Business Tax - Form1065 Sec163j   -不動産の利子費用の空所について-

さて、Business Tax についてです。

Individual でさえただで大変だったのに、Bsuiness 相手になるとより大変になります…. 

今回はその中でも Partnership (Form 1065) をもらった時の話をしましょう。
これは特に、自分の会社を持っている人が申告するもので、Schedule K を使って IRS に申告していきます。

Schedule K とはなにか。どのようなときに deductionが起こりえるのか、その limitation は? 

様々な疑問がありますよね。今回はその中でも特に不動産に特化した deduction できる方法を見ていこうと思います。ニッチな範囲ですが、不動産業 (real estate)をするなら抑えておいたほうがいいので、一緒に見ていきましょう。


Partnership の概要

Partnership は S corp 同様に pass-through が使えます。故に、Partnershipにおける利益または損失は自分で申告する必要があります。また、パートナーシップの割合によって利益や損失の割合が変わるので注意してください。
 

申告用紙について

  1. Form 1065(米国パートナーシップ所得申告): これは、パートナーシップが使用する税務フォームで、パートナーシップ全体の事業収入、控除、クレジット、および利益または損失を報告するためのものです。このフォームには、パートナーシップの全体的な財務状況が記載されており、IRSに対するパートナーシップの年間税務申告書の役割を果たします。

  2. Schedule K-1: これはForm 1065の一部で、各パートナーがその年にパートナーシップから受け取った分配シェア(所得、控除、クレジットなど)を個別に示すスケジュールです。パートナーシップは、税務申告の期限までに(延長を含む)、各パートナーにその年のSchedule K-1のコピーを提供する必要があります。このスケジュールは、個々のパートナーが自分の税務申告で使用します。

  3. Form 1040のSchedule E: これは個人の税務フォームで、個人がパートナーシップから受け取った通常の所得を報告するために使用されます。個々のパートナーは、Schedule K-1で受け取った情報をもとに、自分の所得としてSchedule Eに記入します。その他の所得や損失項目(例えば、キャピタルゲイン)は、適切なフォームやスケジュール(例えば、Schedule D)で報告されます。

つまり、Form 1065はパートナーシップの全体的な財務状況を報告するためのものであり、Schedule K-1はその中の各パートナーの分配シェアを個別に示すものです。そして、個々のパートナーはこのSchedule K-1の情報を使って、自分の個人税務申告(Form 1040とそのスケジュールE)を作成します


Business Interest Expense Limitation

「ビジネス利息費用の制限(Business Interest Expense Limitation)」とは、TCJA(Tax Cuts and Jobs Act 別名 - 税法改正法)によって追加された、ビジネスに関連する利息費用の控除を制限する規定です。
具体的には、IRCのセクション163(j) に書かれていますが、ビジネスにおける利息費用の年間控除額が以下の3つの要素の合計額に制限されるというお話です

  1. ビジネス利息収入:ビジネス活動によって得られた利息収入の額。

  2. 調整後課税所得の30%:ATI (Adjsuted Taxable Income) は、企業の税引き後利益から非現金の費用(depreciationなど)や利息費用を除外して計算される数値です。このATI の30%が控除限度の要素の一部となります。ただし、これは利益が発生した場合でなければなりません。

  3. フロアプラン金融利息 [IRCセクション163(j)(9)]: フロアプラン金融とは、通常、自動車ディーラーなどが在庫を購入するためのローンに関連する利息のことを指します。この利息も控除限度の計算に含まれます 

しかし当然例外として以上の空所を受けれない企業が出てきます。それは、年間の平均総収入が2500万ドルをこえている(2023年はインフレの関係上2900万ドル)に該当する事業者は利息費用の控除制限の適用を受けません。

また、パートナーシップをとる企業や S Corp. においては、まず企業レベルでこの制限が適用され、その後パートナーや株主個人のレベルでも再び適用されます。具体的には、まず企業レベルで利息費用の控除制限が計算されます。その後、その結果が個々のパートナーや株主に配分され、個人レベルでも再度この制限が適用されることがあります。

具体例:

A社は不動産開発事業を行っており、複数の銀行から総額500万ドルのローンを受けています。このローンにかかる年間の利息費用は、合計で300万ドルです。また、A社の年間のビジネス利息収入は50万ドル、調整後課税所得(ATI)は1000万ドルです。

この場合、A社のビジネス利息費用の控除制限は以下のように計算されます:

  1. ビジネス利息収入:50万ドル

  2. 調整後課税所得の30%:1000万ドルの30% = 300万ドル

  3. フロアプラン金融利息:このケースでは該当しないため、0ドル

したがって、A社の利息費用控除の制限額は、50万ドル(ビジネス利息収入)+ 300万ドル(ATIの30%)= 350万ドルとなります。しかし、A社が発生させた実際の利息費用は300万ドルなので、このケースでは全額の利息費用が控除可能です。

しかし、もしA社の調整後課税所得が低かったり、利息費用が非常に高かった場合(例えばATIが500万ドルで利息費用が600万ドルなど)、利息費用の控除制限が発生し、全額を控除することができない可能性があります。この場合、利用できなかった利息費用の控除(過剰ビジネス利息費用、EBIE)は翌年以降に繰り越すことが可能です。

Tax Shelters について

Tax Sheltersは、特定の税法上の規定を利用して税負担を軽減または回避するために設計された企業や取引のことを指します。IRC Sec. 448(d)(3)および461(i)(3)(B)に基づき、Tax Sheltersは以下の3つのカテゴリーに分類されます:

  1. C法人以外の企業:これは、証券の販売を規制する州または連邦の機関に登録が必要な取引で利益を得ている企業です。例としては、一般に公開された投資機会や特定の投資ファンドがあります。                                                                                                                                                                より具体的には… 株式を一般市場で公開している企業や、特定のプライベートエクイティファンド、ヘッジファンドなどが含まれます。これらの企業やファンドは、投資者に対して投資機会を提供する際、証券取引委員会(SEC)などの規制機関に登録し、適切な開示を行う必要があります。このカテゴリーに該当する企業は、特定の税法上の利点を受けれないので、税務上の避難所とみなされる可能性があります。                                             

  2. シンジケート:多くの投資家が資金を集めて特定のプロジェクトや事業に投資する組織です。シンジケートは、その年度中に発生した損失の35%以上を限定パートナーや限定起業家に割り当てる企業として定義されます。ここでの「限定」とは、経営に積極的に関与していない投資家を指します。通常、不動産開発プロジェクトや新規ビジネスベンチャーなどに資金を提供するために設立されることが多いです。                                                                                                                  

  3. 連邦所得税回避または逃避を目的とするエンティティ:これは、税負担を減少させるために特別に設計された取引や構造を持つエンティティです。これには、特定の財務取引、事業構造、または税制優遇措置を利用するエンティティが含まれることがあります。


Electing out of the Section 163(j) limitation - 不動産の場合 - 

不動産取引または事業 不動産取引または事業(つまり、不動産の開発、建設、再建、取得、転換、賃貸、運営、管理、リース、仲介取引または事業、宿泊施設の運営または管理を含む)は、取引または事業からの利子費用として扱われないように選択することができ、したがって、セクション163(j)の制限の対象となりません。

  1. (ここでいう interest expense とは、不動産の開発、建設、取得などのために借り入れた資金に対して発生する利息のことを指します。例えば、不動産を購入または開発するために銀行からローンを受けた場合、そのローンに対する利息が利子費用に該当します。)

  2. (通常、事業に関連する利子費用は、調整後税引前所得の30%までという制限のもとで控除が可能です(Sec 163(j)の規定のため)
    しかし、不動産取引または事業がElecting out of the Section 163(j) limitation を選択することにより、その制限から除外され、利子費用を全額控除することが可能になります)

しかし Electing out of the Section 163(j) limitation = (Sec 163(j)から逃れるためには)     の対象であるためには、IRS の規定にのっとり、ADS (Alternative Depreciation System)の方法で、非居住用不動産、居住用賃貸物件、資格のある改良物件を減価償却しなければなりません。(IRC Secs. 163(j)(7)(B)および(j)(10)(A)、168(g)(1)(F)および(9)(8))

この選択をすることは特に、年間総収入が$25,000万(2023年は$29,000万)を超える小規模ではない不動産取引または事業を行う有限責任パートナーシップ、LLC、S法人にとって有利に働く可能性があります。(有利になる理由…それは、セクション163(j)の利子費用控除の制限を回避できる点にあります。簡単に言えば、不動産取引または事業に関連する利子費用の全額を税控除として計上することが可能になるから。おさらいですが、、セクション163(j)の下では、事業に関連する利子費用は調整後税引前所得の30%までしか控除できません。)

ゆえに、この選択を行うとボーナス減価償却の対象とはならなくなりますが、セクション179の費用を使用してボーナス減価償却の喪失を補うこともできます。逆に、ボーナス減価償却を重視する事業体にとっては、この選択があまり徳ではないかもしれません。

例えば…

20xx年に、マリアとアレックスは、商業ビルの開発を目的とする有限パートナーシップを設立しました。マリアは5%の一般パートナーとして、ビルの建設と管理に関わります。アレックスはパートナーシップの日常運営には関与せず、リスクを最小限に抑えるために限定パートナーとして参加します。アレックスが提供した資金に加え、パートナーシップは$200万のローンを組んでプロジェクトを進行させます。パートナーシップは2025年に$200,000の Interest expense (利子費用) と $800,000 の損失を見込んでいます。この損失の95%($760,000)がアレックスに、残りの5%($40,000)がマリアに割り当てられます。損失の大部分がアレックス(限定パートナー)に割り当てられるため、この事業はシンジケートと見なされます。このため、パートナーシップはIRC Sec. 163(j)に基づき$200,000のInterest Expense を全額控除することができなくなります。しかし、不動産取引または事業として、パートナーシップはセクション163(j)の利子制限規則から選択的に除外され、代わりにADSを使用して商業ビルを減価償却するということもできます。

Inital Cost: $200万 + $20万(Interest Expense)      
Loss: $80万

たしかに、この状況で interest expense を空所できるかできないかは大きいですね。

一回 163(j)についてのまとめ

ADSを採用することは、セクション163(j)の利子費用控除の制限からの選択的除外を意味します。これは、不動産取引または事業が、IRSの定める特定の条件(代替減価償却システムを使用して非居住用不動産、居住用賃貸物件、資格のある改良物件を減価償却すること)を満たすことによって、Sec. 163(j)による利子費用の控除制限(調整後税引前所得の30%まで)から免除されるということです。

したがって、ADSを採用することにより、不動産取引または事業に関連する利子費用は、セクション163(j)の制限の対象外となり、全額が控除の対象となります。

ただし、ADSを選択することには、ボーナス減価償却(bonus depreciation)の対象外となるなどの影響もあります。ADSは通常の減価償却よりも資産の耐用年数が長く設定されているため、年間の減価償却額が少なくなり、税金の節約効果が減少する可能性がある点に注意が必要です。

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