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さいごの果実(坂本真綾)


抽象的な歌詞に心を動かされるのは、年齢を重ねたからだろうか。

初めて聴いたときのことはあまり覚えていないが、綺麗な歌だと思った、と思う。

今は、なんて切実な歌なんだろう、と思う。

ねえ僕は、僕は知りたい
愛するってどんなこと?

好きな人を、できるだけ上手に愛せたらいいのにと思う。愛されることを考えるより、愛することを考える方が難しい。

愛されるのは自分の視点で満足できればいいが、愛することのゴールはよく分からない。

答えのない問いゆえに、答えがあるのならほんとうに知りたい。

坂本さんも、そんなことを思ったのだろうか。

向き合うだけで繋がるのに、それが一番難しい。
いざ視線を向けられると、正解が分からなくなって、目を逸らしてしまう。

手を伸ばして、抱きしめればいいのに

もしかしたら彼も、待っているかもしれないのに、不正解の可能性に怖気付いて動けなくなる。

ねえ僕は、僕は知りたい
生きてくってどんなこと?

きっとそれは特別なことではなくて、なんてことない日々の積み重ねなんだろう。

なんて不安定で、不完全で、不透明なもの。

簡単に崩れることを知ってるから、怖くなる。
知った気になると、足元を掬われる気がする。

だから今日もおまじないのように呟いてみる。

愛するって、どんなこと?

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