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海外在住ノマドデザイナー・ベルリンのしょこたん#noteクリエイターファイル

noteで活躍するクリエイターを紹介する#noteクリエイターファイル。今回は海外在住のインタラクションデザイナー・ベルリンのしょこたんを紹介します。

ベルリンを拠点に、フリーランスのノマドワーカーとしてスタートアップ企業のインタラクションデザインを手がけるしょこたん。最近では、デザイナーのかたわらアーユルヴェーダのシェフとしても活動しています。

noteでは、しょこたんがベルリン生活で日々感じたことを生の声で届ける約5分のラジオ「ほぼにちベルリン」や、心と体が喜ぶ健康ごはんを届ける料理活動「しょうこ食堂」のレポートを中心に投稿してくださっています。

10年間憧れていた海外ノマド生活にストレス! 料理に目覚める

フリーランサーとしてベルリンを拠点に、バリ、インド、マレーシア、ハワイなど、数週間〜1ヶ月単位で旅をしながらノマドスタイルで働くしょこたん。スタートアップ企業の作るアプリのインタラクション/UX/UIデザインをしています。「画面上の複雑な情報やサービスの体験をわかりやすくする、その結果アプリそのものを使いやすくする」ことを専門に仕事をしています。

「Macを片手に世界を旅しながら仕事をするのが10年間ずっと夢だったんです。でも、実際にやってみたら思っていたよりもずっとストレスが大きかった!というのも私の仕事は電源の有無とインターネット環境に左右されるので、旅先で快適な仕事環境を確保するのが案外難しいことに気付いたんです。海外で安定したネット環境と電源の両方を確保できるのはホテルくらいしかなく、目の前に海があるのにホテルに籠もりずっと作業をしなければいけない時は悔しかった(笑)。」

今はベルリンのコワーキングスペースのメンバーとなり、そこで仕事をする頻度が高いそう。周囲に人はいるもののリモート先とはSlackやZoom、Githubなどを使って仕事をします。そのため誰とも話さず、PCの前で働きづめることもしばしば。

心身に疲れを感じたしょこたんは、今の生活を変えるべくアーユルヴェーダを学ぶため、ハワイ留学を決意します!

「私はこれまで何度も体調のためにやりたいことを制限されてきたので、いかに自分で心身のバランスを取っていくかが課題でした。そしてアーユルヴェーダに辿りつきました。ハワイで開催されるカリキュラムを見つけ2週間留学しました。」

ハワイでは、電気もない大自然のなかで毎朝4時に起き、1時間の瞑想とヨガを行ってから朝食のおかゆを食べる。その後アーユルヴェーダのレクチャーを受け、畑仕事をする。さらにレクチャー内容をもとに料理をし薄味で腹八分目のごはんを食べ、瞑想をして、夜8時には就寝するという生活を送っていたそう。留学体験記はこちら。

「はじめの2、3日は身体が慣れずしんどくて体調を崩しました。でも、その生活を2週間も続けると心身が変化したことに気付きました。特に、食べもので体がどう反応するか、自分の体質の癖を知ることができました。これまでいかに自分の身体の声を無視して負荷をかけてきていたのかがわかって、夜型だった生活も朝型に。苦手だったヨガも日課になりました。食べるものを変えるだけで、こんなにも人は変われるんだと本当に驚きました。」

その感動を伝えるため、留学を終えたしょこたんは、アーユルヴェーダのワークショップやベルリンの会社に隔週でベジタリアンの社食を作りに行く「しょうこ食堂」を開き、料理活動をスタートさせました。しょうこ食堂は「食べたものが健康な身体と心を作る」をモットーにしています。

「デザインは論理思考が重要なので場所を問わず仕事ができるけれど、料理は真逆です。五感を働かせて手を動かして地元の食材を調理し、その場で食べてもらう。これは私がそこにいないとできないこと。ベルリンはベジタリアンに優しい街でオーガニック食材の宝庫です。食材は安くて美味しいものが簡単に手に入るし、ベルリナーは健康に対する意識が高く、食に対してオープンな人が多いので、おにぎりを作っただけでも喜んでもらえるからやりがいになりますね。」

これからさらに料理の仕事を増やしながら、デザイナーと料理研究家という2つの肩書を持って働いていきたいと、今後の夢を語ってくれました。

病気に転職、海外赴任にフリーランス、紆余曲折を経て

現在の働き方に行き着くまでは、「波乱万丈だった」としょこたんさんは振り返ります。

「インターン、病気、留学、就職、鬱、転職、海外在住、フリーランス、一通り経験しました(笑)。」

多摩美術大学を卒業後、留学がしたくて就活をしなかったしょこたんのキャリアは、Takramのインターンからスタートしました。本当は卒業後のタイミングで海外に行きたかったけれど、持病のアトピーがひどくなり、とても海外で生活できる状態ではなかったそう。

まずは治療を優先し、体調が回復したところで、ずっと行きたかったデンマークのコペンハーゲンにあるCIID(Copenhagen Institute of Interaction Design)の夏期留学を実現。ここで専門のインタラクションデザインの研究をさらに深めました。

東京に戻った後は、Twitter経由で見つけたデザインコンサルティング会社でのインターンを経て、そのまま就職。忙しくてオフィスにいない社長と、自分だけというほぼ二人体制。これがまさにリモートワークの原体験だったと言います。この時、デザイン以外にも企画から営業まで多岐にわたる業務を行い、気づかぬうちに心と身体を酷使してしまったしょこたん。最終的には病気になって手術を経験する羽目に。さらにはストレスで鬱病も発症します。

休職を余儀なくされましたが、たっぷり休養を取り体調が回復したところで、「社員旅行がシリコンバレー」であることに惹かれ、UIデザイン会社へ転職。そこでは「MERY」のアプリデザインを手がけました。

夢だった海外就職を本格的に意識しだした矢先、なんと会社がベルリンにオフィスをつくることに。10年越しの夢である海外移住が叶った瞬間でした。希望通りベルリンへ赴任するやいなや日本を拠点とする英語でのプロジェクトに関わることになり、ベルリンから東京へ4ヶ月も出張するという経験もしました。

「ベルリンに来てデザイナーとして仕事をこなしていくうちに、ふと先のことを考えるようになりました。自分はデザイナー1本でキャリアを築いていくんだろう、と疑いもしませんでしたが、長年の海外生活への夢が叶い、クリエイティブなベルリンに来たことで、自分の会社・サービスを作りたいという新しい夢が湧き出てきました。

そこで、自分の時間を確保すべく、思い切って会社を辞めてベルリンでフリーランスに。そして、気づいたら長年夢に見た、Macを片手に世界を旅しながら仕事ができる状態になっていました。何度も諦めそうになり遠い場所にあると思っていた夢でしたが、人生なるようになるもんです(笑)。」

自分のつくるものを通して、人の体験や価値観を変えたい

「自分のこれまでの波乱な経験から、次の夢でもあるクリエイティブスタジオ『Spicii Chocolate』の構想ができました。人生に行き詰まった時にブレイクスルーを導いてきてくれたのは他でもない波乱な経験そのものでした。

そんなブレイクスルーを色々な人に味わってもらいたいと考え、Spicii Chocolateは「人生にスパイスを届ける」をミッションにしています。色々な才能を結集させて、新しい体験、感情、知識、視点をコンテンツやプロダクトにしてスパイシーなものを作りたい、人のマインドセットが変化するようなモノやコトを作りたいと考え、ベルリンでスタートアップを始めることにしたのです。

しかし、一筋縄にはいかず会社設立は一旦白紙に。自分が作りたいものを今すぐ大きくカタチにするのが難しいと途方に暮れていたところ、旅先で出会った人から『あなたの生き様自体がスパイシーだよ』と言われハッとしました。まずはひとりでできることからやろうと考え、noteで自分をコンテンツにしたラジオを始めました。そういう意味では、Spicii Chocolateは私の分身みたいなものです。」

Spicii Chocolateの活動のひとつとして、noteでは、ほぼ毎日、テーマを決めて自らの体験やその日感じたことを話す約5分間のラジオを配信。鮮度を大事にするため編集はせず、収録後すぐに音声をアップしています。ベルリンの街なかで日本人に「ラジオを聞いています」と声をかけられたこともあり、「心が一気に楽になった」「実際にベルリンに留学した」という声も届いているそう。

「自分が発信したことで、誰かの体験や視点が変わってインスパイアできるのがすごく嬉しい。私は根っからのデザイナー気質なので、自己表現することよりも誰かに喜んでもらうことが原動力になっています。それは、相手がいないと成立しないので、noteもコンテンツが誰かの役に立って、オモロイと思ってもらえることを常に意識しています。

デザインも料理もnoteも、私にとっては全て同じ。相手を思って、アプリをどう使いたいか、何を食べたいか、どんな内容が読みたいか、を考えていつもカタチにしています。」

一見共通項がなさそうな活動も、しょこたんのなかでは1本の軸でつながっています。

「デザインで、料理で、発信するコンテンツで、自分の作るものを通して誰かの体験を変えたり価値観にスパイスを加えることが、私の生きがいなんです。だからこれからもnoteを拠点に発信を続けていきたいと思っています。いつも読んでくださっている方、ありがとうございます!」

■クリエイターファイル
ベルリンのしょこたん

ベルリン在住、フリーランス・ノマド・インタラクション/UX/UIデザイナー。Spicii Chocolate CEO。しょうこ食堂。 多摩美卒業後、デンマークCIIDへ留学。日本で3年働いた後、ベルリンへ。Macを持ってサービス、アプリ、食をデザインしながら、地球をウロウロ。
note:@shokolog711
Twitter:@shokolog711

text by 徳 瑠里香 Photo by Mihara Kotomi


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