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第五話  七夕ゼリーに願いを込めて

太陽の光が、かんかんと照り付ける真夏のこと。

三人は、『小さなお菓子屋さん』のお菓子を考えていました。

「そういえば、今週は七夕があるよね!!七夕に関係あるお菓子を作ろうよ!!」

いちごが大きな声で言いました。

「いいね!うーん・・・じゃあ・・・最近は暑いし、体を冷やせるゼリーとかがいいかな?」

パフェは、いちごにそう提案します。

「あ・・・えーっと・・・・」

スピカは会話についていけていません。

「” ぜりー ” って・・・何ですか・・・???」

「あっ、スピカ、ゼリー知らないんだった!大丈夫、ちょっと待っててね。」

パフェは部屋へ走り、『ゼリー大図鑑』という図鑑をとり出してきました。
部屋の本棚には、たくさんのお菓子のひみつが、そろっているのです。

「へ~!!ゼリーって、こんなプルプルした感じの物なんだね~!!」

「あっ!!ひらめいた!!!!!」

いちごは言いました。

「この本を見てて思いついたんだけど、ゼリー自体を天の川みたいにしちゃうのはどう!?」

「ど、どういうこと?」

「青色のゼリーの上に、星に見立てた何かを乗せて・・・アラザンとかを乗せるの!!」

「「賛成!!!」」

そうして、今週のお菓子は、『七夕ゼリー』にすることにしました。

**********

その後、三人は、小さなお菓子屋さんでゼリーを作っていました。

「す、すいませーん・・・」

その時、ある女の子が、小さなお菓子屋さんにやって来ました。

「はい、何ですか?」

パフェは、優しく笑いました。

「あっ、ご、ごめん、なさい・・・ま、まだお菓子出来て・・・無いですよね・・・・・・」

その女の子は、すごく慌てた様子で言いました。

「こ、こちらこそごめんなさい!!あともう少しで出来上がりますので!」

スピカはその子に向かって大きな声で言いました。

「出来上がるまで・・・私の悩みを聞いてくれませんか・・・?」

その子は下を向いて、暗い声で言いました。いちごは、ちゃんと悩みを聞いてあげないと、と思いました。

「いいですよ!」

**********

その子は、ピアノを習っているそうです。そして明後日、発表会があります。

「うん、それで?」

「わ、私・・・・恥ずかしがり屋で・・・勇気が出なくて・・・・本番のことを考えると、ゆ、指が・・・こわばって・・・・!」

その子はもの凄く震えながら言いました。

「きっと大丈夫だよ!!あなたならできる!私たちが、お菓子で元気づけてあげるから!もう少し待ってて!」

いちごはそう言って、作業に戻りました。

「・・・・!!」

いちごの明るい笑顔に、女の子は少しだけ、嬉しく思いました。

**********

しばらくして・・・

「お待たせしました。今週のお菓子が出来ましたよ!」

パフェは、作ったゼリーを、屋台に並べました。

「君が、ピアノ演奏会で上手くいくように、” 心を込めて ” 作ったんだ!!」

スピカは、にっこりと笑いかけました。

「うわぁ・・・すごい、星が入ってる・・・!」

ブルーハワイのシロップで、ゼリーに色を付け、星は、黄桃で作りました。

そこでは、たくさんの星たちが、キラキラと輝いています。

それはまるで、「がんばれ!」と応援しているようでした。

「ありがとう・・・勇気が出ました!」

「ところで・・・君の名前は?」

スピカはその女の子に聞きました。

「・・・日香・・・工藤日香です・・・!」

日香は、三人に向かって微笑みました。

「私はスピカ!!」
「わ、私はいちごって言うんだっ!!」
「・・・私はパフェだよ。 日香ちゃん、お買い上げ、ありがとうございました!」

「はい! ピアノの演奏会、頑張ります!また来ますね。」

日香は優しく手を振り、去って行きました。


その心には、三人が見せた笑顔が宿っています。

この三人を思い出せば、ピアノの演奏会も頑張れる・・・!

日香はそう思ったのでした。



続く!!!







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