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「子どもと大人の遊び場をつくる」ワークショップデザイナー・臼井隆志さん #noteクリエイターファイル

noteで活躍するクリエイターを紹介する#noteクリエイターファイル。今回は、0~18歳を対象にクリエイティブな体験学習をデザインするワークショップデザイナーの臼井隆志さんをご紹介します。

noteでは、発達心理学と認知科学に基づき、赤ちゃんの心と身体の動き、関わり方について発信をしてくださっています。

noteの記事をきっかけに、0歳〜2歳の赤ちゃんが世界を知ろうとする過程を解説する『意外と知らない 赤ちゃんのきもち』をスマート新書より刊行。その内容は、FROGGYcakesにも連載されています。

大人も子どもも一緒に遊ぶ場をつくる

「子どもに関わる大人の遊び心を枯渇させないこと」をミッションに、赤ちゃんや子ども、彼らに関わる大人たちに向けたワークショップのデザインを仕事にしている臼井さん。そのきっかけは?

「最初は美術教育に興味があったんです。僕自身が、高校時代、Tシャツや映画などものづくりに夢中になって。子どもの頃からもっと、アートに触れる機会があったらいいなと思ったんですね」

自身の経験から「子どものアート教育」に興味を持った臼井さんは、大学時代から7年間、「アーティスト・イン・児童館」という文化事業を、企画・運営します。子どもの日常の遊び場である児童館に、演劇・美術・映像・建築などのアーティストを招き、共に、遊び・表現・創作する場づくりを行ってきました。

その延長線上で3年前より、新宿伊勢丹が子どもの年齢や目的に合わせた遊びと学びを提供するプロジェクト「cocoiku by ISETAN ‒遊びと学びの百貨店‒ 」に参画。赤ちゃんを対象に「触覚」をテーマとした創造性を育む親子教室「ここちの森」の立ち上げにも携わっています。

ここちの森は、ぐにゃぐにゃ・でこぼこなど「触りごこち」を通じて赤ちゃんが心と身体の経験を豊かに広げ、親子で遊びに夢中になって、相互理解を深めるためのプログラムをチケット制で提供しています。

赤ちゃんと関わる大人に実践知を伝えるために

「ここちの森でのプログラムを考える際、発達心理学や認知科学の文献を読んで調べた知識と、ワークショップを通した実体験をもとに、赤ちゃんの探索行動について発信をしていきたいと思い、noteを始めました」

そうして2018年1月に書かれたのがこちらのnote。

赤ちゃんと関わる大人を中心に、4万PVを超える反響がありました。公開から2週間後には、スマート新書で「赤ちゃんのきもち」と題して、その記事をもとにした書籍を刊行することが決定。半年後の発売を目指して、noteでネタを出し、読者の反応を見ながら執筆と編集を進めていったそう。

「ブログはずっと書いていたんですが、本を書くのははじめてだったので、なかなか大変でしたね。僕は文章を油絵のように、色を重ねるように書いていくので、全体像が見えてくるまでには時間がかかるんです。2万字の完成原稿の背景には、8万字の試行錯誤があります」

線や色を消したり重ねたりするように、スマホサイズ96ページ約2万字を5月末に書き上げ、8月15日、ながしまひろみさんのイラストが沿えられたスマート新書『意外と知らない 赤ちゃんのきもち』が発売!

物を叩いたり、投げたり、かじったり、よじのぼったりして遊ぶ赤ちゃんの行動にはどんな意味があり、赤ちゃんはどんなふうに世界を見ているのか? 認知・発達の科学と臼井さんの実践知をかけあわせて「赤ちゃんのきもち」を紐解く1冊です。

その後も臼井さんはnoteで毎週「赤ちゃんの探索」にまつわる記事を発信し続けています。子育て中のお母さん・お父さんに届けたいという思いで、本文に沿えられている優しいイラストは臼井さんご自身が描いたもの。

「子育てで忙しいお母さん・お父さんたちに背景にある知識を魅力的に伝えられるかをチャレンジしているので、イラストも使って、文章も丁寧にわかりやすくするを意識しています。筆が遅いので、2500字を書くのに10時間以上を費やすこともありますね」

自身が親になって、これからやっていきたいこと

ワークショップの企画・運営を通して、ずっと子どもと関わってきた臼井さんですが、今年7月に第一子が誕生! 現在は育休を取って、家事育児を中心の毎日を送っていると言います。

「まだ生まれて1ヶ月半なので、妻にはできるだけ休んでもらえるように、朝は5時半に起きて、家事育児をやるように心がけています。と言っても実際は赤ちゃんと遊ぶこととお風呂にいれることで、あとはオムツ替えをちょこちょこやる程度ですが(笑)。育休、最高ですね! 里帰り出産をせずに、妻とふたりで子どもを育てるという選択をして、不安もあるけど、毎日がめちゃくちゃ楽しいです」

1ヶ月半の育休期間を終えた臼井さんは、cocoikuの現場に復帰。自身が親になって視野が広がった臼井さんの興味と探究心は尽きません。

「赤ちゃんの行動についてはある程度予測はしていたんですが、予想外のことももちろんあります。何より、親になった自分たちの心と身体の変化を感じていますね。子どもに関わる大人の心と身体がどう変化していくのかを調べていくと面白そうだなと思っています」

子育て中の臼井さんは、他の親たちが子どもとどう向き合っているかを知り、一緒に考えていきたいと「@LINE」でおたよりも募集中。

今後はnoteで、子育て実践マガジンの販売もしていきたいと言います。構想中のテーマは「妊娠期における夫のサポート方法」と「育児休業によって夫が学習するべきこと」。

「企業は、育休中の社員は仕事の成果が下がると捉えがちですが、育休は予測不能なことに対して即興でしなやかに対応していく力を身につける学習プログラムだと捉えることができると思います。家庭と仕事は対立しがちだけど、仕事に必要なスキルを家庭で学ぶこともできる。そういう視点で、男性の育休のすすめについて、発信していきたいですね」

子どもと関わる大人たちに向けた発信をnoteで継続しながら、いずれは書籍化も目指し、より多くの人に届けていきたいという臼井さん。発信のほかにも、子育て家庭に向けたオンライン・ワークショップにも挑戦したい、と話します。

「子育てをしていると移動も大変で、集まるハードルが高い。近所じゃないけど、同世代で価値観も同じ、という人たちをオンラインでつないで、親子に向けたワークショップをするとか、飲み会をしておしゃべりをするとか、そういう場所を作りたいですね」

ゆくゆくは、子育てをするのに最適な住宅施設や教育施設など建築の仕事にも携わりたいという臼井さんは、noteでも、子育て家庭の間取り・家具のレイアウトなどを調査するマガジン「赤ちゃんと暮らす」を更新中です。

親になり、新たな視点を得た臼井さんの知識と実体験に基づく発信と活動、子どもと関わる方は特に必見です!

#noteクリエイターファイル

■クリエイターファイル
臼井隆志|ワークショップデザイナー
子ども向けワークショップの企画・運営が得意です。noteでは発達心理学や認知科学をベースにした「赤ちゃんの探索」、子育て家庭の間取り・生活リサーチに基づく「赤ちゃんの暮らし」を連載中。 LINEでおたよりを募集し、子育て実践知を共有する場としてnoteを活用しています。
note:https://note.mu/uss_un 
Twitter:https://twitter.com/TakashiUSUI
読んでいるnote:樋口直哉(TravelingFoodLab.) 日々の料理の参考にしているそう。


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