コーヒーの濃度について

最近はコーヒー抽出における濃度の測定など行われ、

どのくらいの濃度が一番いい
とか
この豆の量とお湯の量と時間でこの濃度になる
とか

そういったことで抽出はなるべくマニュアル化した方がいい
全て計って毎回同じになるように抽出した方がいい

みたいに言われるわけですが、
私はあまりそういう事は詳しくないので、
今回書いていくことは個人的な感覚として、

焙煎浅めの豆は薄い方が良い

焙煎深めの豆は濃い方が良い

という事です。


濃い、薄いというのはワインなど他の飲料でも感じることで、
ワインにおいて濃く感じるという時、
主にアルコール度数と残糖量などが多い時に感じやすいと思います。

ニューワールドのワインに多いですが、
濃いワインというのは赤の場合、同時にタンニン、フェノール類も多い場合が多いです。
これが多いというのは渋いという事です。

感覚として濃いのですから渋いという事も納得できます。
全体量が多いわけですから、すべての濃度が濃い。
アルコール度数高くて、渋いワインは長熟向きだななんて考えます。

軽いワインはアルコール度数低めだったり、残糖が感じられなかったり、
(アルコール度数低めでも、残糖が高ければ濃く感じます)
口当たりさっぱりしたものが多く、
赤ワインでも渋さがなかったりしてフルーティなものが多いです。
軽いワインは色々な成分の量が少なかったりして、単純に濃度も低いと思われます。

しかし、アルコール度数が非常に高いのに、あるいは残糖感があるのに、
全く渋くなかったりするとなんだかバランスが悪いと感じてしまいます。
逆にアルコール度数低いのに、残糖感がないのに渋いとバランスが悪く感じると思います。

カベルネソーヴィニヨンで黒くて濃いワインなのに渋くない。
ピノノワールで赤い色でエレガントなのにすごく渋い。

熟成なんかでも変わりますし、こうでなきゃいけないなんてありませんが、
濃いワインは渋さも許容できたり、渋さがそのワインの骨格を与えたりします。
軽いワインは濃くなくても渋くなくても香り高い、バランスが取れているものだと思います。


という事を比較して考えると、
コーヒーの焙煎が浅いものは苦味が少なく、
コーヒーの焙煎が深いものは苦味が多いです。

それなら、
焙煎の浅いものは苦味の成分が少ない分、抽出のバランスも軽めに揃えてあげて口当たりを軽くし、
焙煎の深いものは苦味の成分が多い分、抽出を濃くすることで重厚な味を出せばバランスが取れるのではないでしょうか。

あくまで経験上ですが、
焙煎浅めのフルーティーなものをじっくり出すとえぐくなります。
酸味が強烈だったり、変に苦味が出てしまって、良いところが出ない。
逆に焙煎深めの苦いコーヒーをあっさり出してしまうと、変に苦味だけ感じて薄いのに苦い嫌な感じが残ります。
もちろん苦いのが得意でない方や個人の嗜好がありますがエスプレッソがわかりやすいと思います。
最近は浅い豆でシングルオリジンのエスプレッソを出すところもあると思いますが、基本的にエスプレッソは深煎りを使います。

焙煎浅めのコーヒーはさらっと抽出して濃度低めであっさり出す。
焙煎深めのコーヒーはじっくり抽出して濃度高めでしっかり出す。


色を含めてのブラインドでやればわかりませんが、
人間には先入観があり、
ワインで黒ければ濃い、赤ければ薄い。
コーヒーも黒ければ濃い、赤ければ薄い。
というような考えで口に入れると思います。
単純に成分量として濃い方には多く入ってるわけですから濃くなるので
当たり前なのですが、

色の先入観から濃いと思っていたものが薄い、
あるいは薄いと思っていたものが濃いと違和感を感じます。

ワインの濃度はアルコール度数や残糖量でしたが、
コーヒーは焙煎が深くなり色が黒くなれば抽出液も自然と濃くなるという事はないようで、
つまり焙煎を深くしていけばコーヒーで感じるすべての成分の総量が増えるという訳ではないので、
抽出時間や豆の量をコントロールすることで、
実際的に濃く、あるいは薄く抽出することで、

赤い色のコーヒーをすっきりと抽出し浅いコーヒーとして、
黒い色のコーヒーをしっかりと抽出し濃いコーヒーとして、

自然に則して(自然ではないですが)そうなるように出してあげるのが不自然に感じにくく、
データではなく実際に色々な経験から味を感じるという人間にとって、
おいしいと感じる要因の一つではないかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?