上川学園構想ワークショップ第2回「上川町の教育地図づくり」を実施しました
2024年10月30日、北海道上川町で「上川町学園構想ワークショップ」の第2回が開催され、町の教育ビジョンを描くための取り組みが続けられました!今回も(株)Edo様に進行していただきながら、「上川町の教育地図づくりWS」というテーマで、町の教育ビジョンを描くために、これまで学校、子育て、地域の現場でどんな活動を、どんな思いで実施しているのかを可視化し、相互理解することを目的に行われました。
地域で築く教育ビジョンへの意欲
冒頭20分は、池端係長から改めて「上川町学園構想」とは何か?上川町の教育ビジョンを多様な関係者の皆さんと語り合いながら作り上げていきたいと話しました。前回のワークショップでは、参加者がどのような人柄かを理解し合い、「楽しく、真剣な対話」を基盤に意見を交換。各チームが出したキーワードをまとめ、メンバー同士が「このメンバーなら良いビジョンが作れそう」と感じられる雰囲気を築いたと報告しました。
上川町の教育目標とビジョン策定の背景
こちらは、昭和30年に策定された上川町の教育目標です。5つの教育目標の中でも、「豊かな知識と創造力」「ものごとを正しく理解し、課題解決に努める」など、今にも通ずる資質を育むことが重要とされています。とはいえ、およそ70年の間に社会は複雑化・多様化しており、改めて教育ビジョン策定の意義として、「現在の社会では創造力や革新性が求められており、かつてのように答えが決まった問題を暗記するだけでなく、多様な発想力が必要とされる」と池端係長は強調します。
町の教育ビジョンを通じ、子どもたちが「ここで育ってよかった」と感じられる環境づくりが最終的な目的であると語り、参加者全体の目線合わせを行いました。
ワークショップの実施
今回のワークショップでは、参加者がそれぞれの取り組みに関連するグループに分かれ、自身の取り組みを共有して議論します。
グループはそれぞれ「幼保」「学校」「地域」「子育て」に分かれ、参加者は「取り組み紹介シート」を記入して所属する組織の活動、日常で感じる想いや課題を伝え合いながら、お互いに理解を深めていきました。
「子育て」グループでは、こども劇場の運営や地域クラブ(野球部)の活動などの取り組みを行っている参加者より、少子化によって地域の組織やコミュニティが維持しづらくなっている現状が話題となりました。子ども達の放課後に選択肢を広げたいと思いを持って活動している一方で、予算や監督する大人が不足することの継続性の課題も浮かび上がりました。
「幼保」グループでは、幼稚園・保育園における地域のご自宅やお店を回るハロウィンイベントや、上川のもちごめを使った年始の餅つきイベント、地域おこし協力隊を活用したブレイクダンス教室など、特色ある取り組みが勢揃い。「地域に開かれた園っていいね」「日本文化を大切にしたい」など、今後のビジョンにつながるポイントがあがりました。
「学校」グループでは、小中高より総合的な探究の授業の話が話題に。どれも地域人材や物的資源をフル活用した授業を通して、対話的な深い学びの充実がされていると話す一方で、放課後の居場所の不足や部活動の地域移行、小・中・高の学びの接続などの課題に対して、どう連携していくべきかという観点でも盛り上がりました。
最後に「地域」グループでは、社会教育的な活動として、大人が町でやってみたい事業を応援する「かみかわプロジェクト」や、「上川蕎麦打ち愛好会」の活動、高齢者の学びの場としての「白寿大学」、医療福祉従事者と町民をつなぐ「ケアコタン」、町有林を活用したマウンテンバイク事業など多岐にわたるジャンルの取り組みがでました。世代間の交流や人材不足などの課題がでた一方で、上川への愛着の形成や町民一人ひとりの生きがい・やりがいの向上への貢献などがあるという話がでました。
各グループで出された取り組み紹介シートは「上川町の教育地図」上に並べ、参加者同士での対話を通じて、共感や新たなアイデアが共有され、「この取り組みいいね」や「こんなことをやってるのを知らなかった」などを視覚的に分かるようにシールや付箋をつけて可視化していきます。
ワールドカフェとグループ対話
ワールドカフェでは、グループの1名がテーブルに残り、新しいグループメンバーに各自のテーブルで先ほどまで出ていた内容を共有。参加者は3種類のシールで「期待すること」「知らなかったこと」「一緒にやってみたいこと」を示し、「似たような取り組みをうちでもやっているから、合同でやれたら面白い」「この取り組みがあることは、地域住民としては有難い」など、グループ間を跨いだ取り組みの共有を行いました。
最後に、元のグループに戻ってからは他のグループからの意見などを共有してみながら、あらためて対話を重ねました。例えば子育てグループでは、子どもがいるからこそ気づく取り組みのイメージやありがたみが分かるが、逆にいうと子育てに関わっていないと知らないことが多いため「発信力の強化の必要性」が話題になりました。
また、幼保グループでは、他の取り組みをみた上で「地域人材の活用」というのがやはりキーになるのではないか、という話も出たようです。
最後に今回実験的に行われた株式会社イトーキの分析アプリを使用して、会場全体&テーブルごとに頻出したキーワードの出現量を文字の大きさで表現するテキストマイニングが共有されます。
各グループの中で主にどのようなワードがよく頻出したのかが可視化され、どのような議論をよくしていたのかを振り返る機会になりました。
これらのキーワードを基に、今後のビジョン策定に向けた具体的なステップが描かれることが期待されます。
教育から地域の未来に繋げるために
1回目は上川の教育の未来をつくる「一人ひとりの想い」にフォーカスし、2回目の今回は組織としてどのような活動や施設があるかなど、「これまでの取り組み」の可視化を行いました。
多様なメンバーから生まれたアイデアは、上川町独自の教育ビジョン構築に向けて一層の共感と協力を呼び、地域全体で未来を見据えた挑戦を進めている一歩になりました。
3回目は、いよいよ上川町学園構想のビジョンの素案づくりです。次回のレポートもお楽しみに!