良いものだから高い、高いから良いもの

他と比べて良いものであるというとき、
値段が高くなるのは一般的である。

他のものより、時間にしろなんにしろコストをかけたから、
そして他のものより良いものとしてできているのだとしたら、
値段は高くなる。

なので、
値段の高いもの=良いものである
というのは普通に考えると当たり前のことのように思える。

しかし、例えば芸術といった時に、
値段の高いもの=良いものである
ということは成立するのか?

値段だけで言えば1億円する絵画、芸術というのは時々聞くこともある。
しかし1億円する絵画一枚を見て、そのほかの高くない絵画数百枚分と同じ価値があるのかと言われると、
自分が1億円を出したのでない限りよくわからない。

芸術性といった時に、
単なるコストといった観点からみると、どう考えても釣り合わないほどの
高い値段というものがつけられる場合がある。

それはそのあらゆる他の芸術と比較した場合の、
良さ、芸術性だったり、多くは希少性だったりする。

単に希少性だけだったら、多少調べればわかることもあるが、
芸術性で何かが優れている、良いというとき、
何が良くて何が悪いかということを判断する知識、経験がないと難しい。


いつか読んだ養老孟司氏の本で、
「金を稼ぐのに教養はいらないが、金を使うには教養が必要だ」
というようなことが書いてあった。

つまり、教養のない人間が、
高いもの=良いもの価値のあるものと単純に思い込んで、
買いこんでしまうと失敗する。

教養があって、芸術性だったりを理解している人間だったら、
良いものを見極めることによって、
良いものは高いものであるということに納得して買い物ができる。


いつものワインの話だが、
ワインを飲む人間にも色々いる。
ワインが好きで飲む人、ビジネスのために飲む人、高いワインばかり飲む人。
たくさんあるワインを飲むには人生は短いというような冗談があるが、
高いワインがうまいワインとは限らない。
どれだけコストをかけたって、必ずうまいとも限らない。

バイアスで値段が高ければいいという人もいるだろうが、
良いワインを飲むには教養が必要だ。
幸いワインには多少の知識が必要で、
ワイン好きは値段だけで判断しない人が多いのでいいことだ。


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