.co/ 🎙Podcast https://export.fm/ 📘デザイナーの英語帳 6/16発売 https://amzn.to/3e0hM0y
note:@haiji505
Twitter:@haiji505

photo by 大石結花   text by 徳 瑠里香