見出し画像

第十話  続き

パフェは、マフィンを作るために、バターと卵を混ぜました。

「なっ、何これ!!この黄色いかたまり、まぜるの!?」

パフェの頭には、ハテナマークが浮かびました。

「・・・何言ってるの?バターだよ。知らないの??」

パフェは、スピカが”お菓子”を知らないことを分かっていませんでした。

「・・・スピカちゃん、たぶん知らないんだよ、お菓子のこと。」

いちごが小さな声で言いました。

「ええっ!?魔法界には、お菓子ってないの!?」

パフェも、いちごに言いました。

しばらくバターと卵を混ぜ、そして、パフェはあることに気づきました。

「ああっ!!どうしよう、砂糖がない!!」

「うそっ!?じゃあどうするの!!」

二人は困り果てました。そこで、スピカが言いました。

「何か・・・足りないものがあるなら、私に任せて!私、こう見えても魔女だから!!・・・サトウね、わかった!!」

スピカは指を振り、呪文を唱えました。

「キ、キラリ、キラリララ!!サトウよ・・・でろっ!!」

すると、キッチンの上の方から、砂糖が降って来たのです!!

「ありがとう!!スピカちゃん、助かったよ!」

パフェは喜びました。

(こ、これが・・・サトウ?知らないから不安だったけど・・・合ってたならよかった・・・・!)

スピカは心の中でそう思い、胸をなでおろしました。

**********

そして、小麦粉、ベーキングパウダー、ブルーベリーを入れて、オーブンで焼きました。

ポコッ、ポコッと、マフィンはどんどんふくらんでいきます。スピカは、その様子を楽しそうに見ていました。

「・・・あっ、ふくらんだっ!これは、マフィンの魔法の力ね!!」

「これ、魔法じゃな・・・」

「魔法じゃないわけないじゃないっ!!そうじゃなければ、こんなのできないでしょっ!?」

スピカは、いちごの話をさえぎって言いました。

『チーン』

オーブンの音が鳴りました。美味しそうな香りが、部屋の中いっぱいに広がりました。

「よしっ、焼けた!!これからみんなで食べよう!!」

いちごのその言葉に、スピカは驚きました。

「えっ・・・これ・・・食べられるの・・・?」

とても汚いものを見るような目で、マフィンを見つめました。

「大丈夫。とってもおいしんだから!!」

**********

「いっただきまーす!!」

パフェといちごは、美味しそうにマフィンをほおばりました。

「・・・い、いただきます・・・」

スピカは、マフィンを持っただけで、食べようとしません。

「おいしいよ!スピカちゃんも食べなって!」

スピカは、パフェのその言葉にゆっくりうなずき、思い切って、マフィンを一口食べました。

「おっ、おいしいっ!!すごいっ・・・!どうしてこの魔法、魔法界にないの⁉」

「スピカちゃん、これはね、お菓子っていう食べ物だよ!」

いちごはそう言いました。

「オカシってすごいっ!!パフェちゃん、いちごちゃん、私にもっとお菓子のこと、教えてよっ!」

「わかった、いいよっ!!」


こうして、パフェといちご、そして魔女スピカは仲良くなって行きました。



〈終わり〉十一話に続く!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?