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インストラクショナルデザインとコーチングの融合イメージ ~コーチングとインストラクショナルデザインの専門家による架空対談 その7~

インストラクショナルデザインとコーチングをうまく組み合わせることは可能だし、効果もありそうだという話でした。
そこで高橋さんは、実際にはどのような形で融合させれば良いかについて突っ込んでくださいました。


『カスタマイズされた社員研修プログラム』という形:

高橋純一さんが、IDとコーチングの融合の形について具体的な提案を行います。
「まず、IDとコーチングの融合について、私が考える具体的な形の一つとして、『カスタマイズされた社員研修プログラム』があります。例えば、新しいリーダーシップトレーニングを実施する際に、IDを活用して基本的な研修カリキュラムを設計します。このカリキュラムでは、リーダーシップ理論、コミュニケーションスキル、問題解決能力など、リーダーとして必要な知識やスキルを段階的に学びます。しかし、各リーダーの経験や課題は異なるため、研修中にコーチングセッションを取り入れ、各参加者が自分の課題や目標を整理し、そのカリキュラムをどう自分の仕事に適用するかを深く考える機会を提供します。これにより、研修が単なる知識の伝達にとどまらず、個々のリーダーが自分のスタイルや状況に合わせて成長することが可能になります。」

『eラーニングとコーチングの組み合わせ』:

鈴木貴史先生は、IDとコーチングの融合について、eラーニングを活用したモデルを提案します。
「私が提案する融合の形は、『eラーニングとコーチングの組み合わせ』です。企業内でeラーニングプラットフォームを導入し、社員が各自のペースで学習できる環境を整えます。このプラットフォームで提供されるコースは、IDを基に設計されたものです。例えば、新しい技術の習得や業務プロセスの改善に関するコースが用意されています。学習者は、オンラインで基礎知識を学んだ後、定期的にコーチとのオンラインセッションを行います。このセッションでは、学習した内容を実際の業務にどう適用するか、あるいは学習中に感じた疑問や課題について話し合います。これにより、学習者は自己反省と実践を通じて、学習効果を最大化できます。」

『長期的なリーダーシップ育成プログラム』:

佐藤和也先生は、IDとコーチングを統合した長期的なリーダーシップ育成プログラムを提案します。
「私が考える融合の形は、『長期的なリーダーシップ育成プログラム』です。まず、IDを用いてリーダーシップ開発のための包括的なプログラムを設計します。このプログラムは、数か月から1年をかけて、段階的にリーダーとしての資質を高めるよう構成されます。プログラムの中で、定期的にコーチングセッションを組み込み、各リーダーが自己評価や目標設定を行います。例えば、四半期ごとにコーチとの対話を通じて、現在の自分のリーダーシップスタイルやチーム運営の課題を見つめ直し、次の四半期で取り組むべき目標を設定します。このプロセスにより、プログラム全体を通じて持続的な成長を促し、リーダーとしての自己革新が可能になります。」

育成手法をブレンドすることで効果を高める:

高橋純一さんは、三者の提案をまとめて述べます。
「お二人のご提案に共感します。IDで設計された学習プログラムにコーチングを統合することで、学習者は知識の習得と自己成長を両立させることができます。eラーニングや長期的な育成プログラムにおいても、コーチングが加わることで、単なる知識の詰め込みではなく、実際の行動や業績に結びつく学習が可能になると感じます。これらのアプローチは、現代の企業が直面する人材育成の課題に対する強力な解決策になると確信しています。」

これらの提案では、インストラクショナルデザインとコーチングの融合が、具体的なプログラムや研修形態としてどのように実現できるかが示されました。カスタマイズされた研修プログラム、eラーニングの活用、長期的なリーダーシップ育成プログラムなど、いずれもIDとコーチングの強みを活かした効果的な人材育成方法として期待されます。

ここでの対談をもとに設計された研修プログラムの案が提示されました。

詳細な実施イメージ: リーダーシップ開発プログラム

1. プログラム設計フェーズ(IDの適用)

  • 学習ニーズ分析: まず、対象となるリーダー層の学習ニーズを分析します。これには、現在のリーダーシップスキルの評価、組織の目標や課題の確認、そして各リーダーの個別のキャリア目標の特定が含まれます。

  • カリキュラム設計: 次に、分析結果に基づき、リーダーシップスキル(例:戦略的思考、チームマネジメント、コミュニケーション)の強化に焦点を当てたカリキュラムを設計します。このカリキュラムは、複数のモジュールに分かれており、オンライン学習(eラーニング)や対面研修を含みます。

  • 学習資源の開発: 各モジュールに必要な教材、ビデオ、ケーススタディ、シミュレーションなどを準備します。また、学習者がアクセスできるオンラインプラットフォームを整備し、学習進捗を管理できるシステムを構築します。

2. 学習フェーズ(IDとコーチングの融合)

  • eラーニングの開始: プログラム参加者は、まずオンラインで提供される各モジュールを順次学習します。例えば、「戦略的思考」モジュールでは、動画講義、インタラクティブなクイズ、ケーススタディの分析などが含まれます。

  • コーチングセッションの導入: 各モジュールの学習後、コーチングセッションを行います。ここでは、学習内容をどう実践に活かすかをテーマに、個別のコーチが参加者と1対1で話し合います。例えば、「戦略的思考」の学習後、コーチは参加者に、組織内の実際の課題に対してどのように戦略的にアプローチするかを考えさせ、具体的なアクションプランを立てる支援を行います。

  • 実地課題とフィードバック: 各モジュールには実地課題(プロジェクト)が含まれ、参加者は学んだスキルを実際の業務に適用します。コーチングセッションでこの課題の進捗状況を確認し、フィードバックを与え、必要に応じて更なる指導を行います。

3. 評価と反省フェーズ

  • 進捗評価: プログラム全体を通じて、参加者のスキル習得と業務への適用の進捗を評価します。これには自己評価、上司からのフィードバック、そして実際の業務成果の測定が含まれます。

  • 反省と目標設定: 最終段階として、コーチングセッションでプログラムを振り返り、学んだことを基に次のキャリアステップや目標を設定します。ここで、参加者は自らの成長を確認し、今後の行動計画を明確にします。

  • フォローアップコーチング: プログラム終了後も定期的にフォローアップのコーチングセッションを行い、参加者が設定した目標に向かって持続的に成長できるようサポートします。

実施における注意点:

  • カスタマイズの重要性: すべての参加者が異なる背景や課題を持つため、コーチングセッションでは各自のニーズに合わせた個別対応が重要です。コーチは参加者一人ひとりの状況を理解し、適切なサポートを提供する必要があります。

  • 継続的な評価と改善: プログラム実施中は、常に参加者からのフィードバックを収集し、プログラム内容やコーチングアプローチの改善を図ります。これにより、常に最適な学習体験を提供することが可能になります。

  • 組織全体のサポート: プログラムの効果を最大化するためには、上層部や関係者の積極的なサポートが欠かせません。リーダー層がこのプログラムの意義を理解し、参加者を励まし続けることで、より高い効果が期待できます。

まとめ: このように、インストラクショナルデザインとコーチングを組み合わせることで、参加者の学習プロセス全体を支援し、実践的なスキルの習得と業務への応用を強力に促進できます。このアプローチは、特にリーダーシップ開発や専門スキルの強化において、非常に効果的であると考えられます。

【登場人物や対談内容については、すべてフィクションです】

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